カビの原因は「温度」「湿度」「汚れ」 梅雨に実践したい毎日の予防掃除

雨の日が続き、湿気も増える6月。梅雨=カビが生えやすい時期という漠然としたイメージはありませんか? 実は半分正解で、半分間違い。ハウスクリーニングサービス「クリスタルミューズ」代表の木村由依さんにカビができる原因と、各所のカビ対策について教えてもらいます。

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木村由依さん

木村由依

きむら・よしえ

お掃除オーガナイザー®/クリスタルミューズ代表。2008年よりハウスクリーニングの専門技術と、思考と空間を整理するライフオーガナイズ®の手法を組み合わせた独自の『クリスタルメソッド』で、個人向けの掃除と片付けのサービスを提供。講師としてもグループ講座やプライベートレッスンを開催。またメディア出演や書籍監修や各種取材も多数。
クリスタルミューズ: https://crystal-muse.com/

木村さんによると、カビは温度、湿度、汚れ が揃えば、季節も場所も関係なく発生するもの。特に気温と湿度が高まる梅雨は、カビの繁殖力が増す時期と考えるのが妥当だそうです。

木村さん
「カビは透明なヌメリから、だんだんと色が付き、目に見える状態へと変化します。残念ながら、カビは自然消滅してくれません。でも、透明なヌメリの段階で対処すれば、自分で簡単にカビ対策ができるのです。

まずは、家の中のどこに温度、湿度、汚れが揃いやすいか予想を立てること。カビを見つけてがっかりするのではなく、先手必勝で目に見えるカビをなくしていきましょう」

木村さん
「排水口はシンクから流れる汚れと、水道管からの雑菌の合流地点です。ドロドロに汚れるまで放置するはNG! 手が届くゴミ受けのカゴとトラップは常に清潔を保ちましょう。食器洗いのついでに丸洗いすれば、キレイな状態をキープできます。梅雨時期は毎日洗うのが理想的ですが、『週1回数』または『肉料理を作った日は必ず洗う』など、自分なりのルールを決めても良いと思います。油でフライパンや食器が汚れた日は、排水口も同様に汚れていると想像しましょう。

また、意外とカビが発生するのがシンクの側面。意識しないと触れることがないので、汚れが付着しても見落としがちなポイントです。さらにスポンジ置きや洗剤ボトル、蛇口の裏側も、よく見たらカビが生えていた……というお宅が珍しくありません。こまめにブラシやタワシで擦り落としましょう。硬いカルキに付着したカビは擦るだけでは取れません。クエン酸で中和すると、取れやすくなります」

掃除方法

  1. 1:食器洗いのついでに、排水溝とシンクの側面をスポンジで洗い流す
  2. 2:洗剤ボトルの底やスポンジ置きのヌメリを洗い流す
  3. 3:蛇口の裏側をチェック、汚れがあればブラシで擦る

木村さん
「浴室のカビ対策で一番大切なのは、古い水たまりを見逃さないこと。浴室の四隅や、ボトルの底などが濡れたままだと、それが透明なヌメリから、赤カビや黒カビに変化します。カビ防止のために『拭き取り』『浴室乾燥』はマストと考えがちですが、そこまでしなくても、シャワーを当てながらブラシで擦るだけで、透明なヌメリのうちに阻止することができます。排水溝も髪の毛を取って満足するのではなく、ついでに擦り洗いできると良いですね。

また、浴室の扉には浴室内の湿気、洗面所からのホコリがたまります。カビが発生する要素がここにも集まっています。プラスチック素材に付着したカビは洗い流せますが、パッキンに浸透して繁殖したカビはプロでも取れないので、毎日さっとブラシで擦りましょう」

掃除方法

  1. 1:浴槽洗いのついでに、浴室の四隅にたまる水をブラシで擦って、シャワーで洗い流す
  2. 2:浴室から出るタイミングで排水溝の髪の毛を取り、ブラシで擦ってシャワーで洗い流す
  3. 3:ドアの溝もブラシで擦ってシャワーで洗い流す

木村さん
「トイレは狭くて風通しが良くない上に、衣類の着脱でホコリが舞いやすい空間です。夜のうちに積もったホコリを朝イチのトイレのついでに拭き取ってしまうのがオススメ。便器表面のホコリ取りには、100円ショップなどでも手に入る『セスキ炭酸ソーダ』が便利です。シュッとひと吹きして、トイレットペーパーで拭き取りましょう。

また、汚れが飛び散らないようにトイレを流す際はフタを閉めることも大事。便器内の水は蒸発するとトイレの湿気、カルキ促進の原因になります。いつもフタを閉じておくなどの心がけも意識しましょう」

掃除方法

  1. 1:セスキ炭酸ソーダを水で溶かしたスプレーをタンク、トイレ蓋の上側、内側、便座の上、便器の内側、便器の縁にスプレーする
  2. 2:厚めに取ったトイレットペーパーで拭き取る
  3. 3:トイレットペーパーを流すついでに、便座内をブラシで擦る

木村さん
「下駄箱は風通しが悪い場所。特に木材を使用している下駄箱は湿気をよく吸います。丁寧に靴を磨いて収納しても、下駄箱にカビの胞子が溜まっていては台無しです」

掃除方法

  1. 1:靴だけでなく、取り外せるならば棚板もすべて出して、下駄箱を四角い空っぽの一つの箱にする
  2. 2:四隅までしっかり拭く。棚板も拭いてから戻す
  3. 3:選定した靴を入れる。靴の詰め込み過ぎは、風通しが悪くなるので、定期的なメンテナンス&掃除をする気になる環境キープを心がける

木村さん
「湿気やホコリを吸着する衣類が集まり、風通しが悪いクローゼットもカビ対策が必要な場所です。衣替え時は頭も視線も衣類にだけ集中しているので、梅雨時期はカビに意識を向けましょう」

掃除方法

  1. 1:衣類をすべて取り出す。できれば、ベランダで風通しと紫外線殺菌をする
  2. 2:掃除機をかけてから、パイプや壁の四隅をしっかり拭く
  3. 3:自分が取り出しやすい配置や量を考えて、衣類を戻す

木村さん
「梅雨時期は部屋干し臭が気になるという人がいますが、洗濯槽のカビ環境が臭いの原因となっている場合があります。 また、ゴミが入ったまま放置された糸くずネットにもカビが発生し、洗濯時に衣類に付着して臭います。糸くずネットを『カビのティーバッグ』にしないためにも、こまめなゴミ取りをオススメします」

掃除方法

  1. 1:洗濯機のフタの裏側や、洗剤ポケットなどを拭く。凹凸がある場所はブラシを使う
  2. 2:洗濯槽用の洗剤を使う。糸くずネットは、洗濯するたびに糸くずを取り出す

木村さん
「カーテンは家のフィルターというイメージを持ちましょう。見た目はキレイでも、外気の排気ガス、部屋のホコリや臭いなどを吸着していて、窓の結露により湿気も発生しやすいです。カーテンを洗うだけで部屋の空気がさっぱりするので、半年に一度と時期を決めて洗濯するのがオススメですよ。ついでに、花粉や黄砂などで汚れた窓も拭きあげれば完璧です」

掃除方法

  1. 1:カーテンを取り外して、洗濯する
  2. 2:カーテンを洗濯している間にレールのホコリを取り除き、窓拭きも行う

木村さん
「部屋の空気を循環させるエアコンの内部にも結露はたまります。フィルターのホコリは空気中の油分も含んでいるので、洗剤で丸洗いするのがオススメです。お風呂場やトイレなど、家の中にあるエアコン以外のフィルターもまとめて洗うと気持ちが良いですよ。カーテン同様、半年に一度と決めてしまうと楽チンです」

掃除方法

  1. 1:フィルターを取り出し、掃除機でホコリを吸い取る
  2. 2:フィルターを水洗い、もしくは洗剤洗いする

仕事や育児、いくつもの家事をこなしながら毎日の暮らしを送る私たち。まとまった時間が取れる週末に掃除をすればいいか……とついつい考えてしまいがちですが、カビ対策の合言葉は「先手必勝!」。手遅れになる前の小さなアクションが何より大切なようです。

木村さん
「食事をしたら歯を磨くように、キッチンも浴室もトイレも使ったらさっと掃除する。この意識を持てるようになると、掃除のハードルも苦手意識もなくなり、カビに悩むことも減るはずです。掃除は我流ではうまくいきません。なぜ汚れるのか? なぜカビが発生するのか? を考え理解してから、生活環境やライフスタイルに合わせた正しいスキルを手にしてくださいね」

イラスト:Yayoi Sagara
編集:ノオト

関あやか

ライター:関あやか

せき・あやか

有限会社ノオト所属の編集者、ライター。ヨガウエアやオーガニックコスメの販売経験から、好きな分野は料理、美容、健康、ライフスタイルなど、毎日の暮らしにまつわるなにげないこと。

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