管理栄養士の免疫力アップメニュー にんじんたっぷり豚汁

例年インフルエンザの流行が気になるこのシーズン。体調をいっそう良好に保ちたいですよね。 そんな冬を元気に過ごすためのカギが免疫力です。免疫とは人間に備わった、異物から体を守る仕組みのこと。ここでは免疫力アップを助ける食材と栄養素、そしてそれらを活かしたメニューを紹介します。

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今回お伝えするメニューは<にんじんたっぷり豚汁>。
普通の豚汁と違うのはメニュー名にもあるとおり、たくさんのにんじんを使うこと。というのも、免疫力アップの強い味方、βカロテンをできるだけ摂り込んでほしいからです。
豚肉や根菜類を加えて煮た具だくさんの汁物は、乾燥して疲れたカラダを癒し、師走のあわただしい日々を乗りきったカラダに力を与えてくれます。もちろん年末年始のご馳走ぜめで疲れた胃腸もしっかりと守ってくれますよ。

ここで注目する食材は、にんじん。
にんじんといえば緑黄色野菜の代表格ですが、そもそもこの緑黄色野菜とは「原則としてカロテンを可食部100g中に600μg以上含む野菜の総称」(厚生労働省 e-ヘルスネットより)のこと。生のにんじんは可食部100gあたりのβカロテン当量が8600μgと高く、ほうれん草やかぼちゃの約2倍です。

βカロテンはプロビタミンAとも呼ばれ、体内で必要な分だけビタミンAへと変換されます。このビタミンAが、免疫力アップを助けるはたらきをするのです。

一つめのはたらきは、強い抗酸化作用です。
私たちが呼吸をする過程で発生する活性酸素は、増えすぎると免疫細胞の作用を妨げる、細胞を傷つけるなどの悪影響を与えることが知られています。この活性酸素を増やさないためには細胞をサビさせないこと。つまり酸化させないこと=抗酸化作用がβカロテンには期待できるのです。

もう一つは、粘膜の細胞を健康な状態に保つはたらきです。
血液に乗って体中に運ばれたビタミンAは、カラダの組織をつくる細胞の機構と結びついて、正常な成長や分化を促します。
そのためビタミンAが不足すると様々な細胞形成に影響が出るのですが、その代表的な箇所が粘膜です。
粘膜は腸管、鼻腔、気道など、薄い上皮細胞で外界と接している、いわば免疫の最前線。
ちなみに、人間のカラダの粘膜の面積を全部合わせると400㎡にもなると言われ、これはバドミントンコート約5面分にあたります。大人の皮膚表面積のなんと約200倍です!
ビタミンAを十分に摂ることが、この最前線の防御態勢を整え、外敵の侵入を防ぐことにつながるのです。

次に摂ってほしいのが豆腐と豚肉。ともに良質なたんぱく質を豊富に含んだ食材です。
食事で摂ったたんぱく質は消化されてアミノ酸となり、体内で組織を組み立てる際の材料となります。
たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸のうち、9種類は体内で合成することができません。そのため、これらは食事から摂らなければならず、「必須アミノ酸」と呼ばれています。
豚肉や豆腐の元である大豆は、この必須アミノ酸をバランス良く含む食材というわけです。

新型コロナウイルス感染症関連の報道で、「抗体」という言葉を耳にした方は多いのではないでしょうか。
抗体とは、体内に侵入した外敵を攻撃するために免疫細胞が放つ物質のことです。細菌やウイルスの表面に付着してその毒性を抑えたり、血液中の補体という免疫成分を活性化させることで細菌を壊したりして、私たちのカラダを守ってくれます。その正体は「免疫グロブリン」というたんぱく質。たんぱく質はカラダを構成する組織になるだけでなく、敵と戦う武器の材料にもなるのです。

このように良質なたんぱく質の摂取は食生活の上で欠かせません。

さあ、いよいよにんじんたっぷり豚汁を作ってみましょう。
旬の根菜をたくさん使い、手軽に作ることができます。
真空保温調理器シャトルシェフの力を借りれば、硬い根菜も手間なく柔らかく調理できます。大根、ごぼうといった根菜は食物繊維が豊富で、腸のお掃除にうってつけ。腸内環境を整えることも、免疫力アップのために重要な要素です。

調理鍋に入れた汁を沸騰させたら、火にかけるのはたった5分。その後は鍋ごと保温容器に移し、フタを閉めて15分間おいておくだけ。魔法びんと同じ仕組みで鍋の温度が保たれ、じっくり煮込んだのと同様に加熱できます。

ポイントは、煮込む前に豚肉とにんじんをよく炒めること。
βカロテンは脂溶性のため、油を使って調理することで吸収率が高まるのです。ごま油に含まれるビタミンEも、ビタミンAと同様に抗酸化作用を持つ成分として知られています。しっかり炒めれば肉の旨味やにんじんの甘味も引き出され、おいしさもアップ。

保温している間に、青味のねぎと風味づけのしょうがを準備しましょう。
長ねぎの白い部分は淡色野菜ですが、青い部分は緑黄色野菜でビタミンCやβカロテンを豊富に含んでいます。また、しょうがにはカラダを温める作用があり、体温を保って免疫細胞がはたらきやすい環境を整えてくれます。免疫力アップの最後の仕上げです。

具だくさんの豚汁は立派なおかずの1品として成り立ちます。大きな器にたっぷりよそい、ごはんを添えれば大満足の献立に。
ホカホカの豚汁で、心もカラダも温かくして元気に冬を過ごしましょう。

  • 豚バラ薄切り肉 150g
  • にんじん 2本
  • 大根 3cm程度
  • ごぼう 1本
  • 長ねぎ(青い部分も含めて) 1本
  • 木綿豆腐 100g
  • しょうが 10g
  • ごま油 大さじ1

【A】

  • だし汁 4カップ
  • 酒 大さじ1
  • みりん 小さじ1
  • みそ 大さじ3.5
  • 醤油 大さじ1

<作り方>
沸とう:5分
保温:15分

1. 豚肉は3cm程度の長さに切る。にんじんと大根は皮をむいて5mm厚さのいちょう切り、ごぼうはささがきにする。長ねぎの白い部分は1cm幅の輪切り、木綿豆腐は1cm角程度のさいの目切りにする。
2. 調理鍋にごま油を敷き、豚肉を入れて中火で炒める。にんじんを加え、油が回るまで炒める。
3. Aと残りの具材を加え、5分間沸騰させる。調理鍋を保温容器にセットし、15分間保温する。
4. 保温している間に、長ねぎの青い部分を小口切りにする。しょうがはすりおろす。
5. 3の鍋におろしたしょうがを加え、みそと醤油で調味する。
6. 器に盛り、ねぎの青い部分をのせて完成。

ライター:松下梨花子
編集:オフィス福永

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