意外と知らないきのこの豆知識!「雪国まいたけ」担当者に聞く、うま味 倍増の食べ方

物価高の今、年間を通して価格が安定しているきのこ類は家計の大きな味方です。今回はきのこのプロである「雪国まいたけ」のご担当者に、さらにおいしくなる食べ方を教えていただきました。アドバイスを生かしたレシピとともに詳しくお伝えします!

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山岸 翔也

山岸 翔也

やまぎし・しょうや

大手総合広告代理店で約2年にわたりPR業務を務めたのち、2022年3月に株式会社雪国まいたけに入社。マーケティング部に配属後、生きのこ類のPRや販促業務を中心に、SNS運用や他メーカーとのタイアップ企画などを推進。消費者に向けたきのこの食べ方提案を積極的に行っている。
HP:https://www.maitake.co.jp/

――スーパーのきのこコーナーで目にする機会も多い「雪国まいたけ」さんですが、具体的にどんなきのこを扱っているのでしょうか? まずは会社について教えてください。

山岸さん
「雪国まいたけ」は1983年に新潟県南魚沼市で創業したきのこの総合メーカーです。当時は自生するものしかなく、希少性の高さから“幻のきのこ”と呼ばれていたまいたけの人工栽培を実現しました。大量生産が可能となり、店頭にも多く並べられるようになったんです。

――今は手軽に買えるまいたけですが、昔は希少なきのこだったんですね……!「雪国まいたけ」さんは、まいたけ以外にも色々なきのこを取り扱っていますよね。

山岸さん
はい。その後、えりんぎ、ぶなしめじの生産も開始したほか、まいたけのさらなる品質向上にも注力しました。従来よりもさらに優れた菌株を20年かけて開発し、新たなまいたけ「極(きわみ)」として2015年にブランドリニューアルを行っています。さらに、煮汁が黒くならない白まいたけや、マッシュルーム、本しめじ、はたけしめじなど、さまざまなきのこ製品のラインアップを増やしています。

――きのこ類は全般的に安価で手に取りやすいですが、そのほかに特長や魅力、メリットはどんなところだと思いますか?

▲「雪国まいたけ」で取り扱っている商品の一部。特にまいたけはグラムのサイズ展開も豊富。

山岸さん
たくさんありますが、一番の特長はたんぱく質分解酵素が多く含まれていることですね。きのこの中でも特にまいたけに多く含まれていますので、お肉と一緒に漬け込んでおくと、食べた時にお肉のやわらかさを実感していただけると思います。栄養面でいうと、ミネラルやビタミン、食物繊維が豊富、それでいて低カロリーなところではないでしょうか。さらにきのこは調理がしやすいのもメリットですね。とくにまいたけは出荷時に根元部分を手作業で取り除いているので、ご家庭で調理する時、捨てる部分が出ないんですよ。包丁を使わず手で割いて使えるのも魅力のひとつです。

――よく、きのこは「冷凍するとうま味がアップする」と聞くのですが、どうしてなのでしょうか? 具体的に教えてください。

山岸さん
きのこ類には「グアニル酸」と呼ばれるうま味成分が多く含まれているのですが、冷凍するときのこ内部の細胞壁が壊れてグアニル酸が外に出やすくなります。生の状態から加熱調理するよりも、冷凍してから加熱調理する方がグアニル酸が約2倍アップすると言われているんです。
きのこを乾燥させた場合でも、内部の水分が蒸発して細胞が変化するので、冷凍と同様にうま味成分がアップします。ただ、乾燥させる際は1日ほど野外で天日干しをしていただく必要がありますので、より手軽な方法として私たちとしては冷凍をおすすめしています。

――なるほど!では料理に使う前に、きのこ類はあらかじめ冷凍させておくといいんですね。冷凍する時や、料理に使う時のポイントはありますか?

▲冷凍したきのこ類は、およそ1か月を目安に食べ切りましょう。(写真はサーモスのフードコンテナーを使用)

山岸さん
お好きなサイズに手で割いたり、包丁で切ったりしてから保存容器や保存袋などに入れて、冷凍庫でひと晩以上凍らせるだけでOKです。料理に使う時は解凍せず、凍ったまま調理するのがおすすめです。保存容器で凍らせる場合はキッチンペーパーを敷いてからきのこを入れると、底面に凍ったきのこがくっついてしまうことなくスッと取り出せますよ。

――山岸さん、先ほど教えていただいた冷凍のほかに、きのこをさらにおいしく食べるコツはありますか?

山岸さん
イノシン酸、グルタミン酸、グアニル酸という「三大うま味成分」が多く含まれている食材があるんです。代表的なのはこちらですね。
・イノシン酸:肉、魚、かつお節など
・グルタミン酸:トマトや昆布など
・グアニル酸:きのこ類

▲きのこ類には「グアニル酸」のほかに「グルタミン酸」も含まれており、きのこ単体でも、ミックスさせてもうま味がアップします。

山岸さん
こうした食材を掛け合わせて料理を作ることで、さらにうま味が強く感じられるようになります。これを「うま味の相乗効果」と言い、それぞれの食材ごとに調理して食べるより、うま味が強くなるといわれているんです。

山岸さん
まいたけをはじめとするきのこ類は、グアニル酸だけでなくグルタミン酸も含まれています。きのこだけでも複数の種類を使うとうま味の相乗効果を引き出せるので、ぜひお好みのきのこを何種類かミックスして使っていただけると良いですね!

――ありがとうございました!ここからは教えていただいたアドバイスをもとに、冷凍きのこを使ったレシピをご紹介します!

冷凍したきのこのうま味と、バター醤油の香ばしさ。さらに梅の酸味がパスタに絡まり、食欲をそそる味わいです。きのこは冷凍したまま使うので手軽に作れます!梅干しごとに塩分が異なるので、醤油の量は加減してくださいね。

▲今回はハーフサイズのベーコンを4枚使用しています。
  • ぶなしめじ 100g
  • まいたけ 70g
  • ベーコン(スライス) 2枚
  • にんにく 1片
  • 梅干し 15g程度 種を除く
  • スパゲッティ 160g
  • 水 60ml
  • バター 20g
  • 醤油 小さじ1〜大さじ1/2
  • 黒こしょう 少々
  • 大葉(千切り) 適量
  • 刻み海苔 適量

ぶなしめじ、まいたけは保存容器に入れ、ひと晩以上冷凍しておく。

【1】ベーコン(スライス)は2cm幅に切る。にんにくは芯を除いて潰す。梅干しは種を除いて包丁で叩く。

【2】鍋に湯を沸かして塩(分量外:湯1リットルに対して塩小さじ1が目安)を加え、スパゲッティを表示時間より1分ほど短くアルデンテに茹で、湯を切る。

【3】フライパンに、にんにく、オリーブオイルを入れて弱火にかける。香りが立ったらベーコンを入れてさっと炒め、梅干しを加えて全体に炒める。きのこ類を凍ったまま入れ、水を加えたら、フタをして弱火で2分ほど加熱して火を通す。

【4】スパゲッティ、バター、しょうゆ、黒こしょうを加えて全体を混ぜる。器に盛り付け、好みで大葉(千切り)、刻み海苔をのせる。

冷凍きのこを2種類使ったパスタが完成しました!まいたけとしめじ、それぞれコク深い風味があり、噛むごとにうま味を感じます。もちろん、他のきのこを使うのもおすすめですよ。

ヘルシーで家計にも優しいきのこ類。まとめて購入して冷凍しておくといつでも使えるだけでなく、さらにおいしく食べられるんですね。今回のレシピも身近な材料で作れるので、ぜひトライしてみてください!

撮影:山下コウ太
編集:Nadia株式会社
執筆:田窪 綾
調理師免許を持つフリーライター。惣菜店やレストランで8年ほど勤務経験あり。食分野を中心に、Webや雑誌で取材やインタビュー記事作成などを行っている。

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