キッチンで役立つ! 重曹&クエン酸の活用法

ナチュラルかつ、マルチな掃除に使えて安全という印象の強い「重曹」と「クエン酸」。これらはどう違うのか、どのようなものでできていて、どんな使い方があるのでしょうか。住生活ジャーナリストの藤原千秋さんに、それぞれの特徴やキッチンでの上手な活用法、取り扱いの注意点を教えてもらいます。

この記事をシェアする

Facebook twitter LINE
藤原千秋

藤原千秋

ふじわら・ちあき

大手住宅メーカー営業職を経て「家のなか」の事をテーマにウェブ、雑誌、新聞等で執筆。主な著・監修書に『人生が整う 家事の習慣』(西東社)、『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)等。

初めまして、住生活ジャーナリストの藤原千秋です。
今回は、スーパーやドラッグストアのほか、100円ショップでも見かける「重曹」と「クエン酸」の特徴や活用法を伝授します。

というもの、重曹もクエン酸も「どうやら便利なものらしい」と聞いて、ものは試しと買ってみたけれど、うまく使いこなせていない……というお悩みを聞くことがちらほらあります。それは、それぞれの特性や得意分野をしっかり把握できていないせいかも知れません。

重曹とクエン酸の性質や使い方について、いま一度おさらいしましょう。

「重曹」は、またの名を「重炭酸ソーダ(曹達)」といいます。「ソーダ」を漢字で書くと「曹達」、「重炭酸曹達」を縮めて「重曹」です。「炭酸水素ナトリウム」と呼ぶこともあります。

・ニオイはなく、粒子の細かい白い粉状
・水に溶けにくいが、水に溶けると、ごく弱いアルカリ性を示す
・加熱すると、炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水に分解される

重曹は、やさしいクレンザー(研磨剤)として使えたり、また、油脂・皮脂汚れ(あぶら汚れ)でもあまりひどくないもの、固まってしまっていないものを、手軽かつ比較的安全にサッと落とす泡の立たない洗浄剤として、日常的に使いやすいものです。精製度の高いものは食品添加物としても使われているため、人の口に入る料理を作るキッチンで扱うのに、うってつけの素材といえるでしょう。

・生ゴミに粉を振りかけて、酸性の悪臭を抑える
・シンクの隅などに入り込んだ油脂系の汚れに振りかけて擦り洗い
・若干の水分を混ぜてペースト状にし、オーブン皿の焦げ、隅に溜まった肉汁、魚焼きグリル網の焦げなどをゆるめて擦り洗い
・油脂汚れのついたスープジャーのフタのミゾ部分にペーストを塗り込んでから食器用洗剤で洗うと、スッキリ落ちる

「水1カップ」に「重曹小さじ1」を溶かす「重曹水」も便利です。水は常温よりも若干ぬるめ(40度くらい)のほうが溶けやすいですが、水温があまり高いとアルカリが強くなり、手荒れなどが起こりやすくなるので注意しましょう。

・ガラストップコンロ周りに吹きかけて、油跳ねや油汚れの拭き取り
・重曹水に浸した布で電子レンジや魚焼きグリル内部を拭き取り
・重曹水に浸してよく絞ったぞうきんやペーパーで壁や床を拭き取り

重曹は200グラム~数キロと量に幅のあるパッケージで市販されています。精製度の高いものは食品、薬品として使われることもありますが、掃除にはそこまでの精度は必要ありません。「500グラムで数百円」くらいのコスト感で掃除に適しているものといえますので、このあたりを購入の目安にするといいでしょう。
湿気を吸ったからといって溶けてしまう心配はありませんが、若干の湿気やニオイを吸ってしまうため、ボトルや袋などに密閉して保管しておくようにします。

「クエン酸」は、漢字で書くと「枸櫞酸」。「枸櫞(くえん)」というのは「檸檬(レモン)」の仲間で、酸味の強い果実です。レモンなど柑橘類の酸っぱさはこの「クエン酸」によるものです。

・ニオイはなく、精製すると白い粉
・水に溶けやすく、溶けると弱酸性を示す
・密封しておかないと空気中の水分を吸って溶けてしまう

クエン酸は、独特なさわやかな「酸っぱさ」のため、飲み物に添加されることも多く、食品添加物として広く利用されています。弱酸性の性質をつかって主に住まいの炭酸カルシウム系の汚れ(水垢)を落とす目的で、掃除にも活用できます。
水に溶けやすいので重曹のような研磨効果は期待できませんが、酸の効果でアルカリ性を示す汚れ(水道水などに含まれるミネラル分が沈着した汚れ、腐った魚などから発するアンモニア臭の中和)に効果を発揮します。

・水筒やマグボトルなどに粉のまま少量振り入れて、粉末のジャリジャリ感を生かしながらボトル洗い用のブラシで汚れを掻き取るように洗い流す
・若干の水を混ぜてペースト状にして、ステンレスシンクや調理台に付着した、空き缶などによる「もらいサビ」部分に塗り付け、10分ほど置いたら粉のクレンザー(この場合は重曹ではなく、ケイ素などを主成分とした市販品)を足して、メラミンスポンジで擦ると、スッキリ落ちる

「水1カップ」に「クエン酸小さじ1/2」を溶かす「クエン酸水」はキッチンに常備しておくとこまめな掃除習慣が身につきます。クエン酸を入れすぎると、掃除に使った際にベタつきが出やすいのでこれ以上濃くしないようにしましょう。

・シンクの水栓周りや金具の水垢、コンロのガラストップの曇りの拭き取り
・コーヒーメーカーや電気ポットの内部清掃(水垢取り)
※各々の取扱説明書にクエン酸を使った掃除法があるので、製品に準拠した方法で取り組みましょう

クエン酸はデンプンや糖をコウジカビで発酵させて生成することから、掃除用として売られている商品でも食品添加物として使えるものが多く出回っています。重曹同様、「500グラムで数百円」くらいのコスト感を目安にするといいでしょう。
空気中の水分を吸っただけで水のように溶けてしまうので、保管の際には必ずキッチリ密封するようにしましょう。

このように多様に便利かつ安価な「重曹」「クエン酸」ですが、決して魔法の粉ではありません。使い方を誤ると命に関わることもありますので、これから示す禁止事項は必ず忘れずにおいてください。

重曹水で煮洗い(鍋などに重曹水を入れて沸騰させ、汚れを浮かしとる)すると確かに汚れはよく落ちるのですが、それは加熱した重曹水が、「炭酸ソーダ」に変化し、強アルカリとなるためです。
熱いうちは火傷の恐れがあるのに加え、冷めた後も強アルカリのままなので、万一、跳ねて眼などに入ると大変危険です。加熱をすると気軽に使える掃除道具ではなくなりますので、くれぐれも気を付けましょう。
また、重曹(重曹水)は鍋などのアルミを黒く変色させたり、無垢の木や、い草などのタンパク質を変性させて黄色く変色させたりもします。一度変色させてしまうとなかなか元に戻りません。うっかり間違えて使わないようにしましょう。

当然ですが、振りかけたり、混ぜたりしてもいけません。極めて毒性の高い塩素ガスが発生して中毒死する恐れがあります。
「台所用塩素系漂白剤」「カビ取り剤」等の主成分は「次亜塩素酸ナトリウム」で、非常に強い酸化力をアルカリに保つことで調整して市販されていますが、酸が触れるとそのバランスが崩れて急激に分解されます。
キッチンでは掃除用クエン酸以外にも「お酢」「レモン」等の酸が多く使用されがちなので、常に「次亜塩素酸ナトリウム」を使うタイミングには注意するようにしてください。
また、クエン酸(クエン酸水)は鉄を錆びさせ、大理石を白く曇らせてしまうので注意しましょう。

裏返せば、これらのポイントさえ押さえれば、「重曹」「クエン酸」はとても心強い暮らしの伴走者になりえます。うまく使いこなして、暮らしの達人になってくださいね。

編集:ノオト

この記事をシェアする

Facebook twitter LINE

PLUS THERMOS おすすめの商品