今日からできる! 奥田けいさんに学ぶ「毎日キッチンに立つためのちいさな工夫」

日々の料理が辛い時がある。だけど、食事はできるだけ自分で作りたい。無理なくキッチンに立つためには、どうすれば良いのでしょうか。イラストレーターとして活動しながら2児を子育て中の奥田けいさんに、すぐに始められる「ちいさな工夫」について聞きました。

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奥田けい(おくだ・けい)

奥田けい

(おくだ・けい)

三重県出身。イラストレーター。大学卒業後、地元で就職したが、イラストレーターになることを諦めきれず、絵をInstagramに投稿し続け、2015年に上京。現在は2児の母。著書に『月たった2万円のふたりごはん』(幻冬舎)『月たった2万円で帰りが遅くてもすぐ作れちゃうスピードふたりごはん』(大和書房)、『恋する、ぬり絵。』(講談社ビーシー)など。
Instagram:@kei__okuda

誰かのため、自分のため。毎日キッチンに立っておいしい料理を作りたいと思いつつも、時には「今日はちょっと辛い……」と思う日もあるのでは。仮に料理が好きであっても、365日ずっと同じテンションで好きでいるのは至難の業。生活のために仕方なくキッチンに立っているのなら、なおさら辛いと感じることもあるのではないでしょうか。

自身の節約自炊ライフをつづった著書『月たった2万円のふたりごはん』がベストセラーとなった奥田けいさんも、「料理は好きだけど、作るのがしんどい日もあります」と話します。

そんな時におすすめなのは「蒸した鶏肉」なのだそう。

奥田さん
奥田さん

我が家では、鶏むね肉やもも肉を1キロくらい購入してきて、ちょっとした空き時間にまとめて調理しておくようにしています。作り方はとっても簡単。シリコンスチーマーや電子圧力鍋に鶏さんを入れて、お水とお塩をちょっと加えたらスイッチを押すだけで出来上がりです。

私はわりと、一度座ってしまうと何もやりたくなくなるタイプ。そうなる前に「今やれば後々の自分がラクになる」と思って、仕込んでおくようにしています。

電子レンジ(600w)で作る場合の目安は、「お肉2枚をシリコンスチーマーに入れてまず4分、ひっくり返して3分温める感じです」とのこと。作り終えたら清潔なタッパーに入れて数日間冷蔵保存。そのあいだに、さまざまなアレンジを楽しんでいるといいます。

奥田さん
奥田さん

例えば鶏肉をゆずこしょうと和えるだけでも、手軽なおつまみになるんです。あとはねぎを加えて油淋鶏のソースで和えたり、ブロッコリーを加えて胡麻ドレッシングで和えたり。ぱぱっと混ぜるだけで、おいしく食べられます。

これはすぐにでも取り入れられそうな予感!

奥田さん
奥田さん

そのほか、疲れた時によく作るのが湯豆腐ですね。あったかいめんつゆに天かすを入れて、そこにお豆腐をつけて食べるとおいしくて。子どもたちも喜んで食べてくれます。

あと、よく作るのが冷蔵庫にその時ある野菜を使ったスープ。マカロニを入れれば、それだけで簡単な主食になるんです。マカロニは短時間で茹でられる商品も多くて時短の味方です。

どれも、工程が少なくても自分や家族が満足できるものばかり。大切なのは、自分が疲れている時でもササっと作れるものを知っておくことなのかもしれません。

青果コーナーで野菜を買う時は、「大根や白菜、キャベツなどの野菜は“まるごと”の状態で買うようにしています」という奥田さん。確かに大きめ野菜はカットされていないものが断然お得! でも、その一方で「どう使い切ろう」「味がマンネリ化してしまわないか」と悩んでしまう人も多いのでは……? 

奥田さん
奥田さん

我が家では、ひとつの野菜を主菜と副菜の両方で使って、同時に食卓に並べることもあります。心がけているのは、「こってり」と「さっぱり」など、味を真逆にすること。例えば主菜で豚バラ大根を作ったら、副菜は大根の酢漬けにする。味だけでなく見栄えも全然違うから、飽きずに食べられるんです。

それから大根の場合、部位によっても味が異なるので使い分けを意識しています。上部の甘い部分は煮物や酢漬けに。ピリッと辛味がある下の方は大根おろしにして楽しんでいます。

野菜をカットする際は、包丁以外の道具を積極的に使うのもおすすめなのだそう。

奥田さん
奥田さん

キッチばさみ、ピーラー、スライサーなどの道具を活用することで、かなり負担を軽減できるはず。包丁を使うのが得意じゃない方や料理初心者には特におすすめです。私自身、にんじんの千切りはちょっとめんどくさい(笑)。頼れるものには頼るのがいいと思います。

ちなみに冷凍食材のお気に入りは「ブロッコリー」とのこと。

奥田さん
奥田さん

生のブロッコリーひとつ分のお値段で、ふたつ分くらいの量が入っていることもあるんです。一年中安定した価格で手に入るのも魅力ですね。

さて、ここからは更にひと工夫したい時にできることを聞いてみたいと思います。


まずひとつめは、使いやすい調味料を常備しておくこと。「めんつゆ」「ごま油」「塩こんぶ」は、料理が得意ではない人でも簡単に味が決まりやすい“魔法の杖”的存在。最近のおすすめは「にんにくパウダー」だといいます。

奥田さん
奥田さん

にんにくをすりおろすのはめんどくさい、でもにんにくチューブだとちょっと香料がきつい……。そんな時には、にんにくパウダーがぴったりなんです。スープにちょっとかけるだけで味に変化が生まれますし、きゅうりとごま油、塩こんぶを和えたところに入れてもすごくおいしいのでおすすめです。日持ちもするんですよ。

作り置きをする際は、「日にちが経つごとに味が染み込んでおいしくなるもの」をチョイスすると食べるのがより楽しみになるのだそう。

奥田さん
奥田さん

厚揚げと根菜の煮物は、時間がたてばたつほど味が染みておいしくなっていくので、作り置きにぴったりです。厚揚げは、揚げてあるから旨味があって満足感もバツグン。煮物にしても型崩れしにくいので、見た目もきれいなまま仕上がります。

気軽に取り入れられそうな、さまざまな工夫について語ってくれた奥田さん。だけど、何より大切なのは「自分にとって無理がないこと」だと話します。

奥田さん
奥田さん

節約するにしても、何もかもやろうとすると絶対に続きません。まずはひとつだけ、ちいさなことから始めてみるのがいいと思います。例えば、家の近くにお肉が安い店があるなら「お肉だけは、絶対そこで買う」と決めてみるとか。それだけでも全然変わるはず。ご自身に合わせたやり方で、無理せずにできることからやっていくのが一番です。

「お皿や容器が好きな人は、そこにこだわることでテンションを上げていくとか、形から入っていくのも全然アリだと思うんです」とも。

奥田さん
奥田さん

せっかくやるのなら、できるだけ楽しみたい。私の場合、ガラスのかわいい保存容器を買ったら、一気にテンションが上がりました。さっきも、おいしいコーヒーを飲みながら好きな音楽を流して、その容器に入れるつもりで作り置きの調理をしていたら、盛り上がって5品も作っちゃっていました(笑)。普段は2品とかなのに。

使うところにはお金を使って我慢はしすぎない。そうやって工夫を楽しんでいるそう。

奥田さん
奥田さん

今日はもう作るのはちょっと……という時には、ごはんだけおうちで炊いて、お惣菜を買ってくることもあります。私の場合、「節約してお金が浮いた!」と感じる瞬間が楽しくもあるので、全部ではなく一部を出来合いにする方が、罪悪感を感じずにいいバランスでいられるんです。

自分は何を楽しいと感じ、何をストレスに思うのか。心の声に耳をすませながら、何よりも無理をせず、気持ちを盛り上げていく方法を探っていくのが良いのでしょう。

今日は食事づくりがちょっとしんどい。そう感じた時のために、自分を助ける方法をひとつでも持っておくことは、穏やかな気持ちで暮らしていくための大切な一種の“処世術”なのかもしれません。

取材・執筆:高橋亜矢子(ノオト)
イラスト:奥田けい
編集:ノオト

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