スープジャーで世界一周 -クレオパトラも飲んだ? モロヘイヤ・スープ(エジプト)-

忙しい毎日。朝起きて、家事や仕事に追われるうちに、気がつけばもう夕方。 どこか遠くへ旅に出たい! なんて思う日もありますが、残念ながらそう簡単に飛び出すわけにはいきません。 それならせめて気持ちだけでも広い世界を味わいたいもの。 ここでは世界各国のスープ料理を、その国の魅力やマメ知識と共にご紹介します。 スープジャーに世界中のスープ料理を閉じ込めて、旅してみませんか?

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連日の猛暑。食欲もわかないし、コンロの前で料理すると暑いし……などと思っているうちに、夏バテに。
そこで今回ご紹介するのは、カラダに嬉しい栄養素がたっぷりのモロヘイヤ・スープです。緑黄色野菜で作った、あのクレオパトラも食したとされるスープで、夏の疲れを吹き飛ばしましょう!

考古学者でなくても古代エジプト文明に魅せられた人は多いはず。偉大なファラオ(王)が眠るピラミッドには今なお謎が多く、大規模な発掘調査が行われています。
ギザの三大ピラミッドを見たことがある人も多いのではないでしょうか? 最も大きいクフ王のピラミッドは、高さが約139m。これは現在の高さであり、およそ4500年前の建設当時は化粧石で覆われ、146mほどだったといいます。

ギザ以外にも、エジプトには大小さまざまなピラミッドがあり、発掘されていないものも含めると140基を超えると考えられています。
ピラミッドは日本の古墳と同じお墓なので、数が多いのは当然と言えば当然、それだけ古代エジプトが栄えていたという証でしょう。そして形も、有名な三角形のものばかりとは限りません。

最初に造られたとされるジェゼル王のピラミッドは、別名「階段ピラミッド」と呼ばれ、台形の段がケーキのように積み上がった形をしています。
スネフェル王の「屈折ピラミッド」は、その名のとおり途中で角度が変わっているデザインが特徴。建設の過程で計算ミスに気づき修正を加えたという説と、スネフェル王が急死したために完成を急いで変更したという説があります。
スネフェル王は紀元前2600年頃に活躍した王様で、後に大ピラミッドを建設したクフ王の父君にあたります。

砂塵の舞う大地から一転、お次は美しい海辺の街へ。
「地中海の真珠」と称賛されるアレクサンドリアに行ってみましょう!

首都カイロから北へ約180km、エジプト第2の都市アレクサンドリアは、地中海や紅海を行き交う船で栄えた港町です。有名なアレキサンダー大王が遠征の途上で港を築いたことからその名が冠され、紀元前からコスモポリタンな街として発展してきました。

貴重な産物を山と積んだ帆船が幾艘も洋上を走り、港は富の集積地。「アレクサンドリアにないものは雪ばかり」と言われたとか。
沖合ではきっと海賊たちが大暴れしていたことでしょう。

▲香辛料は金銀財宝と同じ価値があったそう。右端の白い建物は、15世紀に建設されたカイト・ベイ要塞

アレクサンドリアは、あのクレオパトラが最期を迎えた地でもあります。
エジプト王家には「クレオパトラ」という名の女性がしばしば登場しますが、特に有名なのがクレオパトラ7世です。古代エジプト最後の王朝、プトレマイオス朝で権力を握った彼女は、ローマの英雄カエサルとアントニウスを魅了し、時の政権を揺さぶったことから絶世の美女だったといわれています。でも最近では、実はそうでもなかった、異国語に達者で知的、おしゃべり上手だったとの説も浮上しています。

クレオパトラ7世が好んで食べたという伝説のスープ、それがモロヘイヤ・スープです。
この言い伝えを証明する文献などは今のところないそうですが、そんな伝説が残るのも納得。
モロヘイヤには、美と健康をキープしてくれる栄養素が豊富に含まれているのですから。

その一、体内でビタミンAに変換されるβカロテンという成分は、100gあたり10000μgと、野菜の中でもトップクラスの含有量を誇ります。
ビタミンAは、抗酸化作用をもつ栄養素。ビタミンCとともに、強い紫外線でダメージを受けた肌を細胞レベルで守ってくれます。
その二、ビタミンB2の含有量はほうれん草の2倍近くあり、疲労回復や皮膚や粘膜を健康に保つ働きをあと押し。
その三、カルシウムや食物繊維も豊富。

モロヘイヤを使ったスープを飲んで、クレオパトラの伝説にあやかりたいものですね!

モロヘイヤ・スープは、エジプト各地で飲まれている庶民的な料理です。

日本でも、最近はスーパーで手軽に買える野菜になりました。

高い栄養価に加え、10分もあれば完成してしまう手軽さも魅力。
火にかける時間が短くて済むのも、暑い時期には嬉しいですね。

調理のポイントは、モロヘイヤを下茹でせずにそのままスープへ入れること。味のポイントは、クミンとコリアンダー、仕上げにかけるにんにくオイルです。
濃厚で、クセのある香りがあとを引き、やみつきになりそうな予感……。

この夏は、モロヘイヤ・スープをぜひお試しください♪

  • モロヘイヤ 1/4束(30g程度)
  • チキンスープ 250ml
  • 塩・こしょう 少々
  • バター 10g
  • にんにく(みじん切り) 1/2~1片
  • クミン・コリアンダー
    (お好みでどちらかひとつでもOK) 各少々

スープジャーに熱湯(分量外)を入れ、フタをしないで5分以上保温する。

1. モロヘイヤは固い軸の分を除き、包丁で細かく刻む(ミキサーやブレンダーでもOK)。
2. 鍋にチキンスープを熱し、塩・こしょうで調味する。
3. フライパンにバターとにんにくを入れ、弱火でゆっくりと熱する。香りが出てきたらクミンとコリアンダーを加え、にんにくに色がついたら火を止める。
4. 2のスープを沸騰させて1のモロヘイヤを加え、ひと煮立ちして色が鮮やかになったら火を止める。
5. スープジャーの湯を捨てて4を注ぎ、3のにんにくオイルをかけたら完成。

※保温後は6時間以内に一度にお召し上がりください。

ライター:松下梨花子
スープの撮影:土肥裕司
編集:オフィス福永

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