THERMOS

Talk & Talk

THERMOS Purezza

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企画室/企画課 濱口顕三さん

本格的なコーヒーのおいしさを、いつでも・どこでも気軽に味わっていただくために。

■アメリカのコーヒー文化を日本の方々にも広く知っていただきたいですね

「まず、この製品ができるまでの背景を教えていただけますか。」

濱口: はい。ではまず、サーモスと「コーヒー」の関わりからお話を始めましょうか。

実はサーモスでは、この形の卓上ポットを出すまでは、携帯用魔法びんをベースとしたデザインのポットしかありませんでした。

サーモスは現在、世界120カ国に商品をお届けするブランドですが、世界の各地域には様々な食文化があり、私たちの商品もその地域に根ざした形で使われているのに気付くことがあります。 たとえば日本では、魔法びんといえばまず、お茶をいれるためのお湯を入れておくものという認識がありますね。

日本以外のアジア諸国においてもほぼ同様で、お茶のためのお湯、あるいはお茶そのものを入れて使うケースがほとんどです。しかし欧米においては、魔法びんといえば、まずコーヒーのために使われることが多い。特にアメリカの家庭では、熱いコーヒーを魔法びんに入れて持ち運ぶ、これが一般的な使い方と言っていいのではないでしょうか。

我が社でも、アメリカでは業務用のコーヒーメーカー向けの魔法びんをたくさん販売してきましたし、サーモスの魔法びんと「コーヒー」は、ずっと深い関わりを持ってきたんですね。

「確かに日本の家庭では、魔法びんといえばお湯を入れておくためのもの、という感覚が強いような気がしますね。」

濱口: はい。魔法びんに直接コーヒーを入れて保温するなんて、日本の家庭ではあまり見かけなかった光景でしょう。

でも、たとえばアメリカの家庭では、魔法びん、あるいはマグを直接コーヒーメーカーにセットして、そのままドリップするやり方がポピュラーなんですよ。

実際、その方がダイレクトに淹れたてのコーヒーの香りや風味などを楽しむことができるし、魔法びんなら家の中のどこにでも持ち運んでそのまま保温できる。

コーヒーが生活に深く根ざしているアメリカならではの使い方と言えるでしょうね。

「そのアメリカの市場で培ったコーヒー文化を投入したのが、このPurezzaシリーズというわけですね。」

濱口: その通りです。日本ではガラス製のサーバーをセットするコーヒーメーカーが多いのですが、ヒーターで温めているうちにどうしても煮詰まって風味が劣化してしまう。しかも時間が経つと酸化して、香りも飛んでしまいます。

それを防ぐためにも、ぜひとも魔法びんを本体に直接セットする、日本人の生活習慣に合ったコーヒーメーカーをつくりたかった。ガラス製のサーバーは、コーヒーメーカーに戻す必要があるし、ぶつけて割ってしまう心配もあります。
でもステンレスは頑丈ですから、そんな心配もまずないんですね。

「魔法びんだと、コーヒーを煮詰めることなく熱いままキープしておけるのが最大の利点ですね。」

濱口: さすがに熱々の状態を1日中キープしておくのは難しいのですが、2~3時間なら十分に美味しい状態を楽しんでいただけると思います。

もちろん、保温にも電気代がかからないので、省エネにもなります。一石二鳥ということですね(笑)。

■キッチン以外にも置けるデザイン性の高いコーヒーメーカーを。それが私たちの合言葉でした

「実際に日本向けに商品を開発することになったとき、工夫されたのはどんな点ですか。」

濱口: 最大の特徴は、サーモスが小売店などで単体で発売しているものと同じ構造の魔法びんが、そのまま付属していることです。

私たちには、「サーモスの断熱技術は最高のもの」という自負がありますから、それをコーヒーメーカーにもぜひとも組み込みたかった。そして、この魔法びんを組み込んだ状態で美しく見える本体のデザインを完成させるのが、私たちの大きな課題でもありました。

実際のところ、デザインだけで1年以上の時間がかかったんですよ。

「普通のキッチン用の家電製品、という枠には収まらないようなモダンなデザインですね。」

濱口: 私たちが目指したのもそこなんです。これまでのコーヒーメーカーは、キッチンに置くものとなんとなく思われていたでしょう。でも、私たちはリビングに近い場所に置いて使えるようなコーヒーメーカーはできないだろうかと考えていた。リビングを始め、書斎や寝室など、より毎日の生活に溶け込む場所で使ってもらえるような道具をつくりたいと思ったんですね。

そこで何度も試作して検討を進めた結果、本体の奥行き寸法よりも、幅の方を広くすればいいのでは、という結果にたどり着いたんです。そうすれば、たとえばリビングのカウンターテーブルや、奥行きのない書斎の棚の上にも置きやすくなるはずだ、と。

「縦のものを横に置き換える。発想転換ですね。」

濱口: ヒントになったのは、実はオーディオのミニコンポなんです。横に広いシンメトリックのデザイン。こういうデザインは、今までのコーヒーメーカーにはなかったものだと思いませんか?

「ステンレスの素材感が前面に出ているのも、オリジナリティがありますね。」

濱口: 私たちはステンレスの商品を毎日扱っていますから、ステンレスという素材の美しさをよく知っている。だからその素材感を活かしたかったという気持ちはありますね。実際、お客様からのアンケートでは、40%以上の方がキッチン以外の場所……たとえばリビングなどに置いています。私たちとしてもうれしいかぎりですね。

■より機能的で、安全なものはできないか。そう思いながら改良を重ねていくのが楽しいんですよ

「実際に使ってみると、栓をぎゅっと閉めたままの魔法びんをそのまま本体にセットすることになります。【この状態で本当にコーヒーが魔法びんの中に抽出できるの?】と最初は不思議な気持ちになりましたが……」

濱口: 確かに、最初は栓を開けたままセットしてしまった、というお客様もいらっしゃいましたね(笑)。一般的なコーヒーメーカーでは、ドリップされたコーヒーは栓の中央の穴に落ちて、注ぎ口からカップにコーヒーを注ぐことになります。

しかし、それでは開口部が多く、空気にさらされ易くなる。保温効果も落ちるし、酸化もしやすくなります。ですから私たちは、改良を重ねて、コーヒーの入口と出口を一つにできるような栓の構造を考えました。

つまり、魔法びんをコーヒーメーカー本体に取り付けたとき、魔法びんのレバーが自動的に押されて栓が開く仕掛けをつくる。そうすると、注ぎ口の部分が開いた状態になり、そこに向けてドリップされたコーヒーを落としていく。そしてドリップが終わり、魔法びんを取り出すと自動的に中栓が閉じる仕掛けをつくる。そうすることで、ふたつに分散していたコーヒーの流路が、すっきりひとつにまとまったんですね。

「そうすると、保温断熱効果も上がることになりますね。」

濱口: はい。栓の構造自体は複雑になりましたが、より安全で機能的なものになったと思っています。それに、この栓は簡単にふたつに分けられるので、洗うのも簡単なんですよ。

「魔法びんの栓が分かれて洗えるのは珍しいですし、簡単に洗えるのは大助かりです。」

濱口: コーヒーの匂いや色は意外と残りやすいものなので、「簡単に洗えてうれしい!」というお客様の声もいただいています。こまめに洗うことができて、衛生的だと思いますよ。

■日本人のコーヒーサイズに合わせて改良した、日本オリジナルの商品です

「ステンレスマグをセットするタイプの方は、どのようなコンセプトでつくられたものなんですか。」

濱口: 新婚家庭、シニアのご夫婦、あるいはシングルの方など、少人数のご家庭が増えてきたこともあり、そういう方々からの声に応えた商品ですね。

本格的なコーヒーをつくりたいけど、少しだけでいい……と思っている方は意外に多いんですよ。カップ1、2杯のために大きなサーバーでドリップするのはどうしても無駄になりますから。共働きのご夫婦などの場合は、マグ以外の洗い物が出ないので、朝の忙しい時間帯には重宝するという声もいただいています。

でも、先ほどもお話した通り、マグをセットするタイプのコーヒーメーカーは、アメリカの市場にはずっと前から登場していたものなんですよ。ですから、日本にも早く取り入れたいと考えていましたね。

「使ってみると、改めてその便利さがわかる商品ですね。1回で飲み切れるから、飲み残しも出ない。」

濱口: そうですね。ただ、一番苦労したのはそこなんですよ。アメリカ式ではありますが、そのまま取り入れたら大変なことになりまして。何しろ、アメリカではひとつのマグの容量がなんと400ccもある。1日に飲むコーヒーの量が半端じゃないのがわかるでしょう(笑)。

「ペットボトルサイズとほとんど変わらない!日本人で、1回にそれだけコーヒーを飲む人はなかなかいないでしょう。」

濱口:そうなんです。ですから、私たちは日本人に適した1回分のコーヒーの量を調べることからスタートしました。そこで試作とモニター調査を何度も繰り返して、240ccが最適ではないかという結果にたどり着いたんです。ですからこの製品は、純粋に日本向けに開発したオリジナルの商品と言えますし、いろいろなご家庭で使ってみてほしいですね。