【初心者向け】ポイントは2つ!購入前に知っておきたいスポーツバイクの選び方

昨今の社会情勢もあり、通勤や運動不足の解消、サイクリングを楽しむためなど、いま、スポーツバイクの人気が高まっています。そこで今回は、スポーツバイクの購入を考えている人に向けて、選び方のポイントを紹介。「スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ」の店主、鈴木卓史さんにお聞きしました。

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鈴木卓史(スズキ・タカシ)

鈴木卓史(スズキ・タカシ)

「スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ」店主。中学生の頃、雑誌に載っていたロードバイクに一目惚れ。以来ロードバイクに魅了され、好きが高じてスポーツバイク専門店をオープン。「自分の足で風を切る爽快感、峠を登ったときの達成感、仲間と走る楽しさ、このロードバイクの素晴らしさを一人でも多くの方に伝えたいです」(鈴木さん)
https://suzupower.com


――いわゆる「スポーツバイク」と呼ばれる自転車には、どんな種類があるのでしょうか?

「一般的なものは主に、街乗り向けのクロスバイク、長距離走行向けのロードバイク、オフロード向けのマウンテンバイクの3種類があります。その他にも、レース向けの種類や自転車で旅するツーリング向けのものなども。最近では電動のスポーツバイクも登場しています」


――3種類の中で、スポーツバイク初心者におすすめの自転車はどれですか?

「山道を走りたいならマウンテンバイクですが、街中で走れてスポーツとしても利用したいなら、ロードバイクかクロスバイクが初心者にはおすすめ。それぞれの特徴を理解したうえで選ぶといいでしょう」

「ロードバイクは競技用に生まれた自転車で、アスファルトを速くかつ長距離を走る目的で設計されています。そのため、基本的にハンドルは『ドロップハンドル』。これは、長距離を走る時に持つ位置を変えて腕の疲れやストレスを逃がせるように、ぐるっと丸みのあるデザインになっています。車輪径は『700c』というサイズでほぼ統一、タイヤの幅は25〜28㎜で、“ママチャリ”よりも細いタイヤが使われます。車輪径が大きいと1回の回転で進む距離が長く、車輪が細いぶん車体が軽くなりスピードが出せます」

▲ロードバイクのドロップハンドルの例

「クロスバイクは、真っ直ぐなフラットハンドルで車輪径はロードバイクと同じ700 Cですが、タイヤ幅は30〜32㎜と若干太め。フラットハンドルは安定性が高く、車輪径は大きめでひと漕ぎで進める距離が長く、タイヤがやや太めなので段差なども気にせずにクリアできるのがメリット。乗りやすさと操作のしやすさが合わさった、マウンテンバイクとロードバイクのいいとこ取りをしたスポーツバイクと言えます」

▲クロスバイクのフラットハンドルの例
▲一般的なクロスバイク(左)とロードバイク(右)のタイヤ幅の比較。10~15mm違うと機能のほか、見た目の雰囲気も変わってくる(画像:verb)


――デザイン、価格、用途など、購入する時の決め手は様々ありますが、なかでも重視すべきポイントは?

「いちばん重要なのは“目的”。購入する前に、どのように使いたいのかを明確にしましょう。『週末に趣味で運動するために乗りたい』、『サイクリングコースでスピードを出して走りたい』といった目的なら、長時間乗れてスピードが出るロードバイクが向いています。一方、通勤や日常の買い物といった街中での利用がメインなら、クロスバイクがおすすめです。朝時間で車多い道路は、乗り慣れない細いタイヤやグリップハンドルだと危険。街中は段差が多くパンクのリスクも増えるので、乗りやすさや安全性の高さからもクロスバイクのほうが向いています」

――一般的な自転車よりも価格が高いものが多いスポーツバイク。初心者が購入を検討する場合、どのくらいの金額のスポーツバイクを選べばいいんでしょうか?

「予算はロードバイクなら10〜20万円、クロスバイクなら5〜10万円を目安に選ぶといいでしょう。価格が高いものほどプロ仕様に近くなるので、軽量さや耐久性なども高性能になります。初心者であれば、『シマノ』というメーカーの『SORA』というロードバイク用のコンポーネント(変速機やクランク、ブレーキなどの主要パーツ)が搭載されたバイクがおすすめ。10万円程度の入門用ロードバイクに取り付けられていることが多いです。ロードバイクもクロスバイクも目安の予算価格のものなら、初心者でも十分のスペックが備わったバイクを購入できますよ」

▲ロードバイクのエントリーモデルとしてオススメの「ALLEZ E5 ELITE」(SPECIALIZED)メーカー希望小売価格:209,000(税込)。サイクリングにも通勤にもピッタリ(画像提供:スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)
▲公園などをのんびり走るのに最適なクロスバイク。「TRADEWRLL 3 Ltd」(Cannondale) メーカー希望小売価格:77,000円(税込)
▲街中のライドもスポーティーな運動にもピッタリな軽量クロスバイク。「QUICK 4」(Cannondale) メーカー希望小売価格:88,000円(税込)

「一般的な自転車と違って、ロードバイクや一部のクロスバイクにはスタンドや泥除けが付いていません。追加で取り付けられますが、用途によっては不便に感じることもあるのであらかじめ認識しておきましょう。また、スポーツバイクは盗難に遭いやすいので、購入時に必ず防犯登録の申請と自転車保険に入ってください」

――購入後のセルフメンテナンスや点検は、どのタイミングで行えばよいのでしょうか?

「乗る頻度にもよりますが、2~3週間に1回はタイヤの空気が抜けていないか確認を。抜けた状態で走るとパンクの原因になります。また、こまめにチェーンに注油することも大事。特に雨の日に乗った後はサビやすいので必ず行ってください。走行中にギアがガチャガチャと音がしたり、変速の調子が悪い時は不具合が起きているので、スポーツバイク専門店で点検・修理してもらいましょう。特に不具合がなくても、年に1回は購入店やスポーツバイク専門店で点検してもらうと愛車が長持ちしますよ」

長時間のサイクリングは、思っている以上に発汗や体力の消耗が激しいもの。初心者が心得ておきたい、サイクリング時の水分補給の重要性についても教えていただきました。

――スポーツバイクに乗るときは水分補給が必須。正しい水分補給のタイミングや方法は?

「長時間乗る時は、季節を問わずドリンクを携帯すること。夏場は特に発汗が激しく、地面からの照り返しで体温が上昇しやすいので、脱水症状や熱中症への注意が必要です。初心者のうちは乗ることに夢中になって、水分補給を忘れてしまいがち。喉が渇いた時には脱水症状が始まっていると言われているので、こまめに水分補給することを心がけてください。一度に飲む量は少なくてもいいので、5〜10分おきに飲む習慣をつけましょう」

――ペットボトルとサイクルボトル、初心者はどっちのボトルを選ぶのが正解?

「自転車専用のサイクルボトルがおすすめです。ペットボトルで代用する人もいますが、夏場はすぐぬるくなってしまうし、キャップが取り外しづらいのが難点。車体に付けるボトルゲージはサイクルボトルのサイズになっているので、ペットボトルだとサイズが合わず段差などで外れてしまうケースも。バイク専用のボトルゲージとサイクルボトルを使用しましょう」

▲走りを邪魔しない約280gの軽量ボディで、片手で開閉できるサーモスの自転車専用のスポーツボトル。ステンレス製魔法びん構造の高い保冷力で、真夏のサイクリングにも最適。「真空断熱スポーツボトルFJP-600」3,960円(税込)

――プル式やストロータイプ、マグタイプなどサイクルボトルの種類も様々。長時間のサイクリングにはどのタイプが最適なのでしょうか?

▲「マグタイプなら飲みやすいし体にも水をかけられて使いやすいですね。フタがあると走行中に飲み口が汚れなくていいのもメリット!」と鈴木さん

「プル式やストロータイプ、フタがワンタッチで開閉するタイプのものは、手で飲めて便利です。ただ、ストロータイプの場合、息が上がっている時には吸い込みがしづらいことも。マグタイプは飲みやすく、夏場など暑い時に体に水をジャバジャバかけることもできる万能さが魅力です。また、夏場は保冷力のある魔法びん構造のステンレスボトルが大活躍。冷たい水は体の熱を冷ますラジエーター効果もあります。氷水を入れておくと、長時間冷たいままの水を飲むことができておすすめです」

ロードバイク・クロスバイクを購入する時は、まず「目的」に合ったタイプを選んで、「予算」の中から探すのがぴったりの一台を見つけるコツと言えそう。これから暖かくなる季節は、サイクリングをするのに絶好の時期。どこまでも行けちゃいそうな、快適な乗り心地と気持ちのいい疾走感にきっとハマるはず!

取材・執筆:坂井あやの
撮影:片桐圭(Lingua Franca LLC)
編集:verb

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