管理栄養士の免疫力アップメニュー ヨーグルトとトマトのチキンカレー

毎年インフルエンザの流行が気になるこのシーズン。体調をいっそう良好に保ちたいですよね。 そんな冬を元気に過ごすためのカギが免疫力です。免疫とは人間に備わった、異物から体を守る仕組みのこと。ここでは、免疫力アップを助ける食材と栄養素、そしてそれらを活かしたメニューを紹介します。

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今回お伝えするメニューはヨーグルトとトマトのチキンカレー。
市販のルウを使って手軽に作れる、爽やか&クリーミーなカレーです。
ご紹介するポイントは、ヨーグルトの乳酸菌と、トマトの栄養成分、リコピン。トッピングやその他の材料にも免疫力を高める食材がそろっています。

 

まずおすすめしたい食材はヨーグルト。乳酸菌の力で腸内環境を改善してくれます。
消化吸収・排泄のための器官と思われがちな腸ですが、実は体内の免疫細胞のおよそ60%が集まると言われている免疫の要。
その免疫細胞が力を発揮するためにカギを握るのが、腸に住む細菌です。
個人差はありますが、人間の腸内には約100兆個もの細菌が住んでいるのです。
この細菌には大きく分けて善玉菌・日和見菌・悪玉菌という3種類があります。
善玉菌は、栄養吸収を助けたり、免疫細胞の働きやすい環境を整えたりしてくれる健康の立役者。一方で悪玉菌は、アンモニアなどの有害物質を出して腸内環境を悪化させるクセモノです。日和見菌はどっちつかずで、善玉菌が優勢となれば善玉菌、悪玉菌が優勢となれば悪玉菌としての性質を帯びます。
腸内の勢力バランスが崩れ、悪玉菌が優勢になると、免疫細胞はベストパフォーマンスを発揮することができません。

ヨーグルトに含まれる乳酸菌には種類によって善玉菌の生育を助ける、悪玉菌の増殖を抑えるなど、さまざまな働きがあります。そのためヨーグルトを摂ると腸内環境を整え、免疫細胞の働きを引き出すことができるのです。

生きた乳酸菌には整腸作用がありますが、ヨーグルトを食べても多くの菌が腸に辿り着く前に死んでしまいます。胃酸の働きによることもあれば、今回のカレーのように加熱調理によって死んでしまうこともあります。
では食べても無駄なのかというと、そんなことはありません。なんと乳酸菌には、死んでしまった状態でも腸内環境の改善に役立つものがあるのです。
それは、死骸の菌体成分が善玉菌のエサになるから。生きていても死んでからも助けてくれる乳酸菌は、免疫力アップの力強い助っ人と言えるでしょう。

今回のレシピでは、ヨーグルトの大部分をカレーのベースとして加熱して用い、少量は加熱せずに取り分けます。取っておいた分はお皿にカレーを盛りつけた後、ルウに回しかけてお召し上がりください。

 

次に注目する食材は、トマト。ここではトマトの水煮缶を用います。
トマトに含まれるリコピンはカロテノイドと呼ばれる色素成分の一種で、鮮やかな赤色の源です。
このリコピンが近年、注目を浴びているのは強い抗酸化作用があることがわかったため。

酸素は人間が生きるうえで欠かせない物質です。しかし酸素を取り入れると同時に、私たちの体内では活性酸素という物質がつくられます。通常はこの活性酸素によって体内に侵入してきた細菌や有毒物質を除去するという良い面もあるのですが、増えすぎると正常な組織まで傷つけ、細胞の損傷や老化などを引き起こすのです。

免疫細胞は、活性酸素が過剰な状態では働きが低下してしまいます。また、免疫機構の最前線とも言える粘膜の細胞が酸化によって傷つくと、細菌やウイルスに対する防御力が弱まってしまいます。

「酸化は老化」と言われるほど、寿命の延びた現代人は抗酸化作用の強い食べ物を摂る必要があります。この点、リコピンは強い抗酸化力で、発生した活性酸素を消去してくれる働きがあり、トマトを食べるのはとても理にかなっているのです。

リコピンは熟したトマトほど含有量が多く、熱を加えても成分が安定しているため、完熟トマトが原料の水煮缶は絶好の食材と言えます。また、脂溶性なので、油を使う料理に用いると吸収がアップします。
今回紹介するカレーは、トマトの水煮缶をベースに、油気の多い市販ルウを使って煮込むため、リコピンで免疫力をアップさせるのにぴったりです!

栄養素のポイントがわかったところで、さっそくヨーグルトとトマトのチキンカレーを作ってみましょう。材料はスーパーですぐ手に入るものばかりです。

この料理をより簡単にしてくれる味方が、真空保温調理器シャトルシェフです。
調理鍋を火にかけて沸騰させたら、弱火で煮込む代わりに、鍋ごと保温容器に入れてフタをするだけ。あとは20分間放っておけば、高い保温力によって、コトコト煮続けたのと同じように火が通ります。

ポイントは、固形のカレールウを入れる際に包丁で細かく刻むこと。小さなひと手間ですが、溶けがよくなり、なめらかでムラのない仕上がりになります。

 

保温している間は焦げつく心配がないので、その時間を使ってトッピングの準備をしましょう。
ほうれん草に豊富に含まれるビタミンCやビタミンA、ご飯に散らすアーモンドのビタミンEには、リコピンと同じく抗酸化作用が期待できます。食感、彩りのアクセントになるうえ、免疫力アップの助けにもなるという一石四鳥の付け合わせです。
ここではルウをごはんにかけて紹介していますが、パンやナンにもよく合います。
お好みでほうれん草をカレーに混ぜて食べてもいいですよ。

ふだんとひと味違うカレーで、おいしく元気に冬を乗り切りましょう!

  • ・鶏もも肉 1枚(350g程度)
  • ・塩 少々
  • ・玉ねぎ 1個
  • ・にんにく 1片
  • ・しょうが 10g

【トッピング用】

  • ・ほうれん草 1束
  • ・スライスアーモンド 10g
  • ・サラダ油 大さじ1+大さじ1
  • ・ホールトマト缶 1缶
  • ・プレーンヨーグルト 400g
  • ・市販の固形カレールウ 80g(4皿分)
  • ・ウスターソース 小さじ1~2(お好みで)
  • ・あたたかいご飯 4皿分

沸とう:5分
保温:20分以上

沸とう:5分
保温:20分以上

1. 鶏もも肉は一口大に切り、塩をふる。玉ねぎは薄切り、にんにくとしょうがはみじん切りにする。ヨーグルトを、トッピング用に大さじ2杯分とり分けておく。
2. シャトルシェフの調理鍋にサラダ油大さじ1を熱し、にんにく、しょうが、玉ねぎを中火で焦げないように炒める。
3. フライパンにサラダ油大さじ1を熱し、鶏もも肉を並べて中火で焼き目を付ける。
4. 2の調理鍋に3の鶏もも肉を焼いた脂ごと加え、ヨーグルトとトマト缶も加えて中火にかける。沸騰したら火を弱め、フタをして5分ほど煮る。調理鍋を保温容器にセットし、20分以上保温する。
5. 保温している間にトッピングを準備する。ほうれん草は茹でて3cmくらいの長さに切る。スライスアーモンドは軽く炒る。
6. カレールウを包丁で刻み、4の鍋に入れてよく溶かす。調理鍋を弱火にかけ、味を見ながらウスターソースを加え、とろみがつくまで煮る。
7. ごはんを皿に盛り、出来上がったカレーをかける。炒ったアーモンドをごはんにのせ、ほうれん草を添えて完成。とり分けておいたヨーグルトをカレーにかけて、混ぜながら食べる。

 

ライター:松下梨花子
編集:オフィス福永

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