疲れが抜けない秋バテさんへ、自律神経を整える1日の過ごし方

秋は、昼と夜の気温差や台風による気圧変化などの外的要因で自律神経が乱れ、思い通りに心と体が動かない「秋バテ」の症状に悩む人が増えるそう。秋バテの原因と対策法について、せたがや内科・神経内科クリニックの久手堅司院長に教えていただきます。

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久手堅 司(くでけん・つかさ)

久手堅 司

(くでけん・つかさ)

せたがや内科・神経内科クリニック院長。自律神経失調症外来、気象病・天気病外来、頭痛外来、肩こり・肩こり外来など複数の特殊外来を立ち上げ、多くの患者ニーズに応えている。著書に『気象病ハンドブック』(誠文堂新光社)、監修本に『毎日がラクになる!自律神経が整う本』(宝島社)などがある。

蒸し蒸しとした暑さが和らぎ始める、秋。過ごしやすい季節になってきたと思いつつ、なんだか調子が今イチ上がらない……ということはありませんか?

  • 体がだるい
  • 食欲が出ない
  • 首や肩が凝る
  • 頭痛やめまいが続く
  • 寝つきが悪く、よく眠れていない
  • 憂鬱さや不安な気持ちを感じる
  • やる気が出ない

もし、上記でいくつか思い当たる症状があれば、あなたは夏バテならぬ「秋バテ」になっているかも。

久手堅先生
「秋は涼しく過ごしやすい気候ですが、夏の暑さによる体力の消耗や台風などによる温度・湿度・気圧の変化などによって“自律神経”が乱れがちなシーズン。そのため、疲労がたまって体にも心にも不調があらわれやすいのです」

自律神経は、活動的なアクセル役となる交感神経と、ゆったりとした気分を司るブレーキ役の副交感神経の2つがシーソーのようにバランスを取りながら働いています。どちらかが働きすぎだったり、休みすぎだったり、どちらも働かない場合は乱れているという状態。

「なんだか最近元気がない」「寝ても疲れが取れない」と感じたら、自律神経を整えることを意識してみましょう。

秋バテの原因は、「自律神経の乱れ」とのことですが、以下のようなシチュエーションや人は自律神経を乱しやすいそう。

  • 寒暖差が大きい、季節の変わり目
  • 仕事環境や人間関係の変化があったとき
  • デスクワークが多く、血流が滞っている人
  • ストレスがうまく発散できていない人

久手堅先生
「自律神経は気温や湿度などの外的な要因、緊張やリラックスなど内的な要因にあわせて自動的に体の機能を調整するシステムで、自力でコントロールすることはできません。でも、自分は自律神経が乱れやすいタイプかも……と自覚していれば、日頃からメンテナンスを心がけて不調を予防できます。特に女性は月経周期などでホルモンバランスが乱れやすいので、日頃から意識されるとよいでしょう」

久手堅先生によると、「自律神経は、規則正しい生活が好き」とのこと。今日から実践できる理想的な1日の過ごし方をご紹介しましょう。

久手堅先生
「朝はしっかり日光を浴びることが大切です。これにより、副交感神経から交感神経へ切り替わり『よし、動くぞ!』と体がアクセルモードになります。また胃腸を目覚めさせるために、白湯や常温の水を飲み、軽めでもいいので必ず朝食を食べましょう」

  • 朝起きたら、朝日を浴びる
  • 起き抜けにはコップ1杯の白湯や常温の水を飲み、朝食を食べる
  • 3・5・5呼吸法を取り入れる(次のパートで紹介します)

久手堅先生
「昼は歩いたり階段を使ったりするような、軽い運動を心がけましょう。疲労が蓄積しないように関節を伸ばしたり、ラジオ体操のような軽いストレッチをアフターケアとして行ってください。また、秋はまだ汗ばむ日もあり、脱水も起こりやすい時期です。水筒にお気に入りのドリンクを入れて、好みの温度でこまめな水分補給を忘れずに。自律神経を整える意味では、カフェインや糖質が多いものより、リラックスできるドリンクを選びたいですね」

  • こまめな水分補給を意識する
  • 軽い運動(徒歩移動、階段利用)を心がける
  • 軽い運動のあとは、関節伸ばしやストレッチなどを行う

久手堅先生
「自律神経を整えるために“良質な睡眠”はとても大切です。夜は眠りに向けてコンディションを整えましょう。入浴と睡眠はセットで考えてください。秋バテを感じている人は、ぬるめ(40℃前後)の湯船に首まで浸かり、10〜20分ゆったり過ごすのがおすすめです。また、現代人はスマホを使いすぎています。寝る直前までスマホを操作している人もいますが、これでは交感神経が優位に働いてしまうので、夜はスマホを使う時間を決めて、気持ちをゆるめる過ごし方を心がけましょう」

  • 寝る1時間前から、スマホやPCに触らない
  • ぬるめの湯船に首まで浸かる(入浴剤やアロマでリラックス効果UP)
  • 入浴後にストレッチを取り入れる(次のパートで紹介します)

また、食事は1日3食をなるべく同じ時間に取るように心がけるとよいそう。ボリュームや栄養バランスは自分のライフスタイルにあった内容でOK。夕食は、寝る3時間前までに済ませましょう。

久手堅先生によると、自律神経の乱れは「骨格のゆがみ」で慢性化してしまうこともあるのだとか。スマホを使いすぎてストレートネックになっていたり、デスクワークで猫背が当たり前になっていたり、気がつかないうちに骨格がゆがんでいる人は要注意です。

ここからは、スキマ時間にできる「3・5・5呼吸法」と「背骨伸ばし」をご紹介します。どちらも、1日3〜4回セットほどを仕事や家事の合間に取り入れてみましょう。

  1. 首の幅くらい足を開き、足首と膝の角度が90度になるように、浅く椅子に腰掛ける
    ※床に対して骨盤が垂直になるように意識する
  2. 肋骨の下に手を添え、3秒かけて口から息を吐く
  3. 肺を膨らませるように、5秒かけて鼻から息を吸う
  4. 横隔膜を押し下げるように、5秒かけて口から息を吐く
  5. 2〜4を5回繰り返す
  1. 正しい姿勢でまっすぐに立つ
  2. 首の一番上の骨(第一頚椎)から第二頚椎へと順番に曲げながら上半身を前に倒す
  3. 肩や腰の力を抜いて、指先が足先に当たるくらい曲げたら、かかとに重心を移した状態で軽く息を吸って60秒キープ
  4. 軽く息を吐きながら、ゆっくり上半身を起こし、1の姿勢に戻る

自律神経を整えようと意識することは大切ですが、完全にコントロールすることはできません。日頃からこまめにメンテナンスがするのがポイントです。ついつい完璧に整えることを目指してしまいますが、先生によると「70点くらいでも十分合格!」とのこと。

久手堅先生
「自律神経は、24時間365日、あなたの心身をよくしようと働いてくれています。いつも完璧主義を目指すと疲れてしまうから、実は少しゆるんでいるくらいがちょうどいい。お伝えした規則正しい生活もストレッチも、まずは1〜2か月くらい習慣になるようにゆっくり取り入れてみてください。自律神経は、いつも一緒にいるあなたの味方。上手に寄り添っていきましょう」

執筆:つるたちかこ
イラスト:すぎやままり
編集:ノオト

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