電車に乗って 隣町まで
今日と同じような
潤んだ夕焼けで
夏の始まりと似た 
秋の始まりの日だった
忘れてしまった
物語のあらすじや
主人公の名前
それでも今も 胸を叩くのは
帰り道の 軽やかな足取りとか
これまでとは
違って見えた景色のこと
はじめての気持ちが
なぜか 懐かしかったことも 
終わりを告げないままの夏に
秋が深まる
同じように 冬が積もり
澄んでいく 空
薄れていく記憶の中で
いつまでも 暖かく照らされる
夕暮れの街は きっと
物語からの贈り物
Scene.41「物語からの贈り物」に登場したサーモス製品
Written by Shinsuke Sasakura
笹倉慎介

1981年生まれ。シンガーソングライター、文筆家。
2008年にアルバム『Rocking Chair Girl』でデビュー。NHK Eテレで放送中の「2355」(教育テレビ:総合演出 佐藤雅彦氏)では、『顕微鏡で覗く世界』『小さな恋の物語』等のヴォーカルを担当。これまでに3枚のオリジナルアルバムと、アイリッシュグループJohn John Festivalとの共作や、笹倉慎介 with 森は生きている名義の7インチシングル、季節をテーマにした弾き語りアルバム(TIME STREAMシリーズ)を発表している。さらに自身がオーナーを務めるスタジオ兼カフェ「guzuri recording house/guzuri珈琲店」にて、レコーディング・エンジニア、音楽プロデューサー、カフェの店主として日々を営んでいる。
Main Character : Rui Arisaka
有坂 塁(キノ ・イグルー)

2003年に中学校時代の同級生、渡辺順也と共に移動映画館「キノ・イグルー」を設立。東京を拠点に全国各地のカフェ、雑貨屋、書店、パン屋、美術館など様々な空間で、世界各国の映画を上映している。
多彩なアーティストとのコラボレーションを始め、夏の野外上映会、クリスマスパーティー、SHOPのAnniversary Party、こどもえいがかい、全国ツアー。さらには映画祭のディレクションや、ライブラリー向けのDVDセレクトまで、既存の枠にとらわれることなく、自由な発想で映画の楽しさを伝えている。

縁とつながりを大切に。