ギフトコンシェルジュに聞く「敬老の日」に喜ばれる贈りものアイデア

「敬老の日」は字の通り、老年の方を敬う日です。けれど何歳からギフトを贈ってもいいものか、目上の方が喜ぶものはどんなものかなど、わからないことも多いですよね。そこでギフト選びのプロである真野知子さんに、敬老の日の贈りものについてのあれこれを教えていただきました!

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真野知子

真野知子

まの・ともこ

ギフトコンシェルジュ。さまざまな媒体で手土産など日常的なギフトからハレの日の贈りものまで、多彩なシーンに合わせてギフトを選定。商品企画監修、ブランドプロデュースから雑誌連載やテレビなどのメディア露出まで、多岐に渡って活動中。

人に贈りものをする機会はいろいろありますが、相手との関係性やシーンによってギフトのランクも選び方もまったく異なります。では、敬老の日の贈りものの場合、どんな心構えで挑めばいいのでしょうか。

真野さん
「敬老をお祝いするようになるのは、孫が生まれたときからというケースもあれば、還暦を迎えたときからという場合、定年退職をきっかけになど、人によってさまざま。それゆえ、何歳からという決まりはありません。相手の年齢層やライフスタイルに合ったものを選ぶように心がけましょう」

食べものを贈る場合は、健康面も配慮して考えたいところ。家族と同居か、ひとり暮らしかという部分でも、選ぶアイテムが変わってきます。

真野さん
「贈答とは、ものを介した気持ちのやり取りです。大人の常識の範囲でマナーは身につけておいた方が好ましいですが、冠婚葬祭以外の日常ギフトは、過剰に恐れなくても大丈夫。贈りものの答えはひとつではなく、世の中にあまたあるものの中から、相手を思う自分の気持ちにピッタリ合うものとの出合い、それぞれの思いを託せる許容の広さや多彩さに面白みがあります。それを感じられるのが贈りものの醍醐味なので、ギフト選びを楽しんで欲しいです。相手の喜ぶ顔を想像しながら、自分なりの思いを込めたセレクトをしてみてくださいね」

気持ちが伝わることがいちばんなので、あまり固く考えすぎなくても良さそうですね。それでは早速、敬老の日にふさわしい具体的なアイテム選びについて押さえていきましょう!

まずは、ギフトの値段を決めるところから。真野さんいわく、一般的な敬老ギフトの目安は「3,000〜10,000円」とのこと。ただしこれはあくまで目安の金額で、これより上でも下でも構いません。

真野さん
「敬老の日は賀寿のように、一生に一度の節目のお祝いではなく毎年迎えるものなので、毎回そこまで予算はかけられないかと思います。それぞれのご家庭の金銭感覚で、贈る方も受け取る方にも、負担のかからない価格で選ぶことも大切です」

ギフトには、食べ物や使ったらなくなる「消えもの」と、長く使う雑貨やインテリアなど「残るもの」があります。どちらを選べばいいのか迷ったとき、真野さんがおすすめするのは消えものです。

真野さん
「毎年のイベントですし、消えものだとその一時を楽しむというところでは気軽かもしれませんね。家族の形も、目上の方との関係性もいろいろなので、消耗して処分しても気兼ねしないようなもの方がいいという場合もあります。形は消えても印や記憶に残るといいですね。

逆に残るものでは、お孫さんにまつわるものならなんでもうれしいというお声が多いですね。特にコロナ禍で会いたくても会えないという方もたくさんいらっしゃるので、お孫さんとのつながりが感じられるものもいいのではないでしょうか」

たくさんのギフトを見てきた真野さんだからこそ知る、敬老の日の定番や避けたいアイテムについても教えていただきました。

真野さん
「定番では、お花やご家族で食卓を囲めるものが人気ですね。秋は食べ物がおいしい季節なので、旬のフルーツや高級食材など、自分ではなかなか買わない上質なものが贈りものにおすすめです。初ものを食べると寿命が延びるともいいますし、その季節の旬のものは喜ばれるはず。

反対に避けた方がいいものとしては、幅広い年齢層がターゲットなので一概には言えませんが、ある程度の年齢を迎えると健康面の不安を抱えている方も少なくありませんから、糖分や塩分を控えている方に、そういった体に負担をかける食べ物は避けたいですね。

ときには『甘いものを贈ったけど、本当は苦手だった』というような失敗をすることもあるかもしれません。長いお付き合いをしていくなかで、失敗というコミュニケーションはお互いの関係を深めるためにも重要なことですので、どうか落ち込みすぎないでください。そして今後も過度に恐れることなく、贈りものにチャレンジして欲しいと思います」

敬老の日は毎年必ず訪れるイベント。いつも定番のギフトを贈るだけでなく、たまには少し攻めた贈りものをしてみると、贈る側も受け取る側もより楽しめるでしょう。そこで、相手に合わせたギフトの選び方のアイデアも教えていただきました。

真野さん
「みなさんコロナ禍でおうち時間が増えていますので、家から出なくても家の中で楽しめるアイテムはいかがでしょうか。お取り寄せやコロナ禍ならではの地域応援型のミールキットなども喜ばれますよ」

真野さん
「お孫さんとなかなか会えず、寂しい思いをされている方はとても多いはず。離れて暮らしているのであれば、お孫さんが描いたイラストをハンカチなどに刺しゅうやプリントをするサービスで、オリジナル感のある贈りものを試してみてください」

真野さん
「定年を迎えて旅行やスポーツなどの趣味を楽しんでいる方向けなら、趣味にまつわるお道具やアイテムもうれしいと思います。長く愛着を持てるように名入れなどセミカスタマイズしたアイテムはその人ならではの贈りものになるため、ふさわしいと思いますよ」

真野さん
「旅行に行くには少し体に負担が出てくる年齢にさしかかってきても、親しい友人との外出や食事など、お出かけもまだまだ楽しめるお年頃の方には、おしゃれのサポートになるファッション雑貨や、自宅で過ごす空間に華を添えるインテリア雑貨を選んでも良さそうです」

真野さん
「ある程度の年齢になると、身の回りのものはだいたい持っているというライフスタイルになってくると思います。そういった方には、名前入れのアイテムでオリジナリティを感じるものや、特別感のあるオーダーメイドアイテムもうれしいと思います」

真野さん
「家族やお孫さんの写真を使ったインテリアアイテムもおすすめです。単純にフォトフレームでもいいし、写真とセットになったプリザーブドフラワーなどのサービスもあります。常にお部屋に飾って楽しめるものだと、みんなのことが身近に感じられていいかもしれません」

真野さんが挙げてくださった6つのアイデア。具体的な商品は、贈る相手と親密であるご自身で選んでみてください。自分の気分に合うものと相手の好みがマッチするところを見つけましょう。

真野さん
「日々忙しくて敬老の日のギフト選びもギリギリになり、いいアイテムが思いつかなくて困ってしまうという方もいらっしゃるかもしれません。そうならないためにも、普段から『ギフトにいいかも』と思うアイテムを、いろいろと見つけておくのがコツですよ。それでもなかなか決まらないなら、自分が気に入っているものを差し上げるのも、コミュニケーションのひとつ。思いがこもった素敵な贈りものです!」

ギフトを贈るときにもうひとつ、忘れてはならない大事なポイントがあります。それは渡す前に加えるひと手間のこと。

真野さん
「これは敬老の日だけに限らないことですが、贈りものにはメッセージカードをつけることをおすすめしています。たくさんある中でどうしてその品物を選んだのかという理由をお伝えした方が、より気持ちが伝わる贈りものになりますし、相手も誤解なく受け取ることができます。

例えばお菓子を送るなら、このお菓子のここが好きとか、こういう食べ方がおいしいというおすすめポイントを一緒に描いて添えると、コミュニケーションのひとつになるでしょう。もし自分が食べていなくても、なかなか手に入らない人気のものが手に入ったからとか、健康面に配慮して選びました、などの一言があれば、商品の味を知らなくても失礼にはならないと思います。たかが一言と思われるかもしれませんが、温かみは十分に伝わりますよ」

真野さんが敬老の日ギフトにおすすめするお菓子を選んでいただきました。

真野さん
「『すや』の栗きんとんは、素朴ながらしっかりした栗の味が楽しめる、ファンも多い有名なお菓子。2.000円以下で購入できる気軽さもうれしいですよね。季節を感じる栗を使用し、季節限定というレア感をメッセージカードでアピールするといいと思います」

真野さん
「『RAU』のチュイールサンド Nami-Namiは、京都の洋菓子です。ざくざくとした歯応えに、甘すぎない後味でグルメな大人にもおすすめ。モダンな見た目もおしゃれです。『落ち着いたら一緒に京都に行きたいですね』というメッセージなど添えてみても素敵だと思います」

味のことだけでなくシチュエーションを感じる気の利いた一言も、ぜひ参考にしたいアイデアです。

敬老の日、大事な方にどんなものを贈りたいかイメージはわきましたか? もしかすると、たくさんリサーチをしたのに敬老の日に使えなかった。ということもあるかもしれません。けれど、リサーチしたことは決して無駄にはならないというのが真野さんの考え方。なぜなら、自分の持つ知識の手札が多ければ多いほど、日常的なギフトを贈るときに役立つからです。

どのシーンでどのカードを切るかは自分のセンスの見せどころ。そういったおもしろさも感じられるようになると、贈りものをもっと楽しめるようになりそうですね。



<ブランド情報>

イラスト:ナカミサコ
写真:藤原葉子
編集:ノオト

西田タニシ

西田タニシ

にしだ・たにし

おしゃれライター&編集者。ファッションから健康系まで20〜30代女性をターゲットに雑誌や書籍、Webメディアなどで元気に執筆中。

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