vol.08サッカー[前編]

柴田壮介さん(17)湘南ベルマーレユース所属香織さん

湘南ベルマーレのU-18所属。柴田壮介さんは、2017年には神奈川県代表として国体全国優勝を果たし、U-17日本代表にも選出された湘南ベルマーレの秘蔵っ子です。弱冠16歳でプロのトップチームに2種登録(ユースチームに所属しながらJリーグの公式戦に参加できる)。U-18チームの練習と行き来しながら、プロ選手とも一緒に厳しい練習をこなす日々を送っています。同年代の男子と比べると、驚くほど力みのない、ニュートラルな雰囲気。自分の力量と周りを冷静に見ながら、世界を見据える骨太なアスリートです。一体どんな風に育ってきたのでしょうか?

うちの子がプロサッカー選手を目指すなんて。

壮介がサッカーを始めたのは5歳のとき。主人は出張が多く、土日ポツンと寂しそうにしていることが多かったので、何かスポーツをやらせようと思ったんです。それに、これからの子ですから、海外に行ったときにスポーツを身につけていれば、コミュニケーションの入口になるかもしれないなとも思いました。それで、3つ上のお兄ちゃんとともにサッカーを始めたんです。

地元のチームを経て、中学から湘南ベルマーレに入ったのですが、「頑張ってるな」と思うくらいで。なにしろわたしはスポーツ経験ゼロですし、主人も趣味レベル。サッカーのことも全然わからないですし、アスリートを育てようだなんて思っていなかったんです。

昨年の6月くらいから、トップチームの練習に参加させていただくようになり、少し雰囲気が変わってきました。U-18の保護者向けの講習会で「お母さんたちはプロサッカー選手を育てているのですから」と言われて、「え!」と思い、初めて自覚が芽生えました。

本人はいろいろと思うところはあったんでしょうけれど、あまり自分のことを話すタイプではなかったので、気がつかなかったんですよね。

男の子3人のママは朝から大忙し。4合のご飯を炊き、朝ごはんと弁当の準備を手際よくこなす。栄養バランスを考えながらも、3人の好みや体調、食事の時間も頭のなかで計算。

食育は親子一緒に学ぶと相剰効果が出やすい。

U-18になってからは栄養士さんに食事指導をしていただく機会が増え、食事がケガの予防になったり、ケガの回復を早めたりすることを初めて知りました。いまは勉強中。壮介のコンディションに合わせて、テキストを開きながら栄養を意識して食事をつくっています。

例えば、捻挫したときや関節が痛いときは手羽先や牛スジを使った料理でコラーゲンを摂ったり、身体をつくりたいときは肉や魚の量を増やしたり。試合の前は、エネルギー源になる炭水化物を増やすために、朝の味噌汁の具にそうめんをいれたりしています。

保護者だけではなく、本人も栄養指導を受けているので、好き嫌いはあるけれど出されたものはしっかり食べてくれます。

その甲斐あってか、中学生の頃は筋肉のケガが多く、肉離れ寸前になることもありましたが、最近はケガが減ってきました。

試合の日は、お弁当とは別に、エネルギー源になる炭水化物を摂取できる補食を持参。暑い夏は、喉越しのいい麺類やゼリー飲料を利用し、食欲をキープしている。

ほどよい距離感が子育ての秘訣。

壮介は3人兄弟の真ん中なんですが、赤ちゃんの頃から育てやすい子でした。どこに連れていっても、自分で好きなことを見つけて遊び、飽きたら勝手に寝ているようなタイプで(笑)。

大きくなってからは人知れず悩むこともあるのでしょうが、淡々と我が道を進んでいます。「大丈夫かしら?」と気になることはありますが、あまり口を出すのも親のエゴかなと思い、信じて見守るばかり。

3人いれば、いつも誰かしら悩んだり調子が悪かったりしますからね、一緒に落ち込んでしまうとよくないので、あまり子どものペースに巻き込まれすぎないようにしてきました。

そもそもわたしにできることは、家の居心地をよくすることと栄養のいい食事をつくることくらい。将来こうなって欲しいとかないんですよ。本人が望むことをやりきって欲しい。それだけです。

旦那さまは海外に単身赴任中。わんぱくな三兄弟と向き合ってきた香織さん。その大変さを感じさせない上品で優しい雰囲気が、安心してくつろげる家の空気をつくっている。

※2018年7月 公開