自分で魚をおろしてみよう!冷凍保存でさらに美味しくなる時短レシピ付き

魚は栄養価が高く、積極的に食べたい食材のひとつです。スーパーなどで手軽に切り身を買うことができますが、自分で魚を丸ごとおろせるようになったら、料理の楽しさだけでなく充実感も得られそう! 親子で取り組める食育の機会にもぴったりですよね。今回は料理研究家の高橋善郎さんに、初めてでも取り組みやすい「大名おろし」のやり方と、冷凍することでより美味しくなる魚のおかずレシピを教わります。

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高橋善郎さん

高橋善郎

たかはし・よしろう

料理研究家/トライアスリート。料理家でありながら、東京 世田谷にある和食料理店 「凧(はた)」「凧 HANARE」の代表を務める。調理師免許、きき酒師、ソムリエ(ANSA)、野菜ソムリエなど食に関する資格を9個保有し、食品メーカーのレシピ開発、店舗コンサルティングを中心に、各メディアに出演中。
トライアスロンの国内大会では年代別優勝するほどの実力を有し、走る料理家としてスポーツメーカーや健康雑誌とのタイアップも多く手がけ、「食 ✕ 健康 ✕スポーツ」を普及する活動も精力的に行っている。
HP:http://yoshiro-takahashi.com/

魚をさばく方法としては「三枚おろし」が一般的だと思いますが、この日高橋さんが教えてくださるのは「大名おろし」。それぞれどのように違うのでしょうか?

高橋さん
高橋さん

「三枚おろし」を簡単にしたのが「大名おろし」です。どちらも2枚の身と中骨の計3枚に分けることは同じですが、包丁の入れ方が異なります。大名おろしの方が工程が少ないんですね。おろすのが簡単な分、骨に身が多少残ってしまうので『大名が食べるような、ちょっともったいないような切り方』という意味からその名前がつきました。

贅沢なおろし方だから「大名おろし」なんですね。どんな魚をおろす時に使われるんでしょうか?

高橋さん
高橋さん

スズキやタイなどは大きいので、大名おろしにすると骨に残る身の量も多いんですよね。なのでアジやイワシ、コハダなど、小さい魚をおろす時に使われることが多いです。魚を初めておろす人だったら、アジやイワシなどが取り組みやすいと思いますよ。包丁は一般的な三徳包丁で構いません。

今回は夏に旬を迎える「アジ」を使って、大名おろしに挑戦しましょう!
※ここからは魚の内臓部分なども写ります。苦手な方は閲覧にご注意ください。

【1】最初によく洗い、表面のウロコを取る。尾びれから頭にかけて包丁を垂直に立て、滑らせるように削り取る。

高橋さん
高橋さん

スーパーの鮮魚コーナーなどで販売されている魚はウロコを取ってある場合も。気になる場合は店員さんに聞いてみてくださいね。

【2】ゼイゴを取る。尾びれの付け根から中央に向かって、薄く削り取るように包丁を入れる。裏側も同じように削り取る。

高橋さん
高橋さん

「ゼイゴ」とは尾びれ近くから身の真ん中にかけてのトゲトゲしたウロコのこと。イワシやサンマなどにはありませんが、アジと名の付く魚には必ずあります。硬いので慣れない方は包丁を細かく動かす”のこぎり切り”で進めていきましょう。

【3】頭を落とす。頭は左に置き、頭の上からアジの下側にある腹びれを目安にやや斜めに切り込みを入れる。ひっくり返して同様に切り込みを入れる。そのまま頭を引き抜く。

高橋さん
高橋さん

両面を”くの字”の形になるように切り込みを入れて引っ張ると内臓までするりと取れるので、包丁やまな板を汚さずに済みます。ただこの工程はコツや慣れも必要なので、難しければそのまま頭をぶつ切りでもOKです。腹の中央まで切り込みを入れてから内臓を指や包丁でかき出します。どちらの場合でも流水でアジの身を中までしっかり洗い、キッチンペーパーで水気を拭き取ってから、次の作業に移りましょう!

▲肛門からお腹に向かって切り込みを入れ、内臓を取り出します

【4】内臓をきれいにしたら上身をおろす。太い中骨のやや上に包丁の刃を当て、尾びれに向かっておろす。

▲中骨に包丁を沿わせるようにしておろします
高橋さん
高橋さん

ここでは包丁の刃渡りをすべて使い、大きく引くように切るのがポイントです!

【5】下身をおろし、身と骨を切り離す。

高橋さん
高橋さん

骨の部分を下にして身をひっくり返し、同じように大きく包丁を動かしながらおろします。途中でめくって確認しながら切るとやりやすいですよ。

▲上段:上身、中段:下身、下段:頭、内臓、骨、ゼイゴ

アジの「大名おろし」が完成しました! 慣れれば2~3分でできるようになるとのこと。数をこなした方が上手になりそうです!

▲「大名おろし」(上)と「三枚おろし」(下)

それぞれの骨を比較すると、やはり「大名おろし」の方が、身の残り具合が多いのが分かります。骨の身をスプーンなどでこそげ取ると、刺身で言う「中落ち」になります。

ちなみに、アジの腹身側にあるこの部分は「ハラス」。骨が多いですが、最も脂がのっている部分なのだそう。

高橋さん
高橋さん

骨とハラス部分からは美味しいだしが出ます。味噌汁のだしなどにもおすすめなので、ぜひ無駄なく使ってほしいです!

魚はきちんと保存すれば、冷蔵庫または冷凍庫での保存も可能。安い時にまとめて買っておろしておき、必要な時に調理すれば節約にもつながりますよね。
高橋さん、魚の上手な保存方法を教えてください!

高橋さん
高橋さん

身は水気を拭き取り、空気に触れる部分がないようにキッチンペーパーで包みます。その後ラップでくるんで保存します。冷蔵庫なら長くて2日を目安に。その後は早めに冷凍庫に移してください。

では、冷凍保存の場合はいつ頃までに食べ切った方がいいでしょうか?

高橋さん
高橋さん

冷凍では2週間を目途に食べ切ってください。解凍する時は冷蔵庫に移して自然解凍がいいですね。ただ、魚は上手に保存してもうま味成分を含むドリップが出てしまい、どうしても身がカサついてしまうんですよね。なので僕は、あらかじめ調味料と一緒に冷凍保存するのをおすすめしたいです。

なるほど、それが今回教えてくださるレシピなんですね。

高橋さん
高橋さん

そうです。調味料と一緒に冷凍することで魚特有の臭みや気になるパサつきが抑えられて、味染みも良くなります。他の具材も一緒に冷凍し、食べる時にフライパンで仕上げるだけ。忙しい時のおかずのストックになりますよ。

  • アジ 2尾分(アジは大名おろしにしたもの)
  • 小松菜 100g
  • しめじ 1/2袋 60g
  • 水溶き片栗粉 適量(水と片栗粉を1:1で溶いたもの)
  • 溶き卵 1/2個分
  • ごま油 小さじ1
  • 【A】長ねぎ(みじん切り) 1/4本分
  • 【A】水 150m l
  • 【A】みりん 大さじ3
  • 【A】しょうゆ 大さじ3
  • 【A】おろししょうが 小さじ2
  • 【A】オイスターソース 小さじ1

・アジは皮ごと一口大の大きさに切る。小松菜は3〜4cm幅のざく切りに、しめじは石づきを切り落とし、ほぐす。

高橋さん
高橋さん

アジは包丁を斜めに入れ、そぎ切りで4等分程度にしましょう。切り口の面積が広くなるので火の通りも味染みも良くなります!

【1】保存容器に【下準備】の食材を入れ、混ぜ合わせた【A】を流し入れる。トングなどでやさしく調味料と食材をからめてからフタをし、冷凍保存する。

▲サーモスの保存容器「Myフードコンテナー」角型800mlを使用しています
▲このまま冷凍OK!解凍後は漬け汁ごと調理できるので時短にもつながります
高橋さん
高橋さん

冷凍してから1か月を目安に食べ切ってくださいね。

【2】【1】を解凍する。電子レンジ600Wで5分程度加熱しフライパンに移す。ひと煮立ちさせ、具材を平らにならして弱火〜中火で3〜4分煮る。

▲電子レンジで半解凍程度になったらOK!フライパンに移して調理しましょう
高橋さん
高橋さん

時間がある時なら冷蔵庫に移して解凍、または常温で様子を見ながら自然解凍でもかまいません。

【3】水溶き片栗粉を加え中火で加熱し、溶き卵、ごま油を回し入れ、やさしく混ぜる。卵に火が通ったら火を止め、器に盛り付ける。

高橋さん
高橋さん

ごま油は最後に回しかけることで、香りがグッと引き立ちます!

できたてアツアツのお魚おかずが完成!
アジの身はふわふわな仕上がりです。高橋さん、しょうがの香りも効いてますね!

高橋さん
高橋さん

うん、うん! 美味しくできて良かった! ごはんにはもちろん、麺類にも合いますよ!

今回はアジを使いましたが、イワシや鮭でも美味しく作れます。小松菜としめじは冷凍しても見た目や食感があまり変わらないので使っています。きのこ類は何でもOK! 冷凍することでうま味が増すので、エリンギや舞茸に替えてもいいですね。

あんまり上手におろせなくても大丈夫! 魚の身でメイン料理を、骨でだしを取り味噌汁を作れば、丸ごと無駄なく美味しく食べ切ることができますね。「興味はあるけどやったことがない」という方、手に入りやすいアジで挑戦してみてはいかがでしょうか?

撮影:山下コウ太
編集:Nadia
執筆:田窪 綾
調理師免許を持つフリーライター。惣菜店やレストランで8年ほど勤務経験あり。食分野を中心に、Webや雑誌で取材やインタビュー記事作成などを行っている。

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