疲れた頭と心を休ませよう 頑張る自分をゆるめる“マインドフルネス瞑想”

心ここにあらずの状態から抜けだし、“今この瞬間”に意識を向けた状態を「マインドフルネス」といいます。この状態を作り出すことで、脳が休まり、頭の中がクリアなったり、ストレスが軽減したりといったポジティブな変化が期待できます。マインドフルネスの手段としてオススメの「瞑想」について、メンタルトレーナーの加藤史子さんにお話を伺いました。

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仕事や家事、育児に勉強。多くの人が1日24時間という限られた時間の中で、「やるべき」ことを頭の中で思い浮かべて、優先順位をつけて、行動する毎日を送っています。

頑張る人ほど、あれもやっておこう、これもしなくちゃ、と予定や課題を詰め込み、もっとこうした方がよかったかも、うまくいかなかったらどうしよう、などと考えがち。

こうした心ここにあらずの状態から抜けだし、“今この瞬間”に意識を向けた状態を「マインドフルネス」といいます。

私たちは常々「考える」ことが当たり前になっていて、頭がエネルギーを使い続けていることにも、その結果として心に余裕がなくなっていくことにも、無自覚な日々を送っています。どんな人にも、「考えることを手放して脳を休める」時間や習慣が必要です。

いつでも、どこでも、脳をリラックスさせる習慣としてオススメしたいのが “瞑想”。メンタルトレーナーの加藤史子さんに、お話を伺いました。

加藤史子

加藤史子

かとう・ふみこ

メンタルトレーナー。千葉大学大学院学校教育臨床課程修了。米国NLP協会認定トレーナー。著書に『黙想のすすめ』(時事通信出版局)、『人生を整える「瞑想」の習慣』(日本実業出版社)など。
HP:https://www.kokoro-genki.net/

世界的に有名な一流アスリートや経営者たちが実践していることが広まり、数年前からよく聞かれるようになった“瞑想”。「気になっているけど難しそう」「やってみたけど手応えがなかった」という人もいるかもしれません。

瞑想には、いくつかの目的や手法がありますが、加藤さんは「瞑想とは、心を静めて無心になること。目を閉じて、深く静かに想いを巡らせること」と話します。

私たちは日常生活において、無意識のうちに「うまくできた」「ちゃんとできなかった」など何でもかんでも評価をしてしまいがち。瞑想は、こうした思考のクセを手放すきっかけになります。

加藤さん
「瞑想は、どちらかというと“うまくできていない”と感じる人がほとんどです。最初のうちは“違うことを考えてしまった”“眠ってしまった”でいいのです。瞑想の効果は、瞑想した直後ではなく、そのあとに続く日常生活の中でしか実感することができません。まずは、とにかくリラックスしながら、何が起きるかな? とワクワクしながら試してください」

瞑想は、以下のような人たちに特にオススメです。

  • 常にtodoリストを意識している
  • いつも時間に追われている
  • 後悔している時間、不安になる時間が長い
  • 感情の起伏が激しい
  • 寝付きが悪い、眠りが浅い
  • 夕方になるとからだが疲れる

加藤さんは、瞑想を始めてから以下のような変化を感じているそうです。

  • 頭とからだが疲れにくくなった
  • 感情に振り回されなくなった
  • ぐっすり眠れて目覚めが爽やかになった
  • 時間に追われる焦りから解放された
  • 心が穏やかな時間が増えた
  • 日々の充実感が増した
  • 不安から解放されて安心していられるようになった

瞑想は「朝起きたとき」「仕事を始める前」「昼休み」「仕事帰り」「眠る前」など、いつおこなっても良いそうです。まずは、気軽にできる方法をご紹介します。

① 姿勢にこだわらず目を閉じて、楽なペースで3回呼吸する。

Point: 息を吸い込んだとき、からだのどこが膨らんだか、どれくらいの空気が入ってきたかに意識をむける

② 3回の呼吸を終えたら、そのまま1〜3分ほど時間の許す範囲で観察しながら呼吸し続ける。

Point: 呼吸を観察することで「今この場所」に意識を集中することができる。考えを手放して気持ちをリセットできる

自分のペースで続けてみましょう。

もうひとつご紹介したいのが、少し時間に余裕があるときにオススメの「ソーハム瞑想法」。吸う息とともに「ソー」、吐く息とともに「ハム」という言葉を、声を出さずに心の中で唱えることを繰り返す瞑想法です。

サンスクリット語で「ソー」は「彼」、「ハム」は「私」という意味。これは意訳すると、「すべては私」「すべてはひとつに繋がっている」ということになります。

「ソ―ハム瞑想法」のやり方はこちら。

① 誰にも話しかけられずに、周囲を気にしなくていい場所を見つける。
② 楽な姿勢で手のひらを上向きにして太ももの上に置く。力を抜いて顔を少し上向きにして軽く目を閉じる。一度大きく息を吸って、ゆっくり吐き出す。
③ 吸う息とともに「ソー」、吐く息とともに「ハム」と心の中で唱える。

Point: 考えごとが浮かんだり、集中が切れたりしても、「ソーハム」を繰り返し心の中で唱えることが意識を戻すきっかけになる

④ 20分たったら、2〜3分余韻を味わう。

時間のあるタイミングでおこないましょう。

加藤さんは「瞑想をより深いものにしたい人は、瞑想前にこのような3つの質問を自分自身に問いかけるのもオススメ」と言います。

  • 私は何者?
  • 私が本当に望んでいることはなにか?
  • 私の人生の目的はなにか?

加藤さん
「私の経験上、答えはひとつではないでしょう。毎日変わっても、どんな答えでも間違いではありません。大切なのは自らに問い続けること。導いた答えについても評価したり否定したりするのではなく、今日は“こんな答えがやってきた”と観察するだけで十分なのです」

瞑想は脳を休めるだけではなく、ストレスフルな毎日でも、大きなプレッシャーにさらされたときでも平常心を保てるきっかけになります。

瞑想を継続すれば、直感が研ぎ澄まされ、焦りや不安といった感情も整理しやすくなるでしょう。余裕がなくなりそうなときこそ、ぜひ瞑想を生活に取り入れてみてください。

執筆:関あやか(ノオト)
編集:ノオト
イラスト:すぎやままり

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