サーモス初の保存容器は何が違う? 商品担当者に聞いてみた

2022年8月に登場した、サーモス初の保存容器「Myフードコンテナー」。角型、丸型2つの形で、調理シーンをより快適なものにしてくれます。そんなMyフードコンテナーの開発意図から、魔法びんメーカーならではのこだわり、おすすめの使い方までを、マーケティング部の近聖子さんに教えてもらいました。

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近聖子

近聖子

(ちか・せいこ)

2003年入社。サーモス マーケティング部・商品戦略室に所属。これまでお弁当箱やソフトクーラーなどの商品開発に携わる。ワーキングマザーで、主婦目線を反映させることを心がけている。

ごはんを冷凍したり、作り置きのおかずを冷蔵したり。保存容器は暮らしになくてはならない存在です。だからこそ、ストレスなく使えたらうれしいもの。2022年8月にサーモスから発売された保存容器「Myフードコンテナー」には、快適な使用感のための工夫がたくさん散りばめられています。

Myフードコンテナーについて、マーケティング部・商品戦略室の近聖子さんに詳しく伺いました。

Myフードコンテナーの魅力をたっぷり語ってくれた近さん

――まずは、Myフードコンテナーの開発意図を教えてください。

近さん
「これまでサーモスは魔法びんメーカーながら、フライパンやキッチンツールなどの調理器具の開発も行ってきました。その中で調理器具の使用シーンを考えたとき、食材を漬け込んだり、作り置きしたりできる保存容器の必要性を感じ、今回のMyフードコンテナーを開発することになりました」

Myフードコンテナー丸型は、300ml、500ml、700mlの3サイズ展開。300mlは、ごはんの冷凍保存にもおすすめ

――Myフードコンテナーは角型と丸型がありますが、どうしてこの2つの形を採用したのでしょうか?

近さん
「保存容器ユーザーの方々にリサーチをかけたところ、使い勝手のよい角型の使用率が高いことや、丸型は汁物の保存用として多く使われる傾向があることがわかりました。さらに市場を調査すると、魚や肉の漬け込み調理ができる大きいサイズも人気でした。そういった使用用途の違いなどから、丸型、角型の2つの形を採用し、さまざまなサイズを展開しています。また、角型の1500mlのタイプは食材が漬け汁にしっかりと漬かる浅型にするなど、形状と容量の組み合わせにもこだわりました」

Myフードコンテナー角型は380ml、600ml、800ml、1500mlの4サイズ展開

――なるほど。デザインもシンプルでかっこいいですよね。

近さん
「ありがとうございます。さまざまな使用シーンに馴染むように、できるだけ凹凸をなくしてフタのカラーも黒にしました。保存容器なので中身を確認できるよう、本体を半透明にしながらも、美しいデザインであることは、こだわった部分ですね。角型タイプはフタの下に凹凸があるんですが、これは熱による変形を避けるための設計。強度を担保し、繰り返し電子レンジで温めても長く使ってもらえるように考えてデザインしています」

――ものを長く使いたいと思いつつ、今は保存容器を安価に購入できることもあって、家にさまざまなタイプのものが散乱していて。それが結構なストレスなんですよね……。

近さん
「そういったユーザーさんからの声も多いので、Myフードコンテナーはスタッキング(積み重ね)をしやすい仕様にしています。冷蔵庫などで保存する際、積み重ねても安定するようなフタの形状にし、“乗り感”にこだわりました。使わない時は、重ねてコンパクトに収納することも可能です」

たくさん積み上げても安心の安定感!

――サーモスといえば魔法びんのパイオニアだと思いますが、その技術はMyフードコンテナーにもいかされているのでしょうか?

近さん
「はい! 一番わかりやすいのは、丸型タイプに採用しているサーモス独自の減圧対策設計ですね」

――減圧???

近さん
「減圧とは、容器の外側よりも内側の圧力が下がって、フタが開かなくなる状態です。たとえば、お吸い物のフタって開けにくいじゃないですか。あれはお椀に熱い汁物を入れてフタをすると、汁物が冷えていくのに伴って、外側の圧力のほうが高い状態になり、フタが密閉されてしまうために起こる現象です」

近さん
「サーモスのスープジャーは、そのような現象を防ぐ仕組み(減圧対策設計)が搭載されているので、フタが開かなくてランチが食べられない……なんてことが起こらないようになっているんです。Myフードコンテナーの丸型タイプはこの技術を応用して、フタの内側に小さな溝を2つ施すことで圧を逃す設計にしています」

――えっ。フタの内側に溝、ありますか? 見つかりません……。

近さん
「ふふふ。『どこにあるの?』と思っていただけるくらい、本当に小さな工夫なんです。一見、普通の商品と変わらない見た目なんですが、この溝があるだけでしっかりと減圧対策ができるんですよ。言葉だけじゃ納得していただけないかもしれないと思って、今日はフタに溝があるもの、ないものの2つの容器を中身入りで持ってきました。それぞれ開けてみてください」

左がフタに溝のある容器。右がフタに溝のない容器。一見、特に違いはないように見えるのですが……

――なんと! 用意周到ですね。私けっこう怪力なんで開いちゃうと思いますが、まずはフタに溝のないものから試してみます。(思いきり力を込めてフタを回しながら)って、本当に開かないじゃないですか!

びくともしない!

近さん
「そうですよね(笑)。ではフタに溝をつけているものも試してみてください」

――今度は速攻で開きました(笑)。素人目にはわからないような、小さな溝をつけるだけで減圧対策ができるんですね。

ノンストレスでするっと開けられたフタに溝のある容器。その差にびっくり

近さん
「はい。ちなみにサーモスのスープジャーのフタは減圧対策設計のため、2つのパーツにわかれているんですが、Myフードコンテナーはさらに単純化された構造になっています。保存容器という特性上、洗いやすさと使いやすさを叶えるため、そこはとことんこだわりました」

スープジャーのフタに搭載した減圧対策設計の仕組みを、Myフードコンテナーでは、よりシンプルな形で装備

――実際に開けてみて、フタの握りやすさにも驚きました!

近さん
「握力に自信がなくても簡単に開けられるように、グリップの形も研究を重ねましたね。それとタブの付いたパッキンもこだわりです」

タブを軽く引っ張るだけで、するっとパッキンの着脱が可能

近さん
「このタブがあることで、取り外しが簡単にできるようになるんです。『洗いたいところには手が届く』というのがサーモスの設計水準なので、細かいところにも使う側の気持ちを反映させています」

――角型のほうのこだわりのポイントはありますか?

近さん
「角型タイプは“蒸気弁”を開ければ、フタをしたまま電子レンジで使用が可能です」

蒸気弁。電子レンジに入れる際は、ここを開けておけばOK

近さん
「サーモスのランチジャーにも蒸気弁が付いた製品はあるのですが、本体と一体にはなっていません。今回追求したのはパーツとフタの一体化。というのも、私もランチジャーを使っているんですけど、洗っている時に排水溝に流しちゃうことがあって(苦笑)。紛失防止のためにも、パッキン一体型の蒸気弁は譲れませんでした」

ランチジャー(左)の蒸気弁は分離型だが、Myフードコンテナー角形(右)は一体型

――ところで丸型と角型どちらにもパッキンが使われています。やっぱり保存容器には必要なものなのでしょうか?

近さん
「保存するうえで大切な止水性を高めるためには、パッキンがあると安心です。ちなみにこのパッキンは買い換えることができるんですよ。1年くらい使ったら取り替えて末長くMyフードコンテナーを使っていただけたらうれしいです」

――サーモスの公式HP には、Myフードコンテナーを下味つけや、スイーツの型として使って作るレシピが紹介されています(★詳しくはこちらをクリック★)。近さんおすすめの使い方を教えてください。

近さん
「私の場合、それこそ角型の大きいサイズのものは、煮物やおでんの保存に使うことが多いです。あと、白菜がいっぱいあるときは容器に入れて3分くらいレンジで温めて、白だしとごま油を回し入れる。これだけで副菜が一品できあがります。それから食材自体の保存にもよく使っていますね。たとえば余裕があるときに、大根やニンジンをカットして入れておけば、あとは火を通すだけで調理できるから、忙しいときに重宝するんです。

丸型700mlのものは、縦長の形なので野菜スティックを入れておくのにも便利です。300mlのものには料理で残ったネギを刻んで冷凍しています。これまでは保存袋で保存していたんですが、ジッパーに食材が挟まったりして地味にストレスだったりして。そういう些細なストレスからも解放されますし、食材を無駄なく使えるのでおすすめです」

毎日使うものだからこそ、ちょっとしたストレスがないようにと開発されたサーモスのMyフードコンテナー。角型も丸型もパッキンを取り替えて長く使うことができるので、日常の良きパートナーになってくれるはず。

撮影:小野奈那子
編集:ノオト

船橋麻貴

船橋 麻貴

ふなばし・まき

雑誌やWEB、広告などで執筆中。生涯の目標に締切厳守を掲げるものの、いろいろ遅れがちな人生。特技は暴飲暴食と思いつき旅。焼き菓子&パン1年生。

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