家に帰ると
いつでも
明かりが灯っていた
あたりまえのように響いていた
おかえり がまだ耳に残る 
食卓を囲んでも
すこしずつ
話さないことが
増えていったこと
ただいま から 行ってきます
までの時間が
どんどん 短くなっていったこと
この頃
そんなことが ふとよぎる
その眼差しに 答えるほどに
そして君は
ここを離れるほどに
成長していく
どうなってほしい?
なにになってほしい?
そういわれるたびに
はっとする
おきぬけのしぐさ 口ぐせ
歯ブラシのもちかた 
君は まるで
ぼくだった
なにかが たしかに うごいて
ぼくのほうこそ
なにに なりたいのか
みつけられる
そんな 気がした
明かりを灯し続けよう
君が帰ることができるように
明かりを灯し続けよう
君が迷える夜を過ごせるように
明かりを灯し続けよう
君がどこまでも行けるように
Written by Shinsuke Sasakura
笹倉慎介

1981年生まれ。シンガーソングライター、文筆家。
2008年にアルバム『Rocking Chair Girl』でデビュー。NHK Eテレで放送中の「2355」(教育テレビ:総合演出 佐藤雅彦氏)では、『顕微鏡で覗く世界』『小さな恋の物語』等のヴォーカルを担当。これまでに3枚のオリジナルアルバムと、アイリッシュグループJohn John Festivalとの共作や、笹倉慎介 with 森は生きている名義の7インチシングル、季節をテーマにした弾き語りアルバム(TIME STREAMシリーズ)を発表している。さらに自身がオーナーを務めるスタジオ兼カフェ「guzuri recording house/guzuri珈琲店」にて、レコーディング・エンジニア、音楽プロデューサー、カフェの店主として日々を営んでいる。