離乳食を卒業したら、どんなごはんを作ればいい?意外と悩む幼児食のコツ

「離乳食を卒業したら、どんなごはんを作ればいいの?」「いつから大人と同じものを食べさせてOK?」など、意外と悩んでしまう幼児食。大人からの取り分けなどもしながら手軽に用意するコツや、気を付けるポイントを管理栄養士の植草真奈美さんにお聞きしました。

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植草 真奈美

植草 真奈美

うえくさ・まなみ

管理栄養士/フードコーディネーター。保育園で栄養士として、離乳食や乳幼児食、アレルギー食など子どもたちの食に携わる。その後、大手料理教室へ。本社商品開発部でレシピ開発、ヘルスケア事業部の立ち上げに従事。現在は独立し、管理栄養士としての視点を生かしたレシピ開発やベビーフードなどの商品開発を手がけるなど幅広く活躍中。
HP:https://manami-uekusa.com/

幼児食とは、離乳食が終わる1歳半頃から小学校入学までの6歳頃までの子どもの食事のこと。赤ちゃんの頃とは異なり、睡眠・食事・遊びなど生活のリズムを整えるこの時期は活動量も食欲もアップ! 3歳頃には免疫機能も徐々につき、乳歯もほぼ生え揃うので食べられるものも増えてきます。幼児食では硬さや味付け、食感を変えていきましょう。1歳半~2歳頃を第一段階、3~5歳頃を第二段階と、発育に合わせた形で進めていくのがいいですね。とはいえ、成長度合いは個人差が大きいもの。お子さんに合わせて焦らずゆったりで大丈夫です!

離乳食の頃より食べられるものが増えたといっても、まだまだ心配なこの時期。幼児食向けの食材や調味料について、気を付けた方がいいポイントをまとめてみました。

① 喉に詰まらせやすいもの、噛み切りにくいものは注意が必要
幼児期の子どもは噛む力や飲み込む力がまだ弱いので、特に丸くてつるつるしているものは喉に詰まらせてしまう可能性があります。ミニトマトやブドウなどはそのまま与えず、カットしてくださいね。例えばミニトマトは半分ではなく、1/4サイズにすると安心です。
レタスやキャベツなどシャキシャキした食感の野菜も、子どもにとっては繊維が多く、噛み切りにくいもののひとつ。生野菜の状態ではなく、おひたしなど加熱してやわらかくしてあげる方が食べやすくなります。
また、お肉は細かく切ってから加熱すると硬くなってしまいがち。お子さん用に取り分ける時は、焼いてから食べやすい大きさに切ってあげてくださいね。

② 子どもの1日の塩分摂取量は大人の約半分を目安に
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、1日におけるおおよその塩分(ナトリウム)摂取量が定められています。成人の場合、男性は 7.5g 未満、女性は 6.5g 未満が目安。対して 1~2 歳の男女は 3.0g 未満、3~5 歳は 3.5g 未満と、成人男女の約半分です。幼児期から味の濃い食事は内臓に負担をかけるだけでなく、生活習慣病のリスクにもつながります。例えば味噌汁なら、だしで具材を煮た後、味噌は大人の量の半分を目安に溶かしてあげてください。調味料を減らして、できるだけ薄味を意識するといいですね。だしをきかせると薄味でも満足できるので、手軽なだしパックなどを活用して。ベーコンやウインナーなどの加工品は野菜と一緒に煮るだけで適度な塩気がつくので味付け不要の一品ができます。 できるだけ添加物の少ないものを選んでくださいね。時間がない時の幼児食づくりにも役立ちますよ。
※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書「ミネラル(多量ミネラル)(PDF:914KB)[914KB]」を参照

③ ちょい足しアイテムでバリエーション&風味アップ!
忙しい時は、幼児食になかなか時間がかけられないこともあると思います。そんな時は納豆にオクラなどを混ぜて醤油や白だしをほんの少し加えたものを、お豆腐にのせるだけでも大丈夫。簡単な炒め物にかつお節や青のり、粉チーズ、ごまなどをかけるだけでも風味が増し、献立のバリエーションも増やせます。にんにくやしょうがも少量入れるだけで食欲アップ。ちなみにごまは皮が硬く、消化に時間がかかるのですりごまにするのがおすすめです。

▲粉チーズをかけて風味をアップ。

慌ただしい時は、市販のお惣菜を幼児食として活用することもあると思います。味付けが濃いものが多いので、野菜などでかさ増しして薄味にするのがいいですね。冷凍野菜を買い置きしておくと加えるだけでいいので重宝しますよ。

今回お伝えするレシピは、野菜もお肉も一度に食べられるミートソース。スパゲッティの量はお子さんの食べる量に合わせて準備してくださいね。おおよその目安としては、ミートソーススパゲッティのみを食べる場合は乾麺で50g程度、副菜や汁物など他のおかずと組み合わせて食べる場合は乾麺で35g程度になります。

▲幼児食のみの場合、7〜10食程度の量ができます。大人と食べる場合は大人2人+幼児2〜3人分程度の量になります。
  • 豚ひき肉 200g
  • 玉ねぎ 100g
  • にんじん 50g
  • ピーマン 2個
  • マッシュルーム 2個
  • にんにく 1片
  • オリーブオイル 小さじ1
  • 【A】トマト缶 1缶(400g)
  • 【A】水 50ml
  • 【A】コンソメ 小さじ1
  • 【A】砂糖 小さじ1
  • 【A】ケチャップ 大さじ2
  • 【A】しょうゆ 小さじ1
  • 塩 少々
  • スパゲッティ 適量
  • 粉チーズ、乾燥パセリ お好みで

・玉ねぎ、にんじんは皮をむいてみじん切りにする。
・ピーマンはヘタと種を取り除き、みじん切りにする。
・マッシュルームは薄切りにする(大きい場合は長さを半分に切る)。
・にんにくは皮をむいて芯を取り除き、みじん切りにする。
・スパゲッティはゆでる(ゆで時間はパッケージ参照)。

【1】 フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れて弱火で熱し、香りが出るまで加熱する。
【2】 豚ひき肉を加え、ポロポロになるように炒める。

【3】 玉ねぎ、にんじん、ピーマン、マッシュルームを加え、しんなりするまで炒める。

【4】 【A】を加えひと煮立ちさせ、小さく沸騰状態が継続できる火加減に調整し、15分程度煮る。

▲トマトの酸味と水分を飛ばすため、フタはせずに煮込みます。

【5】 塩で味を調える。
【6】 器にスパゲッティを盛り付け、ミートソースをかける。お好みで粉チーズ、乾燥パセリを散らす。

▲幼児食のストックにも。冷凍庫で1週間程度保存可能です(KC-SA600を使用)。

【ポイント】
・トマトの酸味を飛ばすため、しっかり煮込んでください。
・大人もそのまま食べられますが、薄味の仕上がりです。子どもの分を取り分けた後、コンソメ、ケチャップ、しょうゆを加えたり、塩、こしょうで調整するなど、お好みの濃さに調整してください。

▲4歳になる植草さんのお子さんもお気に入りのミートソースです。

私は企業向けのセミナーなどで「子どもの好き嫌いについて」の講演を行うこともあるのですが、よく「嫌いな食べ物を特別な存在にしないでください」とお伝えしています。私の娘も1歳半頃はにんじんが嫌いで食べなかったのですが、毎日お皿の片隅ににんじんスティックやお花の形に切ったにんじんを茹でて出していました。無理強いはせず、最後に「一口だけ食べてみようか?」などと声掛けをする程度にとどめていたら、ある日突然食べてくれるようになりました。
もしお子さんに苦手なものが多くても、食が細くても、1日トータルである程度食べられていればOK! 食べることはその後も長く続きます。気に病んだり怒ったりせず、お子さんが食べられるものを気長に探しながら、笑顔で食卓を囲めるといいですね。

撮影:山下コウ太
編集:Nadia
執筆:田窪 綾
調理師免許を持つフリーライター。惣菜店やレストランで8年ほど勤務経験あり。食分野を中心に、Webや雑誌で取材やインタビュー記事作成などを行っている。

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