スープジャーで世界一周 -とろ〜り爽やかなエッグレモンスープ(ギリシャ)-

忙しい毎日。朝起きて、家事や仕事に追われるうちに、気がつけばもう夕方。 どこか遠くへ旅に出たい! なんて思う日もありますが、残念ながらそう簡単に飛び出すわけにはいきません。 それならせめて気持ちだけでも広い世界を味わいたいもの。 ここでは世界各国のスープ料理を、その国の魅力やマメ知識と共にご紹介します。 スープジャーに世界中のスープ料理を閉じ込めて、旅してみませんか?

この記事をシェアする

Facebook X LINE

今回ご紹介するのは、オリンピック発祥の地ギリシャで食べられている「エッグレモン」スープです。

オリンピックの始まりは、紀元前9世紀に古代ギリシャで催された「オリンピア祭典競技」。もともとギリシャ神話の神々に捧げるお祭りのような位置づけでした。
開催地だったオリンピアの遺跡群は、現在、世界遺産に認定されています。東京オリンピックでも、聖火はオリンピア遺跡で採火されました。

最初に行われた競技は、走る速さを競う「徒競争」でした。距離は約191m(1スタディオン)で、これはギリシャ神話の神ゼウスの足裏600歩分に相当するとか。
オリンピアはゼウスの神域とされた場所であり、オリンピック期間中はギリシャ人は戦争をやめ、この体育大祭に参加するためにオリンピアに向かったと言います。

紀元前728年の第13回大会まではこの徒競争だけがオリンピックの種目でしたが、その後は長距離走や格闘技など、少しずつ種目が増えていきました。
第14回大会から2スタディオン(およそ400m)競走が、第18回からは短距離走・幅跳び・円盤投げ・槍投げ・レスリングの5種を1人の選手がこなす競技が登場。
ちなみに、2021年の東京オリンピックでは過去最多の33競技339種目が実施されました。

オリーブと言えばギリシャ、というイメージをお持ちの方も多いのでは? 神話にも登場するほどオリーブはギリシャ人にとってなじみ深い樹木です。
オリーブの実をはじめとする果物、魚介類、野菜、乳製品を中心としたギリシャとその周辺の国々の健康的な食文化は「地中海式食事」と言われ、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されています。

実は、あるスイーツの原型ともいえるお菓子が、古代ギリシャのオリンピックで食べられていました。
そのスイーツとはチーズケーキ。初代のオリンピアンたちに振る舞われた「トリヨン」が、チーズケーキの祖先だという説があるのです。

トリヨンは、チーズ、ミルク、小麦粉、卵、ラードなどを混ぜ合わせ、いちじくの葉で包んで茹でたもの。それに、はちみつをかけて食べたそうです。

ギリシャはギリシャ正教を国教とするキリスト教国。クリスマスシーズンはとても大切なホリデーにあたり、おごそかに家で過ごすのが普通です。「キリストのパン」という意味の伝統的なパン「クリストプソモ」を焼き、それぞれの家庭で食事を楽しみます。
もちろん、スイーツも欠かせません。
その代表的なものが「メロマカロナ」と「クラビエデス」です。

メロマカロナは、シナモンなどのスパイスやオレンジの皮、オリーブオイルを入れて焼いたクッキーに、はちみつを使ったシロップをたっぷりとしみ込ませたお菓子。クッキーといえばサクサクした歯ざわりを思い浮かべますが、メロマカロナはしっとりと柔らかいのが特徴です。

クラビエデスは、アーモンドの粉を使ったクッキーに、粉砂糖をふりかけたお菓子。口に入れると、バターの風味とともにほろほろと砕けます。雪をまとったようなクラビエデスはクリスマスにぴったりのお菓子です。

クリスマスシーズンに食べたいのが「エッグレモン」スープです。
チキンスープにお米と卵とレモン汁を入れ、好みの具を加えて作ります。今回は、玉ねぎとセロリ、そしてうまみの出る鶏肉を使いました。

見た目はまったりとしてミルクスープのようですが、このスープに乳製品は入っていません。
濃厚さの秘密は卵! 卵をよく混ぜてスープに加えることで、クリーミーに仕上がるのです。

口に入れると、レモンの香りが立って想像以上に爽やか。
まろやかな口当たりがクセになりそうです。

冬の夜、心の中まであったかくなるエッグレモンスープをどうぞお召し上がりください。

  • 鶏もも肉 30g
  • 玉ねぎ 25g
  • セロリ 10g
  • 米 大さじ1
  • チキンスープ 350ml
  • 卵 1個
  • レモン汁 10~15ml
    (量はお好みで調整してください)
  • 塩こしょう 少々
  • パセリ お好みで

スープジャーに熱湯(分量外)を入れ、フタをしないで5分以上、保温する。

1. 鶏肉は3cm角に切り、玉ねぎとセロリはみじん切りにする。パセリは刻んでおく。
2. 鍋にチキンスープと鶏肉、玉ねぎ、セロリ、米を入れ、15分ほど煮る。
3. ボウルに卵を割り入れ、泡立て器かハンドミキサーで白くふんわりとするまで泡立てる。
4. 3のボウルに鍋のスープをお玉で少しずつ加え、その都度よく混ぜる。お玉1杯分のスープを加え終わったら、ボウルの中身を少しずつ鍋に注いで混ぜる。

卵液を温かくしてから鍋に戻すことで、分離せず、クリーミーに仕上がります。

5. 鍋を煮立てないように温めながら、レモン汁を加え、塩こしょうで味を調える。
6. スープジャーの湯を捨てて5を注ぎ、パセリをのせて完成。
※保温後は6時間以内に一度にお召し上がりください。

ライター:松下梨花子
スープの撮影:土肥裕司
編集:オフィス福永

この記事をシェアする

Facebook X LINE

プラスサーモス おすすめの商品