THERMOS

Talk & Talk

ステンレスポット

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マーケティング部商品戦略室長
広瀬さん

徹底的に使い勝手を考えたら、デザインがよくて使いやすい世界中で使われるポットができた。

■卓上で使えるポットらしいポットをつくりたかったのです

「この形の卓上ステンレスポットはサーモスの代表的な製品だと思うのですが、まずこの製品ができあがるまでについて教えていただけますか?」

広瀬: このステンレスポットTGSシリーズは、発売以来、世界中でご利用いただいていて、いまなお売れ続けている製品です。

実はサーモスでは、この形の卓上ポットを出すまでは、携帯用魔法びんをベースとしたデザインのポットしかありませんでした。

しかし、それが市場でなかなか受け入れられなかった。そこで本格的に卓上で使っていただけるポットとはどんなものかを考え直すことから始めました。

まず卓上で使いやすくするための条件として、中せん、ハンドル、本体と3つのパーツに分けて特徴を出そうと徹底的に研究しました。

「中せんというのはこの上のフタの部分のことですね?」

広瀬: そうです。ここが一番大きな特徴なのですが、いままでのボトル型のポットは、中身を注ぐのにまずスクリュー式の中せんを回して、それから本体を持って注がなければなりませんでした。つまり必ず両手で扱わなくてはなりません。

これを解決する手段としてプッシュ式の中せんも考えました。しかしこれは注いだ後に中せんを閉め忘れると、温度が下がったり、また構造が複雑になった分、中に水が入ったり、お手入れしにくいという欠点がありました。

そこで現在のような、レバーを押しながら開栓するタイプの中せんを採用することになりました。

まず片手で押して注げる。注いだ後に手を離せば、中せんが自動的に閉まるので、中の温度を下げずにすむのです。

「そういわれて見ると、ものすごく画期的な構造の中せんなのですね。」

広瀬: それだけでなく、これまでお客様のアンケートで多く寄せられた意見をとりいれました。それは先に述べた中せんの中も洗えるようにしてほしいというものでした。

中せんの中は確かに水が通る部分ですから、しっかり洗えなければ水垢がたまったりするのです。
そこで考えたのは「思い切って中せんをバラバラにして、中まで洗えるようにしてしまおう」ということです。これならすみずみまで洗うことができます。

レバーによって片手で注げる構造にして、さらに中まで洗えるようにしたこと。これが大きなポイントです。

■世界中に売るためにアメリカに持って行ってヒアリングをしました

「お客様の意見をもとに製品をつくりあげていったのですね。」

広瀬: はい。それはハンドルの部分についてもいえます。このハンドルの形状も持ちやすさ、注ぎやすさを考え、さまざまなモデルを作って検討を行いました。

私たちはこの本格的な卓上ポットを日本だけでなく、世界中で使っていただこうと考え、製品のモデルを何種類も作り、それを持って、アメリカにヒアリングにいきました。

このユニークな形状のハンドルが最も握りやすく注ぎやすいという結論に至ったわけです。アメリカではこれを「エルゴノミックに基づいたデザイン」なんて言うんですよ。

「なるほど、ハンドルの形状ひとつにもたいへんなプロセスがあるのですね。それではボディの部分についてはいかがですか?」

広瀬: 本体は、当時は金属が厚くて、大きくて重い製品だったのです。そこでまずステンレスの厚さを薄くして、軽量小型化を目指しました。

すると当時まだ主流だったガラスのポットと比べて、同じ1リットルの容量でも圧倒的に小さくなりました。

ガラスに比べて丈夫で割れないという利点に加えて、コンパクトで軽量という利点も加わったのです。

■一気に市場が広がりましたが、製品をもっとよくするために改良は続けます

「わたしたちが飲食店などにいっても、多くのお店でこのポットを見ますね。」

広瀬: はい、ありがたいことに、この製品が登場して以来、ステンレス製の卓上ポットという市場が一気に広がりました。

日本・アメリカはもちろん、最近では中国でもコーヒーショップやレストランなど、たいへん多くのお店で使っていただいています。

この製品はいまなお売れ続けているロングセラーですが、これに改良を加えたTHJシリーズを出し、それをさらに進化させた製品を登場させました。それがこのTHSシリーズです。

「具体的にはどういうところが進化しているんですか?」

広瀬: これもお客様から寄せられたご意見を反映させたのですが、ポットの中を洗うときに手を入れてしっかり洗いたいというご要望が多くあったのです。衛生的にもそのほうが安心できるというご意見です。

では、それを実現するためにはどうするか、ということでできあがったのがこの製品なのです。従来のモデルに比べると、口径が広く、主婦の方なら簡単に手を入れて中までしっかり洗うことができるというのが最大のセールスポイントです。

しかし、ここで技術的な問題が生じます。口径が広くなればなるほど保温性能が落ちるのです。それを抑えるための工夫が必要になりました。

「ただ口径を大きくするだけではすまないのですね。」

広瀬: そうなんです。保温性能を維持しながら口径を広げるために、中せんが従来のものより大きくなってしまいました。

しかし、これによって保温性能を維持しながら、中を洗いやすくすることを実現でき、また中せんを大きくしたことにともない、中せんの各パーツも大きくして、お手入れがしやすくなりました。

「なるほど、ひとつひとつの改良がさまざまな部分に影響を及ぼすのですね。」

広瀬: サーモスのポットの中せんにはさらに優れた部分があります。熱いものを入れたときポットの中は水蒸気で圧力がかかっていますから、初期のポットではレバーを押したときに一気に圧が抜けると、それにともない水滴が少し飛ぶことがあったのです。

そこで改良を重ね、レバーを押したときに、中の小さな弁が少しだけ先に開いて圧を逃がし、次に大きな弁があいて注げるようにしました。2つの弁を連動させる事で水滴が飛ぶ事を防ぎ安全性を高めているのです。

このような改良は、開発担当者の製品に対する熱意がないとできませんね。

「ほんとうに細かいところにまで気配りが必要なんですね。」

広瀬: ええ、注ぎ口だけとっても、水の切れひとつでお客様のストレスにつながります。

そうした部分も年々改良を施して、少しずつ進化しています。

もちろん完全ということはありませんし、お客様の声をききながら、今後も改良は進めていきます。

■環境への配慮を考えて製品を選んでいただければうれしいです

「一般に魔法びんというとお湯やお茶を入れるものと考えますが、実際にはどのように使われることが多いのですか?」

広瀬: お客様のアンケートを見ますと、ほとんどの方がお湯を入れて使用して頂いているようです。約2割程度がお茶やコーヒーという割合です。

ただし夏場になると、今度は冷たい水や麦茶など冷たいものを入れて使われる方が多くなるようです。今までのガラス製のポットだと氷を入れると割れてしまうので、そういった面でもステンレスポットの活躍する場が広がってきています。

「お湯を入れるのが中心だとすると、電気ポットでわかしてそのまま保温のほうが簡単、というユーザーもいるのではないですか?」

広瀬: ところが最近はエコへの関心の高まりで、魔法びんを使い始める方が増えているんですね。

わたしどもの製品は、エコ&エコ、つまりエコロジー&エコノミーにうってつけといえます。環境にやさしく、節約にもなる製品なのです。そうした環境という観点からもぜひサーモスの製品をお使いいただければと思います。

「たしかに環境にやさしい製品ですね。ほかにお客様にぜひ伝えたいことはありますか?」

広瀬: はい。それは品質についてですね。わたしたちの製品は、自社工場で一貫生産しており、各工程において自社基準に基づく厳しい品質管理を行っています。品質管理という点では業界で一番だと思っております。

今、これだけ食品や日用品の安全性が問題視されていますので、私たちの製品は原材料の段階から厳しい検査を実施しております。「サーモスの製品ですから安心してお使いいただけます」と強調したいと思います。