サウナ男子、ヒャダインさんが語る「ととのう」魅力

サウナ男子、ヒャダインさんが語る「ととのう」魅力

コミック&ドラマの『サ道』で加速したサウナブームは、これまで興味がなかった人にも「行ってみたい」欲求を喚起させたようです。ブームに先駆けてサウナ道に目覚め、サウナ愛を語る雑誌連載やTV番組に出演しているヒャダインさんに、その魅力について伺いました。

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ヒャダイン

ヒャダイン

音楽クリエイター。1980年大阪府生まれ。本名 前山田健一。3歳でピアノを始め、音楽キャリアをスタート。京都大学卒業後、本格的な作家活動を開始。様々なアーティストへ楽曲提供を行い、自身もタレントとして活動している。BS朝日『サウナを愛でたい』、FM NACK5『One More Pint!』などレギュラー番組多数。著書に『ヒャダインによるサウナの記録』(白夜書房)がある。

男性を中心に根強い支持はあったものの一般にはあまり知られていなかったサウナが、“サ道”という言葉が生まれるほど、今、人気を集めています。なかにはサウナ室の前に順番待ちの列ができるところもあるとか。ということは、やはりあの熱気に包まれた空間にはおおいなる魅力があるに違いありません。
そこで、今や熱烈なサウナーとして知られる音楽クリエイターのヒャダインさんに、“サ道”についてお話を伺いました。

ヒャダイン

じっと黙って高温に耐えるサウナ室はガマン大会のようだし、水風呂はドMの所業。僕も数年前までは「なんであんなことするの?」って不思議に思っていたんです。苦行じゃないかと。ところが、仲のいい音楽エンジニアがサウナにはまって、「だまされたと思って一緒に行こう」と誘われて……。

ヒャダインさんのサウナに対するイメージを180度変えたのは東京・笹塚の『天空のアジト マルシンスパ』でした。

ヒャダイン

マルシンスパは入りやすい、呼吸がしやすいことにこだわっている施設で、「あれ? 苦しくないぞ」と感じました。続いて入った水風呂は、僕にとってバンジージャンプかジェットコースターというくらい恐ろしいイメージだったのですが、体がしっかり温まっていたせいか、平気だったんです。

「意外と大丈夫だったな」と思いながらベンチに腰かけて休んでいたところ、今まで感じたことのない爽やかさに包まれたと言うヒャダインさん。それが初めて体験するディープリラックス。まさしく「ととのう」という感覚だったそうです。

ビオリゾート ホテル&スパ オーパークおごせ(埼玉県入間郡)にて

この体験により、ヒャダインさんは今まで正しいサウナの入り方を知らなかっただけなんだ、と気づいたそう。以後、各地のサウナに通いまくり、ついには本まで出版。
サウナで「ととのう」とは、いったいどんな感覚なのでしょうか。

ヒャダイン

たとえてみると、羊水の中ってこんな感じかなと思うんです。体が軽くて守られていて、すべてがハッピー。くよくよしていたことや悩んでいたことがあっても、どうでもよくなっちゃう。もちろん、お腹の中の記憶はないので想像でしかありませんが、めちゃくちゃリラックスした状態です。

ただ座ってぼーっとしているだけなのに、自己との対話を感じる時間が流れていく。それは座禅や瞑想にも近いかもしれないと、ヒャダインさんは言います。

ヒャダイン

邪念が入ってくるけれど否定せずに、それを見つめながら汗を流す。すると脳みそがスッキリしてきて、その後の水風呂と外気浴で邪念がさっぱりと消えていくんです。

JR上越線土合(どあい)駅に直結したグランピング施設DOAI VILLAGE(群馬県利根郡)にて

サウナが究極のリラクゼーションになったヒャダインさんに、「ととのう」境地をもたらす入り方について教えてもらいました。

ヒャダイン

自分がいちばん気持ちいいと思う入り方を見つけるといいと思うんです。僕の場合は、サウナに8分くらい入って水風呂に30秒から1分くらい。そして椅子に座って休む外気浴を好きなだけ。これを1セットとして、3セット繰り返すのが基本です。時間的には1時間から1時間半くらいになりますね。

DOAI VILLAGEにて外気浴

ヒャダイン

水風呂の時間は温度にもよるのですが、僕は14〜16℃が好みです。「シングル」と呼ばれる水温1ケタ台になるとチャレンジ的要素が強くなり、初心者にはおすすめできません。逆に水温が20℃を超えるのはいかがなものかと思います。

水風呂が苦手な女性も多いようですが、ヒャダインさんはぜひチャレンジしてほしいと言います。サウナでしっかり体を温めてから水風呂に入ると新陳代謝がよくなり、むしろ冷えにもいいそうです。

お仕事も含めて全国のサウナを巡っているヒャダインさんに、いいサウナの条件と、おすすめの場所を聞きました。

ヒャダイン

いいサウナとは適温・適湿のサウナ室があり、適温の水風呂があること。これが第一ですね。とはいえ、僕にとってサウナは「ありがたくいただくもの」。こちらがおじゃまさせてもらっている、味わわせていただくというスタンスです。サウナ飯、いわゆる場内飯(サウナ施設内の食事処での飲食)の楽しみもありますし、ビールを飲んだりアカスリをお願いしたり、旅をすることでサウナ+αの土地の魅力に触れることも大きいですね。

サウナイーグル(愛知県知立市)
青野原野呂ロッジキャンプ場(神奈川県相模原市)

サウナイーグルは、サウナ内でお客さんを仰いで熱風を送ってくれる熱波師のサービスが他に類を見ないレベルだとか。また、CM撮影で訪れた青野原野呂ロッジキャンプ場では、川沿いで楽しむテントサウナの魅力を知り、購入を計画中。

ヒャダイン

サウナーの間では飲むよりも肌で味わうほうが水質がわかると言われています。地下水や天然水を使っている施設や、水質にこだわっている施設では「あれ、今、水風呂に入ってるよね?」と、つかっているのがわからないくらいストレスフリーな感じです。たとえば静岡のしきじ、北海道の白銀荘、富山のスパ・アルプスなど、水質がいいところはやっぱり人気があります。

初心者向けのサウナについても聞いてみました。

ヒャダイン

同じ施設でも男女で違ったりするので一概に言えないのですが、僕がサウナに目覚めたマルシンスパは初心者の方にもおすすめできます。また、スパ・ラクーア(東京都文京区)はカップルで楽しめる施設です。温泉はもちろん、数種類のサウナ室があり、水風呂も低温と20℃くらいの2種、ロウリュ(焼石に水をかけて蒸気を発生させるフィンランド式入浴法)もあって、サウナにそれほど興味がないという相手を誘っても喜んでもらえると思います。

ヒャダインさんはキャンプも好きで、アウトドアではサーモスの水筒を愛用しているそう。写真のKUMATAKAは「熊鷹のイラストに惹かれ、ひと目で決めた」そうです。

ヒャダイン

このシリーズの製品は売り上げの一部が野生動物の保護に使われるというのも選んだ理由です。SDGs的というか、すごくいいなと思います。水分補給は絶対、忘れちゃいけません。思ったより汗をかきますし、体からも水分が蒸発していますので。水のいい施設では、僕はそこの水をごくごく飲みます。お気に入りのアミノ酸飲料を持ち込むこともありますよ。

熱から頭部を守るサウナハットを、行く先々のサウナでつい買ってしまうと言うヒャダインさん。なかには買ってはみたものの、注目を集めすぎそうで、かぶれないというものも。今回、取材中にかぶってくださいました。

昨今のサウナ人気について、「このブームが、銭湯という廃れゆく日本の素敵な文化を復活させるきっかけになってくれた」と嬉しそうに語るヒャダインさんに会って、サウナ以上に熱い、サウナ愛を感じ、すぐにも行きたくなりました。

取材:稲佐知子
取材中の写真:土肥祐治
編集:オフィス福永

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