木村東吉のサーモスを巡る旅~新しいシャトルシェフで作る、絶品プルドポーク

その保温性の高さを生かしてシャトルシェフで数々のレシピを楽しんできた木村東吉さん。その東吉さんの家に新しいシャトルシェフが届きました。アウトドア用シャトルシェフの魅力は、下ごしらえをちゃんとすれば、あとは手をかけなくていい手軽さにあるそう。東吉さんに、とっておきのレシピを紹介してもらいました。

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長年、シャトルシェフを愛用してきた木村東吉さんの家に最新型が届きました。今回は、数あるレシピの中からおすすめの一品を教えていただきました。じっくり加熱できるシャトルシェフならではのメニューです。

新しいシャトルシェフを手に入れた。

容量は3リットル。

もちろんアウトドアのシーンで使える、フタにロック機能が付いたタイプである。

シャトルシェフの主な機能は保温調理である。調理鍋に数分間、熱を加え、あとは専用の保温容器に入れておけば、そのまま保温でき、素材が柔らかく調理される。
加熱するのは数分間なので、火力の節減になり、エコロジカルな調理器具でもある。

アウトドアの場面でも移動中に調理が進むので、ありがたい。自宅で調理して、2~3時間後に現地に着いてすぐに温かい料理にありつける。が、ボクの場合は、料理の下ごしらえで使用する頻度が高い。

日本ではあまり馴染みのない料理だが「プルドポーク」という肉料理をご存知だろうか?

BBQの本場アメリカでは「スペアリブ」と同様に、BBQ料理を代表する一品である。

豚(地方によってはビーフもある)の塊肉をスモークして、それを引き裂く(Pull)ことから、このネーミングが付いた。

基本的な調理法は、長時間煮た後に燻すのだが、スモークしなくても十分に美味しく仕上がる。

このコラムで以前も書いたと思うが、冬になると長期でアメリカに行くことが多い。主にアメリカの国立公園を歩くことが目的だが、宿泊形態は様々で、テントを張ることもあれば、キャンピングカーを借りて各地を転々とすることもある。

1か所に長期滞在する場合は、「Airbnb」というサービスを使って、人の家やマンションの一室を借りることもあるが、たいていは各国立公園近辺の安モーテル(公園内は驚くほど高いところが多いので)に寝泊まりしながら、旅をする。

アメリカのモーテルはとても便利で、ほとんどの部屋に冷蔵庫と電子レンジが備え付けられている。時にはラッキーにも、簡易的なキッチンが付いた部屋もあるが、あまり大掛かりな調理は不可能である。

そんな時に大いに活躍するのがスーパーマーケットのデリカテッセンのコーナーである。

日本のスーパーマーケットのデリ(お惣菜コーナー)と言えば、揚げ物がほとんどで、ほんの少し、中華惣菜とサラダが並んでいる程度だが、アメリカのデリはスケールが違う。

たとえばサラダなら、サラダバーがあり、そこにはフレッシュな野菜、温野菜、煮野菜、炒め野菜、パスタ、豆、穀物などがあり、1パウンド(約450グラム)単位で、自分で選ぶことができる。もちろんドレッシングも多種多様。そのサラダバーの横にはスープバーがあり、カップの大きさ単位で、様々なスープやシチューが選べる。

ミートデリの店先には30種類ほどのソーセージ、ハム、ローストビーフが並び、たとえばローストビーフだけでも3種類か4種類、陳列してあるのだ。
ちなみにサラダバーで1パウンド単位で選べると言ったが、種類によってはハーフパウンド、クォーターパウンドも選択できるので、遠慮なく好きな量を買えばいい。サービスのいいところでは味見だってさせてくれる。

そんな充実のデリ・コーナーの中でも、「プルドポーク」はボクのもっともお気に入りのメニューのひとつである。

もう前置きはいいから、早くレシピを教えろって?

了解! 驚くほど簡単だから、つい前置きが長くなってしまった。

まずは豚肉の塊肉を買ってくる。部位は肩ロースとか腿ロースとか、適度に脂身が混じっているモノがいい。豚バラ肉だと「角煮」になってしまうので、それは避けたほうがいい。

その塊肉を3センチから4センチくらいの厚さに切り分け(たとえば500グラムの塊だと、3個か4個くらいに切り分ける)、その塊肉ににんにく、塩、胡椒、あればチリペッパーをすり込む。チリはなくても構わない。

そのまま室温で30分ほど放置。それから、フライパンで表面に焼色が付くまで炒める。
ここまでが大事な下ごしらえだ。

シャトルシェフの調理鍋に赤ワイン(料理酒でも可)、醤油、水をそれぞれ200CCほど入れ、沸騰させて、そこに焼いた豚肉を投入。約5分、煮立てる。

そのあと、調理鍋を保温容器に入れて保温。

約4~5時間したら、容器から出して再び加熱。沸騰したらすぐに火を止め、容器に入れる。そしてもう一回、4~5時間後に熱を加えて、保温。
この4~5時間というのは適当で、一晩でもいいし、朝、煮て、夕方に帰宅してもう一度、煮ても構わない。とにかく3回、沸騰させて保温する。

これだけだ。

シャトルシェフから肉を取り出す時は、注意したほうがいい。ホロホロに柔らかくなっているので、箸で取り出そうとするとポロっと肉の塊が落ちてしまうことがあるからだ。

文字どおり、フォークで引き裂くと(Pull)と、コンビーフのようにバラバラになるのだ。

これに市販のBBQソースをかけてもよし、面倒じゃなければ、この肉を煮たスープを煮詰めてソースにしてもいい。
ボクのお気に入りは、フライパンで塊肉を炒めながらタナーでほぐし、いい感じの焦げ目が付いたら、溶き卵を入れて一緒に炒める「スクランブルエッグ&プルドポーク」。この時、フライパンに油を入れる必要はない。塊肉からいい具合に油が出る。

仕上げに粗く引いた塩と胡椒を振りかければ完璧。クレージーソルトやケジャンソルトでもいい。朝食のおかずや、酒のつまみに最高。

ちなみに裂いた肉をBBQソースに絡め、コールスローと共にバンズに挟んで、ハンバーガーのように食べるのがアメリカではポピュラーだ。

こんなふうにいろいろ楽しめる「プルドポーク」。

シャトルシェフなら時間が勝手に作ってくれる。
お試しあれ!

<プロフィール>
木村東吉(きむら・とうきち)
1958年大阪生まれ。1979年よりモデル活動開始。『ポパイ』『メンズクラブ』等の表紙を飾り活躍。30代より、趣味からアウトドア活動を始め、世界各地のアドベンチャーレースに参加。その経験を活かし、日本でも様々なアドベンチャーレースを主催して、おしゃれで洗練されたオートキャンピングブームの火付け役となる。現在は河口湖に拠点を置き、アウトドア関連のイベントプロデュースのほか、キャンプ教室の指導・講演、執筆など幅広く活動している。

編集:オフィス福永

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