
入社以来、スポーツボトルなど数々のヒット商品を開発してきた初本邦生。
そこには製品への深い愛情と思い入れがあり、つねに新しいものを生み出そうとする逆転の思考があった。現在はマネジャーとして、開発の現場を取り仕切っている。



わたしはもともとデザインや人間工学の勉強をしていて、1992年からサーモスの事業に携わり、一貫して開発の仕事をしています。
魔法びんという製品は、日常の生活にあって身のまわりにあるものです。家族や友人、地域の人など、ユーザーが身近にいて、自分の仕事の成果を実感できるのです。私の息子がサッカークラブに入っていて、週末は練習や試合などでグランドに行くことが多いのですが、そこでサーモスの商品を使っているユーザーの実態をリアルにみることができます。
実際にユーザーが身近にいて、彼らの生活を豊かにしたり、便利にしたりすることのできる喜びというのは、日用品を作っているからこそできる体験だと強く思います。
ステンレス魔法びんが生まれてもう20年。商品としてはすっかり成熟しているといえます。
そんな中、新しい製品を考えるには新たな仕掛けや発想が必要になります。知恵を絞る必要があります。従来の魔法びんは、コップと中栓というスタイルの商品で、温かいお茶を飲むのが主流でした。これを「冷たいものだけが飲めればいいじゃないか」と、ペットボトルのように直に飲むスタイルにしたものが現在大ヒットしているスポーツボトルです。この発想がお客さまのニーズに合っていたようで、とても大きな市場を新たに創造することができました。
このように発想を変えることによって、今までにない、全く新しい製品や市場を生み出すこともできるのです。
サーモスの開発の現場は、トップダウンではなくボトムアップで成り立っています。上から「これを作れ」ではなく、現場から「こんなものをやりたい」というスタイルでやっています。そしてそうした提案には、若手であっても担当を任せてみようというケースが多いのです。
ただし、セクショナリズムとは無縁の会社ですから、設計だけしているような設計バカではいられません。企画から設計、製造などすべての工程に携わることになります。すべてを自分ひとりの力ではできませんから、それぞれの現場の人とのやりとりを重ねるコーディネーターとしての役割が求められます。ですからデザインや設計など得意分野があることも重要ですが、それにも増して広い分野への好奇心をもっていることが必要です。そんな人に是非来ていただきたいと思っています。