初めてのお灸、やってみました!

病院に行くほどではないけれど、重だるい体をちょっと楽にしたい……そんな時に役立つのが、日本人が古くから親しんできた「お灸(きゅう)」です。今回は、さまざまなお灸が並ぶ「せんねん灸」のショールームで、初心者向けアドバイスをいただきました。

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ぐずぐずした空模様が続く季節は、頭痛や腰痛が悪化するなど、いまいち体調がすぐれない日があるものです。除湿や冷房の人工的な風にさらされ、体が冷えきってしまうことも。そんな時こそ体を深部から温め、体調を整えてくれるお灸の出番です。今回は梅雨時の体調不良を解消するヒントを探して、お灸の専門店「せんねん灸」を訪ねました。

お灸は、体をケアして自ら健康を管理する養生(ようじょう)法の一つで、紀元前から続く長い歴史があります。経脈や経穴(ツボ)に詳しくないと難しそう、痛そう、熱そう……そんな先入観は、お菓子箱のように色とりどりのお灸が並ぶ「せんねん灸ショールーム銀座」に足を踏み入れたとたん、吹き飛びました。

愛用者らしきお客さんでにぎわう店内で、スタッフの市倉愛実さんが笑顔で迎えてくれました。世界保健機関(WHO)が示した統一基準によると私たちの体には361ものツボがあるそうですが、お灸ビギナーには「合谷(ごうこく)」がオススメとのこと。
「熱いほうが効果があるというわけではないので、自分が心地良いと感じる温熱レベルでお灸をしていただければいいんです」と市倉さん。
まずは温熱レベルが低い《はじめてのお灸moxa(モクサ)》を試してみました。

合谷は、親指と人差し指の骨の交点から人差し指の指先へ向かって皮膚をなでて、へこんだところ。首や肩のこり、目の疲れ、鼻みず・鼻づまり、喉の痛みなどに効く「万能のツボ」として知られています。

香りを楽しむうちに、じんわりとツボが温かくなってきました。燃えている部分は、ヨモギの葉裏の細かい毛を集めた「もぐさ」。最高級のもぐさは、乾燥重量1kgのヨモギの葉から5gしか採れない貴重な天然資源です。しっとりとした温かさで、保湿しつつ体の芯まで熱を伝えてくれます。

「煙がやんでも熱が持続するので、5分ほどそのままで。途中で熱いと感じた場合はすぐにはずしてくださいね。逆にそれほど熱さを感じないなら血の巡りが良くないと考えられます。お灸は、食事と入浴の前後30分を避けて行ってください。1箇所のツボでもお灸をすると全身の血行が良くなります。手足にある左右のツボを1対として、1日3対程度がおすすめです。また、ツボへお灸をしてみて、温熱を感じにくいようでしたら、そこは効果的なポイント。ぜひ、毎日お灸をしてください」(市倉さん)

ところで、どうして梅雨時は体調を崩しやすいのでしょう。特に冷え症の女性には見過ごせない問題です。それを解消できるツボはあるのでしょうか。

せんねん灸ショールーム銀座の所長・小泉洋一さんにお話を伺いました。
梅雨時の湿気(外湿)は胃腸の働きを弱らせ、水分と栄養の吸収力を低下させて、体の水余りである「むくみ(内湿)」や「エネルギー(気)不足」を招きます。東洋医学では病気の原因となるものを全て「邪(じゃ)」と呼び、誰もが知るカゼも「風邪(ふうじゃ)」が語源とのこと。体の内と外の湿度が高い状態は「湿邪(しつじゃ)」と言います。

「梅雨時は胃腸が弱っているところに気温と湿度が上がり始めるので、腸の活動が低下して消化不良を招きがちです。腸内に停滞した食べものが内臓下垂を起こすため、体が重だるく感じるのです」

そこで、胃腸の働きを高めるのに効果があるツボを教えていただきました。それが「手三里(てさんり)」と「陰陵泉(いんりょうせん)」です。

小泉さんによれば、「肌がくすんだり、かさついている箇所は血行不良を起こしています。血行不良によって皮膚に張りがなくなり、なでてみると、たるみ、凹みとして感じます。指で触れた時の感覚を大事にしましょう。凹みがわからなければ、押してイタ気持ちいいところにお灸をしてください」とのこと。「ツボの場所を示す指の幅何本分というのは、あくまで目安です。また、お灸をすえる前後に首などを回してみて、体の変化を実感してほしいですね。ツボを温めると、必ず変化を実感できますから」

次に、冷え症を緩和するツボも教えてもらいました。
腰にある「腎兪(じんゆ)」は、体を温めるのに最も効果的なツボだそうです。目が届かない場所なので、火を使わないタイプのお灸がおすすめ。「腎兪」の場所がわかりにくいという人は、足の「太渓(たいけい)」に。いずれも体が熱をつくる働きを高めてくれる、基本のツボです。

腎兪と太渓はお肌のツヤ・ハリ、美髪など、「アンチエイジングのツボ」でもあると聞き、俄然、やる気が出てきました。

最後にご紹介するのは、小泉さんイチオシの「三陰交(さんいんこう)」。骨盤やその周辺の血行を改善し、子宮や卵巣の調子を整えるという、女性に人気のツボです。
内くるぶしの中心に小指を置き、指幅4本ほど上がったあたりが「三陰交」です。
早速、火を使わないお灸《太陽》で試してみました。

火を使わないお灸なので、洋服の下に着けたまま外出もOK!「もぐさシート」からツボに伝わる 温熱は3時間持続し、足元がぽかぽかしていい気持ちです。

15世紀後半、日本にやってきた西洋人はお灸を「火のボタン」と呼んだそう。その後、江戸時代に広く普及したお灸は、長く庶民に愛されてきた養生品です。
現在では煙が出ない(炭化もぐさで煙が少ない)タイプや、頭のツボへもお灸ができる棒温灸など様々なタイプがあり、自分に合ったものが選べます。

体をじんわりと芯から温め、心までほぐしてくれるお灸。未体験の方もぜひ一度お試しを!



◎せんねん灸について

せんねん灸はオンラインショップのほか、銀座と名古屋、本社のある滋賀県・長浜、京都、大阪、博多に直営店舗があり、お灸教室や体験会を実施。初めての人も、スタッフのアドバイスのもとでお灸デビューできます

ツボの写真提供:せんねん灸発売元 セネファ株式会社
ライター:瀬戸内千代
カメラマン:村上宗一郎(せんねん灸ショールーム銀座での写真)
編集:オフィス福永

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