栄養士が教える自家製スポドリ!「スポーツ用」「甘さ控えめ」2つのレシピ付き

夏本番! 汗をかきやすいこの時期は、こまめな水分補給が必要です。手軽なのは市販のスポーツドリンクですが、実はおうちでも簡単に手作りできるんです! 今回はスポーツ栄養学にも詳しい堀口泰子さんに、シーン別の自家製スポーツドリンクレシピを教えていただきます。

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堀口泰子

堀口泰子

ほりぐち・やすこ

栄養士・料理家。健康食育事業やアスリートサポートに従事。美味しく楽しむ健康的な食事術を伝える。講演、栄養指導、コラム執筆、レシピ、商品開発、料理講師など幅広く活動。
身近な食材を使って簡単にできる家庭料理を得意とし、レシピ本も多数手がける。離乳食から介護予防まで様々な食育活動のなかで、健康に役立つお米の食べ方を紹介。スポーツの現場ではジュニア育成と競技力向上ための心と体の成長に注力している。
HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/

気温や湿度が高く、熱中症や脱水症状などが心配な夏。みなさんはしっかり水分補給されていますか?

スポーツドリンクは運動や日常生活でたくさん汗をかいたあと、体から失われた水分やミネラルを効率よく補給することを目的に作られています。市販のスポーツドリンクは基本的に、1時間以上のハードな運動で消耗した場合に飲む前提で作られているため、それ以外のシーンで飲むと甘すぎると感じることもあるのではないでしょうか。しかしそこで「スポーツドリンクは甘すぎるから」と薄めて飲んでしまうと、濃度が変わり体内への吸収率が低下してしまう恐れがあるんです。

▲「安静時や普段の水分補給は水や麦茶で構いません」と話す堀口さん

私はアスリートサポートにも携わっていますが、スポーツの現場では満タンに氷を入れた水筒に飲みものを入れて持参するご家庭が多くおられるんです。また、ペットボトルのスポーツドリンクをそのまま凍らせて持参する方も多いんですね。

大量に汗をかいた時の水分補給は5℃~15℃の温度帯が効果的。適度な冷たさで飲みやすく、冷やしすぎていないという点で胃への負担も少ないといえます。しかし市販のスポーツドリンクについては塩分濃度が丁度0.1%前後で、氷を入れてしまうと効果的な濃度(日本スポーツ協会熱中症ガイドラインではスポーツドリンクとしての塩分濃度は0.1〜0.2%)よりも薄まってしまうんです。
ですので、水筒に市販のスポーツドリンクを入れて、更に氷を入れてしまうと、薄めて飲んだ時と同じように吸収率が変わってしまうんです!
また、ペットボトルごと凍らせたスポーツドリンクも、とけていく間に成分が偏ることがあります。

効果的にスポーツドリンクを飲むためにも、市販のスポーツドリンクは「薄めない」「氷を入れすぎない」「凍らせない」をおすすめします。水筒に移す時はあらかじめ冷蔵庫で冷やしてから入れるか、とけない水筒用アイスキューブがあると便利ですね!保冷力のある水筒なら冷たさも長持ちします。その際の水筒はぜひスポーツドリンク対応のものを選んでくださいね。

また、市販のスポーツドリンクで氷を入れるのはおすすめしませんが、手作りのスポーツドリンクであれば、水と氷を合計した量に対して塩分や糖度を調整することで、氷が溶けても効果的な吸収率を保てるんです。後ほどご紹介いたしますね。

ちなみに水分補給のポイントは「こまめに」「喉が渇いたと感じる前に」「発汗量に応じて」が大切。特にお子さんに「こまめに飲んでね」と伝えると、ひと口だけ飲む子が多いのですが、15分おきに50~100ml程度飲むのが理想的です。またお子さんの場合、甘いスポーツドリンクの飲みすぎを避けるため、水筒を2本持たせて1本はスポーツドリンク、1本は水や麦茶としてもいいですね。

スポーツドリンクを作る時に必要な材料は「水分」「塩分」「糖分」の3つです。いくつかのポイントを押さえれば、おうちでも簡単に作れます!

「水分」は水道水でもミネラルウォーターでもOKです。「塩分」は精製塩ではなく、天然塩を選びましょう。精製塩はほぼ塩化ナトリウムで作られていますが、天然塩は塩化マグネシウムや塩化カリウムなどのミネラル分が含まれているので、汗で失われた体内のミネラル分を補うことができます。「糖分」は甘みをつけて飲みやすくするだけでなく、吸収率を高める働きもあります。

また、おうちでスポーツドリンクを作る場合は、塩や砂糖がとけきれず底に残る可能性があるため、口が広いスポーツボトルやスポーツジャグが比較的洗いやすくておすすめですよ。

「塩分」と「糖分」については、日本スポーツ協会による「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」で、それぞれのパーセンテージが決められています。今回はその規定に沿った形で「スポーツ時に飲む用」と「日常生活で汗をかいた時用の甘さ控えめ」の2種類のスポーツドリンクの作り方をお伝えします。

まずは、運動をしてたくさん汗をかいた時に飲むスポーツドリンクの作り方です。水分補給や熱中症対策など、スポーツドリンク本来の役割を果たしてくれます。水筒に材料をすべて入れ、よく振ったら完成するので、急いでいる時もすぐ作れますよ。

  • 冷水 500ml (氷を使用する場合は水と合わせて500mlになるように調整してください)
  • 天然塩 1g 
  • 三温糖 20g (上白糖、きび砂糖でも可)

【1】水筒に水、天然塩、三温糖を入れ、フタを閉めて上下によく振ってとかす。(水温が低くてとけにくい場合は、少量のぬるま湯でといてから冷水と氷を足す。)

▲今回は分かりやすいよう、計量カップに入れて作っています。
▲計量カップなどで作る場合は、菜箸などでよく混ぜてから入れてください。

水筒に入れたらその日のうちに飲み切りましょう。前日にグラスなどで作って冷蔵庫に入れておき、翌日水筒に移し替えて持参してもいいですね。

続いては「熱中症対策にスポーツドリンクを飲みたいけれど、糖分が気になる」という方に向けた、アガべシロップを使ったレシピです。血糖値が上がりにくい低GI食品で、少ない量でも甘みが感じられます。おうちヨガやウォーキングのなどのスポーツシーンのほか、公園で遊ぶお子さん用にもおすすめです。日常生活でたくさん汗をかいた時や、水だけでは心配な時にいかがでしょうか。

  • 冷水 500ml (氷を使用する場合は水と合わせて500mlになるように調整してください)
  • アガベシロップ 12g (お好みで加減してください)
  • 天然塩 1g
    ※お好みでレモンやライム、ハーブなどを加えても。(計量カップやグラスなどで作り、おうちで飲む場合に限ります。水筒で持ち歩く場合は入れないでください)

【1】水筒に冷水、天然塩、アガベシロップを入れ、フタを閉めて上下によく振ってとかす。(水温が低くてとけにくい場合は、少量のぬるま湯でといてから冷水を足す。)

▲分かりやすくするため、水筒ではなく計量カップで作っています。

グラスで飲む際のアレンジとして、レモンやライムなどの柑橘類や、ローズマリー、ミント、レモングラスなどのハーブを加えると爽やかに楽しめます。ハーブを加える時は叩いてから使うと香りが良く出ます。
※水筒で持ち歩く場合は入れないでください。

必要な時にいつでもサッと作れるおうちスポーツドリンク。シーンに合わせてぜひ飲み分けをしてみてくださいね。適切なポイントを押さえてしっかり水分補給し、楽しい夏を過ごしましょう!

撮影:山下コウ太
編集:Nadia
執筆:田窪 綾
調理師免許を持つフリーライター。惣菜店やレストランで8年ほど勤務経験あり。食分野を中心に、Webや雑誌で取材やインタビュー記事作成などを行っている。

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