楽しく食べて元気に育つ食育のヒント〜受験生応援レシピ

好き嫌いが多い、食が細い、何をどのように食べさせればいいかわからない、塾通いでゆっくり食べられる時間が取れない……お子さんの食事は大切にしたいけれど、そのぶん悩みも増えてしまいますよね。 そこで今回は、幼児教育の専門家・白澤育玖美さんに肩肘張らない食育のヒントと、手軽に作れる受験生応援メニューをお聞きしました。

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白澤育玖美

白澤育玖美

しらさわ・いくみ

幼稚園・小学校受験教育総合アドバイザー、食育インストラクター。大手幼児進学教室の講師を経て、独立。受験指導のみならず、自然とふれあい何にでものびのび挑戦する心を養う教育を心がけている。聖心女子大学卒。

お子さんの好き嫌いでお困りの親御さんは多いはず。ちゃんと栄養バランスを考えて食事を作っても、嫌いな食材はなかなか食べてもらえないもの。
白澤さんの上のお子さんも、小さい頃はあまり野菜が好きではなかったそうです。でも、家の近くにあった畑のおじさんと仲良くなり、採れたてのブロッコリーをもらったり、おじさんとおしゃべりしたりするうちに、いつのまにか野菜が食べられるようになりました。

白澤さんはこれを“ブロッコリーとの出会い“と表現します。
「たとえばプランターで野菜を育てれば、野菜そのものに興味が湧くのはもちろん、季節の移り変わりや植物の成長など、いろいろなことを学べますよね。嫌いな野菜も、自分で土をいじって育てれば愛着が湧いて、だんだん食べられるようになるお子さまもいます。そういう体験が大事だと思います」

野菜を育てなくても、家で料理する前の野菜を触らせたり、切った断面を見せたりするだけでも小さな体験につながると、白澤さんは言います。
「食卓での会話に、食材の話を積極的に取り入れてはどうでしょう。畑でできた野菜がスーパーマーケットに並ぶまでの仕組みとか、流通についての話も面白いと思います。また、親がおいしそうに食べている姿を見せるというのも立派な食育ですよ」

塾に通うお子さんは、休憩時間にお弁当を食べることがよくありますよね。そんな「塾弁」にと白澤さんがおすすめするのが、爆弾おにぎりです。
大きなおにぎりは、糖質がしっかり摂れて、脳へのエネルギー補給に最適。野菜や肉の入ったスープと一緒にお弁当として持たせれば、栄養バランスのとれた食事になります。

  • ごはん 1合

【A】

  • 高菜漬け 30g
  • 塩昆布 8g
  • 干しあみえび 4g
  • ゴマ 8g(すりごま、白ごまなど何でもよい)
  • 海苔
  • お好みの具 適量(鮭、たらこ、焼き肉など)

【作り方】
①炊きたてのごはんに、Aを混ぜましょう。 
②お好みの具を入れてごはんを握り、海苔で包みましょう。
☆ラップに包んで握ると、手につきません。

人間は、食べ慣れた味を好ましく感じるもの。たとえば出汁の効いたお味噌汁が好きな子どもは、朝お味噌汁を食べる家庭で育っていることが多いとか。日々、素材本来の味に親しんでいれば、舌がその味を学習して自然とおいしいと思うようになると白澤さんは言います。
「お味噌汁が苦手なお子さまは、カツオ節から始めてみては?削ったカツオ節がパックで売られていますよね。あれをお鍋に加えれば、手軽に出汁をとることができます。それで野菜スープをたっぷり作って食べさせると、だんだん舌が慣れていきます」

というわけで、基本的な野菜スープのレシピを教えてもらいました。
「野菜スープは忙しい親御さんの強い味方。たくさん作っておいて、それをベースにミネストローネにしたり、カレーやシチューにしたり、種類を変えて出せるので楽ちんですよ」と白澤さん。

シャトルシェフなら、火にかける時間が短く、あとは保温容器に入れて余熱で火を通すだけ。コンロをずっと見ている必要がなく、煮たてる時間が減ることで素材本来の味や栄養成分を逃がさず食べられるのも嬉しいですね。

A
じゃがいも(大) 1個(200g)
人参(中) 半分(60g)
玉ねぎ(中) 半分(100g)
B
豆腐 120g
えのき 50g
豚肉 60g

水  800ml
カツオ節 2g(1パック)
味噌などの調味料 適宜

①調理鍋に、食べやすい大きさに切ったAと水を入れて火にかけ、5分間沸騰させます。その後、火からおろして保温容器に入れ、フタをして30分間放置します。
②調理鍋を取り出して再び火にかけ、Bの具材を入れて煮ます。
③豚肉に火が通ったらカツオ節を入れて、30秒したら火を止めます。
④味噌味、カレー味などお好みの味つけでいただきます。
☆具材は冷蔵庫の残りものなど、自由に入れて作ってください。

「おやつと聞くとお菓子を食べさせるイメージがありますが、子どものおやつは小さな食事ととらえましょう」と白澤さん。
一度に食べられる量が大人と比べて少なく、一方で運動量が多い子どもは、3度の食事だけではエネルギーが不足してしまうこともあります。それを補うのが本来、おやつの役目なのです。
長時間の授業や勉強でくたくたになった受験生のエネルギー補給にも、おやつは重要な役割を果たします。

白澤家の定番はキャベツがたっぷり入ったお好み焼きです。
今回は鶏のひき肉を入れて作ります。
「教育者としていろいろなお子さまを見てきましたが、きちんと咀嚼して食べる子は集中力や考える力が高いように感じます」と白澤さん。
「キャベツは食物繊維が豊富で歯ごたえがあり、噛む回数が増えるので、食材として適していると思います」

「夜食を作るときは消化のいい食材を選ぶのがポイント。また、鶏肉やチーズなど、たんぱく質の豊富な食品を組み合わせることも意識したいですね」

【材料】(直径8cm3枚)
鶏ひき肉 150g
キャベツの千切り 150g
削り節 2g(1パック)
シュレッドチーズ 30g
塩 小さじ1/4
酒 大さじ1
薄口醤油 大さじ1
片栗粉 大さじ1と1/2
油 大さじ1
青のり・ソースなどお好みで

①鶏ひき肉に薄口醤油と酒をかけて混ぜておきます。
②ポリ袋に千切りのキャベツを入れて、塩を入れ混ぜておきます。
③②に①と片栗粉を入れてよく混ぜます。
④お好みの大きさに分けて、丸く形を整えます。
⑤中火で熱したフライパンに油を敷きます。④を3分焼き、裏返してフタをし、弱火で4分焼きます。 
⑥お好みで青のり、ソースなどをかけます。

食育でいちばん大事なのは楽しく食事をすることだと、白澤さんは言います。
「何をどう食べるか以前に、まず親御さんが食卓について、落ち着いてお子さまと一緒に食べることから始めませんか。テレビを消して、お子さまの顔を見ながらゆっくり食べる時間を大切にしましょう」
親と子は鏡のようなもの。穏やかに食卓を囲む雰囲気があれば、お子さんもくつろいで食事を味わうことができるはず。
「忙しいから、時間がないからと慌ただしく食べるのを控えて、おいしいね、よく噛んで食べてねと、お子さまに声をかけてください。そして嫌いなものが食べられたら、すごいすごい、がんばったね!と、たくさんほめてあげてください。気負わずに、できることから始めればいいんです」

ライター:松下梨花子
撮影:村上宗一郎
編集:オフィス福永

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