初めての梅仕事にチャレンジ!冷凍梅で梅シロップを作ってみよう
6月は梅の季節! 自家製の梅酒や梅干し、梅シロップなど、梅を使った保存食を作る『梅仕事』に今年こそチャレンジしてみたいと考えている方も多いのではないでしょうか。今回は冷凍梅を使った手軽な梅シロップと梅ジャムの作り方を、料理研究家のあーぴん(道添明子)さんに教わります。
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あーぴん(道添明子)さん
料理研究家・栄養士。大手食品会社にて新製品の企画開発に従事し、ロングラン商品を多数開発。料理家に転身後はこれまでの経験を生かし、企業のレシピ開発や料理講師、コンテストの審査員やコラム執筆など多彩に活動中。手間をかけずに見映えよく仕上げるおもてなし料理に定評がある。
Instagram:@apin210
梅はクエン酸が豊富で、疲労回復や夏バテ防止にもぴったり。梅シロップは梅酒と違ってお酒を加えないので、子どもから大人まで家族みんなで楽しめます。あーぴんさんも毎年の梅シロップ作りが恒例になっているとお聞きしました。
病弱だった子どもの頃、「夏バテしないように」と母が作った梅シロップを毎朝飲んでから登校していました。私の梅シロップのレシピは、もともとは母から受け継いだもの。研究を重ねながら20年以上作り続けています。
でも初めて作るとなると、準備が大変なイメージがあるのですが…。
ガラス瓶が定番ですが、保存容器でも作れます。梅は酸が強いので、腐食しやすいアルミなどの金属製のものは避けるようにしましょう。少量ならガラス瓶よりもプラスチック製の容器の方が取り扱いもラクですね。
一日一度は漬け込んだガラス瓶を振って 梅全体に砂糖を行きわたらせる必要があるので、材料の1.5倍~2倍程度のサイズを選んでください。完成するまでは冷暗所に、完成後は梅を取り出して冷蔵庫で保存します。小さな保存容器に移せば場所を取らずにすみますよ。
今回は冷凍梅を使ったレシピですが、生の梅ではなく冷凍梅を使うメリットはどんなところでしょうか?
冷凍梅を使うと繊維が壊れやすくなり、エキスが早く出るんです。浸透圧が高まってスムーズに進むので、失敗しにくいのがメリット。好きなときに好きな量を作れるのもいいですよね。私は生の梅を使う場合でも下処理をしてからいったん冷凍します。今は通販などで冷凍状態の梅が販売されていますので、それを使うとさらに手軽です。
ここからはいよいよ梅シロップ作りに挑戦! さらに、漬け込んだ後の梅は梅ジャムに仕上げます。美味しさを余すことなく食べ切るレシピを教わりましょう!
- 冷凍梅(南高梅) 500g
- 氷砂糖 500g
- りんご酢 大さじ2
【消毒用】
- 食品用の消毒用アルコール、またはホワイトリカー(度数の高いもの) 50ml
梅は南高梅だとリッチな口当たりに、青梅だとスッキリした味になります。砂糖は氷砂糖がおすすめですが、きび砂糖や三温糖でも。こうした茶色の砂糖を使うとシロップが琥珀色になります。お酢を加えると殺菌効果で腐りにくくなり、さらに梅のエキスも早く出るようになります。お酢はツンとこないまろやかなものがいいですね。りんご酢以外にも、白バルサミコ酢などお好みで選んでください。
・保存容器は食品にも使えるアルコールスプレーで消毒しておく。
カビを出さない、雑菌を繁殖させないために、きちんと消毒することが大切です。食品にかかっても安心なアルコールスプレーを吹き付け、キッチンペーパーでしっかり拭き取ります。アルコールスプレーの代わりに度数の高いホワイトリカーでもOKです。
【1】表面の氷を溶かすため、冷凍梅にさっと水をかけて洗う。水気を拭き取る。
冷凍梅は解凍しなくて大丈夫。表面についた氷を溶かすことで後の作業がしやすくなります。梅に水分がついたままだと腐りやすくなるため、キッチンペーパーなどで優しく拭き取ってください。
【2】梅のヘタの部分を竹串などで取る。ヘタ部分と周りをホワイトリカーに軽くくぐらせる。
梅のヘタの部分を「なり口(なりくち)」と言います。竹串で軽く引っ掛けるようにするとポロッと取れますよ。梅を傷つけないように気を付けましょう。
ホワイトリカーは焼酎の一種で、果実酒によく使われます。梅自体も消毒することでカビや腐敗を防げますよ。ない場合は食品に直接使えるアルコールスプレーでもかまいません。
【3】消毒した容器に氷砂糖→梅→氷砂糖と交互に入れる。同様の作業を繰り返す。
底に氷砂糖をひとつかみ程度入れてから梅を入れます。梅同士が直接触れないよう、すき間に氷砂糖を挟むように置いていくのがポイントです。
【4】りんご酢を上から回しかける。
このまま冷暗所に保存します。上の梅が乾かないように、毎日1回以上は容器を振りましょう。2週間前後で飲み頃になります。
こちらはあーぴんさんがあらかじめ作ってきてくださった梅シロップ。経過がひと目で分かりますね! だんだん氷砂糖が溶けてカサが減り、エキスが出た梅はシワシワに。シロップもほんのり色づいています。完熟梅ではなく青梅を使うと、シロップの色は透明に近い仕上がりになるそう。
この日は炭酸水で割っていただきました。グラスに氷と、梅シロップを大さじ2程度入れて、100~150ml程度の炭酸水を注ぎます。お好みでミントを添えて。
初夏らしい爽やかな味ですね! スッキリした飲み心地で、疲れが取れそうです。
あーぴんさん、梅シロップは他にどんな楽しみ方ができますか?
かき氷のシロップにしたり、ゼリーやようかんなどのスイーツにしたりと色々楽しめます。梅シロップや漬け込んだ梅を入れて魚やお肉を煮ると、ふっくら美味しく仕上がりますよ。
さらに今回は、漬けた後の梅を使った「梅ジャム」のレシピも教えていただきました!
- 梅シロップから取り出した梅 180g
- グラニュー糖 90〜180g(梅の量の半量~全量)
- 水 200ml
残りの梅にもまだエキスが残っているので、簡単に美味しいジャムが作れます。今回はグラニュー糖を使いましたが、上白糖やきび砂糖、三温糖などお好みのものでかまいません。カロリーが気になる方は甘味料でも。
・保存容器は梅シロップと同様に消毒しておく。
・梅シロップの梅は種がはずれやすいように、包丁でくるりと一周切り込みを入れる。
種からペクチンというとろみ成分が出るので、途中まで一緒に煮るのがコツです。後から取り除きやすいよう、横向きに一周切り込みを入れ、実の部分を軽く広げておきましょう。
【1】鍋に梅シロップの梅、半量のグラニュー糖、水を入れ、中~弱火でアクを取りながら煮詰める。
【2】実がやわらかくなってきたら種を取り出し、残りのグラニュー糖を加えてさらに煮詰める。
冷めるとやや固くなります。とろりとしてきたら「少しやわらかいかな」と思うくらいで火を止めると、ちょうど良い仕上がりになります。
【3】ある程度冷ましてから、消毒した保存容器に入れる。
なるべく小分けにして、使わない分は冷凍すると1年間は日持ちします。パンに塗ったりスイーツに使ったり、料理の味付けにしたりと、柑橘のジャム「マーマレード」のような感じで幅広く使えます。
甘酸っぱくて爽やかな飲み心地が楽しめる梅シロップ。暑さ負けしやすい夏の強い味方になってくれそうです。残った梅もしっかり使い切れるのが魅力。梅仕事を楽しんでみませんか?
撮影:山下コウ太
編集:Nadia
執筆:田窪 綾
調理師免許を持つフリーライター。惣菜店やレストランで8年ほど勤務経験あり。食分野を中心に、Webや雑誌で取材やインタビュー記事作成などを行っている。
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