THERMOS

サーモスの歴史 ステンレス魔法びんの登場

1904年に登場した魔法びんは、時代の変遷とともに形状や機能を変えながら世界中で愛用されてきました。ただ、その基本構造はガラス製真空二重びんという1904年に発売された当時のままでした。しかし、1978年に世界初の高真空ステンレス製魔法びんという画期的な製品が日本で登場したのです。

日本の技術が世界初を実現

ガラス製魔法びんは、ボトル本体を真ちゅうなどの金属やプラスチックのケースに入れて持ち運びを容易にしていましたが、本体の素材がガラスである以上、強い衝撃が加われば割れてしまうことは防げませんでした。

その真空ボトルをステンレスで実現したのが、工業ガスメーカーの日本酸素でした。非常に難しいとされていた高真空の金属製魔法びんを、長年培ってきた高度な真空断熱技術や金属加工技術・溶接技術を結集して、1978年に高真空ステンレス製魔法びん、いわゆるステンレスボトルを世に出しました。それが「アクト・ステンレスポット」です。

  • (開発用のステンレスボトル写真)

キャッチフレーズは「割れない魔法びん」

発売当時の広告を見ると、おもしろいことに気づきます。それは「ステンレス製魔法びん」とうたっているのではなく、「割れない魔法びん」をキャッチフレーズにしているのです。

当時でも魔法びんのポットや水筒は多くの家庭にもありましたが、倒したり、落としたりすると割れてしまうことが大きな欠点でした。その欠点が解消されたことがもっとも大きなセールスポイントだったのです。

しかし発売当初は、ガラス製魔法びんに比べて非常に高価であり、販売チャネルも無かったため、自動車・バイクメーカーの本田技研工業の販売網を使って発売することになりました。振動などにも強く、割れにくいステンレスボトルは、バイクでのツーリングやアウトドア用途から徐々に浸透し、従来の魔法びんの使用範囲を超え、大きく拡がっていくことになるのです。

シャトルミニで一般家庭にも浸透

ステンレスボトルの登場から4年、1982年に「シャトルミニ」という子ども向け製品が登場しました。価格も発売当初よりは大きく下がり、手頃な価格帯になったことから、遠足や運動会用として大ヒットしました。

その後も1986年には、スリムタイプの「シャトルタウン」が発売され、軽くて携帯に便利なことから登山やアウトドア用途でも愛用されました。それが軽さと強さを極めた世界初のチタン製魔法びん「シャトルチタン」の登場につながりました。

登場から30年以上たった今では、ステンレスボトルは様々なタイプが発売され、広く一般家庭に浸透しています。魔法びんは一家にひとつの時代から、一人にひとつのマイボトル時代になっています。

次回はますます進化するステンレス魔法びんの技術的な部分にふれてみたいと思います。

  • (シャトルミニ)

  • (シャトルタウン)

  • (シャトルチタン)