THERMOS

Talk & Talk

フィットするから、ヒットする。

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マーケティング部 商品企画課
商品企画第2グループ
森 弘美さん

先日登場したサーモスの新商品『マイボトル洗浄器』が好調だ。「微弱な電流と洗浄液による化学反応で、ボトルの内側の汚れを分解する」と、原理は難しそうながら、誰にでも使いやすく安心感のあるデザインが、主婦層などの高い評価に繋がっているという。今回は、この商品を担当した企画課の若き女性ヒットメーカーの姿を通し、お客様に喜びを提供するサーモスの商品開発についてご紹介していきたい。

ベビー用品やフードコンテナーでヒット商品を開発。

森弘美が商品開発を担当する企画課に異動したのは、入社した翌年の2011年。経営学部でマーケティングを学び、商品づくりに興味のあった森には願ってもないチャンスだった。実際に森は、会社の期待に応え、ヒット商品を量産することになる。

一例は『保冷離乳食ケース&ケータイマグ』。手づくりの離乳食を安全に持ち運べる保冷ケースで、ケータイマグとしても使えるという欲張りな商品。食の安全に敏感なお母さんに支持され、今に続くロングセラーとなった。『フードコンテナーポーチ』は、森が上司を説得して開発した商品。真空断熱フードコンテナーの保温性を高め、持ち歩きにも便利なポーチは、働く女性の気持ちをがっちり掴み、「これがあるからサーモスのフードコンテナーを買う」というほどのヒットに繋がる。

お客様に「ほしいもの」を
気づかせるプロセス。

もちろん、華々しい成果の影には、水面下で鴨が水を掻くような地道な努力もあった。先ほどの商品でいえば、サーモスには離乳食に関する商品を扱った経験がない。それ故、容器の大きさを決めることさえ手探りの作業となった。レトルトの離乳食を買い集め、子育て経験者に取材し、ようやく一食分の容量が判明する。万事がこの通りで、地味すぎる試行錯誤の繰り返しだった。森は当時を回想し、「学生の頃、商品開発というのはもう少し華やかな仕事だと思っていました」と、笑う。

一昔前『ほしいものが、ほしいわ』という百貨店のコピーがあった。消費や欲望が多様化する今、消費者はほしいものを聞かれても即座に答えることなどできない。実際に商品に触れ、自分の気持ちにフィットした時に初めて、「ああ、これがあるとうれしい」と感じられる。だからこそ開発に際しては、機能、デザイン、名前やパッケージ、広告に至るまで、「相当いろいろなところに気を配らなければいけない」と、森は考えている。

実験器具から
キッチンウエアへ。

そんな森の実績を見込んでだろうか、新潟事業所の開発陣から面白い話が舞い込む。化学反応を使い、短時間でボトルを洗浄する技術が見つかったという。確かに以前から、ボトルについた茶渋を手軽に落としたいというニーズはあった。だが、サンプルを見た森は、「まるで理科の実験器具みたい」と驚く。これまでサーモスが経験したことのない技術を、どのようにお客様に提案すればいいのか。森は途方に暮れた。

しかし森はこの難問を、やはり正攻法で乗り切ることにした。彼女自身「今までで一番大変な開発」と認めるように、これまで以上に地道な試行錯誤の積み重ねである。

商品のデザインは主婦になじみの深いキッチンタイマーに習い、色は清潔感のある白とした。また、売りである“3分”の洗浄時間がわかるよう、タイマーや通電ランプも装備。お客様が実際に使うシーンを想定しながら、仕様を決定していった。ユニークなデザインをアピールするため、商品は透明ブリスターに入れるなど、パッケージにも工夫を凝らした。サーモスとしても異例の開発であったが、「私たちだけではなく、他部署の方々の協力もあって、ようやく形にすることができました」と、森はいう。

お客様のライフスタイルと
親和性の高い商品を。

完成した『マイボトル洗浄器』は、斬新な機能を持ちながら、実にスマートで親しみやすい商品に仕上がっている。これは、機能面での驚きは重要だが、デザインなどは必ずしも奇抜である必要はないという、森の信念に従ったものだ。「むしろ、お客様のライフスタイルの中にスッと入っていける方がいい。作り手の自己満足にならないバランス感覚というものを大切にしました」と、森は強調する。

サーモスは『マイボトル洗浄器』を、単なる洗浄用具とは考えていない。この商品の存在により、「ボトルは洗うのが面倒」と敬遠していた人を新規顧客として開拓し、「洗浄器にあわせて次回もサーモス」と、顧客を囲い込むこともできる。非常に戦略的な新商品なのだ。そのためにも、森のような人材による妥協のない商品開発が必要とされたのだろう。

マグだけじゃない、
ベビーやフードにも強いサーモスへ。

フードコンテナーなど、よりおいしさや楽しさを追求する商品に力を入れているサーモスにおいて、森のような女性開発者の果たす役割は大きい。今後の開発方針について森は、「スープ以外にも、フードコンテナーで持ち運ぶ新しいメニューを開発し、提案していきたいですね。ベビー用品についても、ママからサーモスを選べば安心といわれるように、ラインアップを広げていきたいと思います」と、打ち明けた。

「新商品の絵柄やラインアップを考えながら、テンションが上がっていく瞬間が好き」という森。上司には「テンションが高い時ほど商品がヒットする」と、評されているらしい。彼女のホットなアンテナは、次にどんなヒットのネタを探し当てるのだろうか。