家事の効率がアップする「冷蔵庫のスッキリ収納術」

家事の効率がアップする「冷蔵庫のスッキリ収納術」

食材の鮮度を保ったり、細菌の繁殖を抑えてくれたり、家庭の食を支えている「冷蔵庫」。とはいえ、食材をただなんとなく詰めていると「まだある食材を買ってしまった」「賞味期限が切れていた」など、食品ロスになってしまうことも……。今回は、料理研究家で冷蔵庫収納&食品保存アドバイザーでもある島本美由紀さんに冷蔵庫をスッキリさせるテクニックを教えていただきます。

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島本美由紀

島本美由紀

しまもと・みゆき

料理研究家。ラク家事アドバイザー。食品ロス削減アドバイザー。冷蔵庫収納&食品保存アドバイザー。防災士(防災食&備蓄アドバイザー)。50か国、200回を超える海外旅行を経験。旅先で得たさまざまな感覚を料理や家事のアイデアに活かし、手軽に作れるおいしい料理レシピを考案。料理だけにとどまらず、公式YouTube「島本美由紀のラク家事CH」では家事がラクになるアイデアを発信している。
HP:https://shimamotomiyuki.com/#pr

まずは、冷蔵庫の基本知識をおさらいしましょう。

食品がパンパンにつまった冷蔵室は、冷気が効率よく回らずに電気代が余計にかかります。収納は7割以下を心がけましょう。一方、冷凍室は食材がつまっていた方が効率よく冷えるため、7割以上のスペースをうめると◎。

冷蔵庫内がスッキリと整理できていれば、温度設定は「強」ではなく「中」「弱」で問題ありません。7割以下の収納であれば、夏場は「中」、冬は「弱」の設定でOK。周囲の温度が22℃の場合、「強」から「中」にするだけで、年間で約1,360円の節約になります(※)。

※「家庭の省エネ大辞典」(ECCJ省エネルギーセンター発表)参照。ご使用の機器・居住地域・住宅などにより金額は異なります

冷気の吹き出し口に食品を置いてしまうと、凍結したり、冷気が全体に回らなくなってしまったりします。吹き出し口はふさがないようにしましょう。

冷蔵庫は、スペースによって温度が微妙に異なります。温度によって保存に適している食品があるので、さっそくチェックしましょう。ただし、メーカーや機種によって温度差があるため、あくまで目安としてください。

ドリンクや未開封の要冷蔵食品など、保存期間が長いモノ、出し入れの頻度が少ないアイテムの保存に適しています。冷蔵室の中では一番温度が高いため、肉や魚、発酵食品などに保存には不向きです。

最も出し入れしやすい位置なので、常備菜や朝食セットなどをトレーでまとめて管理すると、迷うことなく取り出せます。日常的によく使うものを保存しましょう。

冷蔵室の中では一番温度が低いため、豆腐や油揚げなど傷みやすい食品の保存に適しています。調理作業中の鍋やボウルなど大きさや重さがあるモノをさっと置けるスペースを確保できると理想的です。

冷気が届きにくいうえに、ドアの開閉による温度変化もうけるため、冷蔵室よりもやや高めの温度になります。調味料や飲み物など、多少の振動や温度変化に強い食品の保存に適しています。

冷蔵室よりも低温で扉によって冷気が逃げにくいので、肉や魚、ソーセージなどの加工食品の保存に適しています。熟成スピードをゆるやかにしたい発酵食品もチルド室保存がおすすめ。

下段にはキャベツや根菜類など大きな野菜を、上段にはつぶしたくない野菜や果物を保存しましょう。野菜でも千切りキャベツや、根元をほぐしたキノコなどは痛みが早いので、野菜室保存はNG。これらは必ず冷蔵室に置きましょう。

冷凍用保存袋に入れた食材を保存しましょう。塩分が高い調味料は冷凍しても凍らないため、使用頻度が低ければ豆板醤や甜麺醤などはこちらに置いても◎。

ここからは、「冷蔵室」「チルド室」「ドアポケット」「野菜室」「冷凍庫」の5つのスペースそれぞれの収納&活用法について教えてもらいます。

島本さん
「冷蔵庫の中身は日々変化するものですから、ルールを決めすぎるのもストレスになりますよね。でも、それぞれの定位置をざっくり決めておくと、食品が取り出しやすくなったり、最後まで使い切れるようになったり、結果として家事効率がアップします。

家庭から発生する食品ロスは、4人家族の1世帯で毎年約6万円相当ともいわれています。冷蔵庫を整理することは、こういったムダも抑えることができますよ」

常備菜などは、家族の誰が見ても何が入っているかひと目でわかる透明な容器を使いましょう。容器は2〜3種類に統一すると、見た目もスッキリします。中身が見えない容器は、ラベルを貼って管理しましょう。

バターやジャムを集めた「朝食セット」、プリンやチョコレートを入れた「おやつセット」、漬物やチーズをまとめた「おつまみセット」など、取り出すタイミングが同じものはトレーやカゴを使って収納すれば、出し入れも簡単でダブリ買いも予防できます。

半端に余ってしまった加工食品や開封した缶詰の残りは、冷蔵室の下段にまとめて置きましょう。献立を考えるときにまずはここからチェックすると、使い忘れの防止になります。

あらかじめカットした野菜や、根元をほぐしたキノコなどは、野菜室ではなく冷蔵庫に保存しましょう。湿度が高い野菜室は、雑菌が繁殖する可能性があります。

保冷室より温度が低く、扉もあって冷気が逃げにくいチルド室は肉や魚の保存に最適です。小さなチルド室の場合は積み重ねてもOKですが、その結果、在庫が把握できなくならないように注意しましょう。鮮度を長持ちさせたい場合は、食材をキッチペーパーで包んでからラップを巻いて、ポリ袋に入れましょう。中身が見えなくなるので食材名を明記すると◎。

冷凍食材をチルド室に置くとゆっくりと解凍が進むため、水分とともに流れ出るうまみや栄養を最低限におさえることができます。庫内を汚さないようにトレーに乗せて解凍しましょう。

スペースが余れば、キムチや納豆、チーズといった発酵食品の保存はチルド室がおすすめ。そのほか「にんにく」「しょうが」「もやし」「ブロッコリー」は、チルド室保存によって鮮度がキープしやすい野菜です。

瓶、ボトル、小袋、チューブなど容器を問わず、調味料はドアポケットに集めましょう。迷子になりがちな細々した調味料は、100均グッズやペットボトルをカットした容器などで上手に収納すると◎。「光」「熱」「湿気」に弱いスパイスやハーブも使用頻度が少ない場合は、開封後はここに保存しましょう。使用するときは、湿気を避けるため、直接振り入れるのではなくお皿に出して。

賞味期限が過ぎても余っていたら使いがちな調味料たち。使用頻度の少ない調味料は、いつあけたっけ……?となりがちです。明記されている賞味期限はあくまで未開封の状態の目安。一度あけた調味料は開封日を書いておき、2〜3か月を目安に使い切りましょう。

少量になると出にくいマヨネーズは、逆さ保存OK。しかし、ケチャップは水分と分離しやすいので、逆さ保存NGです。

常温だと風味が飛んだり、変色したりする鰹節や桜えびは、ドアポケットに吊し保存がおすすめ。使い忘れも防ぐことができます。

野菜や果物をむき出しで保存すると、乾燥して傷んでしまいます。なるべく密閉して、冷気が直接当たらないようにしましょう。エチレンガスを大量に放出するリンゴとアボカドは「ラップ+ポリ袋保存」がマストです。キッチンペーパーや新聞紙で包んで中身が見えなければ、ペンで食材名を明記しておくと◎。

葉物など高さのある野菜は、突っ張り棒で仕切ると収納しやすくなります。ゆったりと立てかけることで葉がつぶれにくくなります。

使いかけの野菜をまとめるカゴを用意すると、使い切ろうという意識が生まれて、献立が立てやすくなります。

精米したお米は冷やすことでおいしさをキープしやすくなります。また、毎日のお手入れが必要なぬか床は、冷蔵室ではなく野菜室で保存すると◎。常温保存よりもニオイ漏れやかき混ぜる手間が少なくなります。

食材をおいしく冷凍したいなら、なるべく短時間で凍らせるのがポイントです。保存袋に入れて平らにならした食材は、冷凍庫の上段に置いた金属トレーに乗せると急速冷凍できます。

冷凍室が上下段に分かれている場合は、細々したものを上段に、下味冷凍した食材や冷凍食品などはブックエンドを立てた下段に収納しましょう。保存袋の上部に食材名と日付を書けば、使い忘れを防止できます。

柚子胡椒や豆板醤、甜麺醤など塩分の高い調味料は冷凍室に保存しても凍らず、すぐにスプーンでかき出すことができます。冷凍した方が、風味も変わらずに保つことができます。

ラップには小さな穴が空いているため、そのまま冷凍庫に入れると中の食品が乾燥してしまいます。冷凍専用の保存袋に入れてダブル使いを心がけましょう。もし袋がない場合は、ラップを2重にすると乾燥を緩和できます。一度開封した冷凍食品も乾燥や霜を防ぐために、2重保存がおすすめ。

冷蔵庫の使い方を見直すだけで、中身がすぐに取り出せないストレスや食品をムダにする罪悪感からも解放されて、なんだか気持ちまでスッキリしそう! まずはできるところから整えて、日々の料理を楽しみましょう。

執筆:関あやか 
編集:ノオト
イラスト:すぎやままり

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