いま注目の食材を深堀り~教えて「大豆ミート」のこと!

日本の食卓に欠かせないあるモノが今、世界中で注目されています。それは大豆で作られたお肉「大豆ミート」。畑の肉とも言われる大豆ミートは、欧米を火つけ役として、最近は国内でも話題になっています。

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味噌、醤油、豆腐に納豆……。私たちの食卓に最も身近な食材である大豆。
高タンパクで「畑の肉」と言われた大豆が、今やホンモノのお肉の代わりになる時代がやってきました。
とはいえ、聞いたことはあっても、まだ食べたことがないという人も多いのでは? そこで、今話題の「大豆ミート」について深堀りしてみました!

ソイミート、ベジミートなどと呼ばれる大豆を原料にした「大豆ミート」が世界中で注目されています。火つけ役となったのは、大量の食用肉を消費している欧米諸国の人たち。健康への配慮、環境に対する意識の向上、さらに宗教上の理由などから動物性タンパク質の摂取を制限している人々が多く、「大豆ミート」への需要が急速に高まっているのです。
一方、味噌をはじめ、醤油や豆腐、納豆など、昔から大豆製品を毎日のように食べている私たちにとって、大豆ミートはニューカマー。大豆食品の新たな一角を担う食材として俄然、関心が高まっています。
その理由は、低脂質で高タンパク、コレステロールフリー、食物繊維が豊富なこと。つまり理想的な健康食品というわけです。

下記の表をご覧ください。
豚肉と比べると、大豆ミートのカロリーは約40〜70%。脂質は圧倒的に低いことがわかります。

大豆ミートの製造工程は主に3つに分かれます。

1. 大豆から油を絞り、脱脂大豆にします
2. 脱脂大豆に他の原料を合わせて加水し、加熱・加圧します
3. 押し出し成形機でさまざまな形状に成形し、乾燥させます

▲脱脂大豆(提供:不二製油株式会社)

▲成形機で成形し、乾燥させた大豆ミート(提供:不二製油株式会社)

大豆ミートは加工方法としては、乾燥とレトルト、冷凍の3種類に分かれます。
形状としては、ひき肉の代わりとなるミンチ、ロースやヒレを短冊状に切った形に似せたフィレ、そして唐揚げなどに適したブロックの3つのタイプがあります。

▲左からミンチ、フィレ、ブロックタイプ(提供:マルコメ株式会社)

大豆ミートは乾物コーナーのほか、一部のスーパーでは精肉売り場でも取り扱っています。

乾燥タイプのものは常温での保存が可能で、基本的にお湯で戻して使います。
ミートソースなど汁気が多いものなら、そのままトマトソースで煮込むなど、お湯で戻す手間が省ける調理もあります。

初心者には、レトルトタイプがおススメ。
レトルトなら湯戻しや水切り不要で、すぐに使えます。調理時間の短縮にもつながり、ハンバーグやミートボールにすれば大幅なカロリーダウンに。また、常温での保存がきくことから防災食、ローリングストックにも最適です。
冷凍タイプは湯戻しが不要で、冷凍のまま加熱もOK。少量ずつ使えるのでお弁当作りにも役立ちます。

▲「大豆のお肉」乾燥タイプ。お皿に盛ったのはフィレ

▲「大豆のお肉」レトルトタイプ。お皿に盛ったのはブロック

フィレタイプは片栗粉をまぶしてから使うと、調味料となじみやすくなります。ブロックタイプも、唐揚げの下味などは軽く揉みこむだけでOK。動物性のお肉に比べて火が通りやすいので、少量の油で揚げ焼きするとサックリした食感にしあがります。
ミンチタイプは、ひき肉と違い、こねても粘りが出ないので、ハンバーグなどを作る時にはつなぎにひと工夫を。片栗粉やすりおろしたレンコンなどを加えると、まとまりやすくなります。

少し青くさい大豆の匂いが気になるという人に、スパイスをきかせたエスニック料理を紹介します。バジルやナンプラーの香りで大豆の匂いを飛ばし、ガパオライスを作りましょう。

  • 「大豆のお肉」ミンチ(レトルトタイプ)…1袋
  • 玉ねぎ…1/4個
  • 赤パプリカ…1/4個
  • ニンニク…1片
  • 輪切り唐辛子…1本分
  • 卵…2個
  • バジル…7~8枚
  • ご飯…お茶碗2膳分
  • 太白ごま油(またはサラダ油)…大さじ1と1/2

調味料

【A】

  • 水…大さじ2
  • ナンプラー…小さじ1
  • オイスターソース…大さじ1
  • 砂糖…小さじ1
  • 鶏がらスープの素(顆粒)…小さじ1/2
  • 玉ねぎは薄切りにする。赤パプリカは種とわたを除き、幅1cmに斜めに切る。ニンニクはみじん切りにする。調味料のAを合わせる。
  • フライパンに太白ごま油大さじ1を熱し、卵を割り入れて目玉焼きにする。揚げ焼きのようにして、白身の縁が香ばしい焼き色になったら取り出す。
  • 2のフライパンに太白ごま油大さじ1/2を熱し、ニンニクを入れる。香りが出てきたら玉ねぎ、赤パプリカ、「ダイズラボ 大豆のお肉 ミンチ」を加えて、玉ねぎがしんなりするまで炒める。合わせた調味料Aを入れ、水気が飛ぶまで炒めたら輪切り唐辛子を加えて火を止める。バジルをちぎり入れ、ごはんとともに器に盛り、2の目玉焼きをのせる。

もう一つ、お弁当のおかずにぴったりなミートボールの作り方をご紹介します。
ポイントは、にんにくとカレー粉で大豆ミートの豆くささを飛ばすこと。つなぎにマヨネーズを加え、お子さまが喜ぶ味つけにしました。

  • ダイズラボ 大豆のお肉 ミンチタイプ…100g
  • 木綿豆腐…100g
  • こめ油…大さじ1

【A】

  • 片栗粉…大さじ1.5
  • カレー粉…小さじ0.5~1(量の加減はお好みで)
  • マヨネーズ…小さじ2
  • おろしにんにく…少々

【ソース】

  • しょうゆ…大さじ1
  • ウスターソース…大さじ1
  • みりん…大さじ2
  • ケチャップ…小さじ1

1. 豆腐はキッチンペーパーに包み、ラップをせずに電子レンジ(600W)で1分30秒加熱する。

2. ボウルに大豆ミート、1の豆腐、Aを入れてこねる。よくこねたら8等分にして丸める。

3. フライパンに油を中火で熱し、2を入れて転がしながら焼く。

4. 焼き目がついたらソースを加えて絡める。煮詰まってとろりとしてきたら完成。

▲冷めてもおいしいミートボールはお弁当のおかずにぴったり

2021年の『環境・循環型社会・生物多様性白書」では、食の一つの選択肢としての代替肉について触れています。食肉タンパク源クライシスという観点からも大豆ミートのニーズは今後、高まっていくことでしょう。
ビートルズのポール・マッカートニー氏が唱えている“ミートフリーマンデー”は、地球環境保護を目的として「週に1日だけ菜食を実践する」運動です。大豆ミートを取り入れることでSDG’sな食生活にちょっと思いをめぐらせてみるのもいいですね!

▷取材協力
不二製油株式会社
油脂や大豆などの植物素材を原料とする食品素材メーカー。1969年、初めて大豆ミートを発売。
大豆ミートの国内生産シェアNo.1。
https://www.fujioil.co.jp/

マルコメ株式会社
創業1854年の味噌メーカー。
2015年より“ダイズラボ”ブランドで「大豆のお肉」や「大豆粉」シリーズを展開するほか、糀甘酒などの発酵食品を幅広くラインアップ。
https://www.marukome.co.jp/

ライター:三浦顕子
お弁当の調理:松下梨花子(管理栄養士)
お弁当の撮影:土肥祐治
編集:オフィス福永

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