vol.08サッカー[後編]

柴田壮介さん(17)湘南ベルマーレユース所属香織さん

「自分は特徴があるプレーヤーではないけれど、普通のことが普通にできるのが強み」と冷静に自己分析。初対面の取材クルーにも自然体で対応してくれた柴田壮介さんは、招き入れてくれたシンプルでクリーンな自室のように心が澄み渡っている気がします。そんな彼が、普通の高校生活を捨ててまで選んだサッカーの道。将来が楽しみな、若きゲームメーカーにはどのような道が見えているのでしょうか。

物心ついたときからサッカーに夢中。

U-18のスケジュールで動くときもありますが、いまは主にトップチームの練習に参加させてもらっていて、火・水・木・金の朝10時から2時間ほど練習しています。練習後はご飯を食べてお風呂に入り帰宅。家では、勉強したり昼寝をしたり、映画を観て過ごしたりしています。ときどき自主練したり、筋トレしたりすることもあります。

鶴嶺高校に入学したのですが、トップチームに出入りするようになり、サッカーを優先させるために通信制の高校に編入しました。寂しいけれど、学校は近いから友達にはすぐ会えるし、自由な時間もできたし、なにより厳しい世界でサッカーを頑張る覚悟が決まりました。

サッカーの魅力は、チームスポーツで仲間がいるからこそ味わえる満足感とゴールを決めたときの充実感。

物心ついたときからサッカーに夢中になっていて、もっと上手くなりたい! ライバルに負けたくない! と、そのときそのときを一生懸命に過ごしてきました。プロになれたらいいなぁとは思っていたけれど、先のことはそんなに意識してこなかったんです。

壮介さん、実はにんじんが苦手。でも、細切りにして甘しょっぱく炒めれば食べられるという。苦手食材を克服できたのは、サッカーへの情熱と料理に込めた母の愛ゆえ。

自分は運がいい。

高校一年生の夏、それまで雲の上の存在だったトップチームの練習に呼ばれて、一気に状況が変わりました。

なんで選ばれたと思うかですか? 運だと思います。
自分は運がいいんですよ。ユースのリーグ戦では、普段そんなに点が取れないのに、トップチームの曺監督が観に来ていた試合だけ2点も取れたんですよね。
「あれ、俺ちょっと“もってる”かも」って思いました(笑)。

トップチームに出入りするようになって、しばらくは上手くプレーできないことに悩んでいたのですが、曺監督からのアドバイスでこの状況を前向きに捉えられるようになってきました。
いまは、自分のプレーをさせてもらえないくらい格上の選手と一緒にサッカーができて、たくさんのことを吸収できるチャンスだと思っています。

特に、同じユース出身の齊藤未月さんは刺激になります。ご飯に連れて行ってくれたりプレーの細かい話をしてくれたり、一緒に自主練してもらったり。可愛がってくれて、近くで勉強させてもらっています。

リビングの一角には、壮介さんの栄光を雄弁に語るメダルやトロフィーが大切に飾られている。2月には、国体での優勝を評価され、茅ヶ崎市から特別表彰を受けた。

身体を大きくするのがいまの課題。

いまはまず、当たり負けしないような身体をつくろうと思っています。
食に対しての意識はここ数年で大きく変わりました。栄養バランスを考えて母が食事をつくってくれるので、苦手なものが入っていても残さずにしっかり食べること、量をとることを意識しています。

出先でもジャンクフードは一切食べません。ファミレスはいくけれど栄養バランスを考えてメニューを選びます。健康的な食生活を続けていたら、甘いジュースは身体が受け付けなくなりました。

自分はすごく特徴があるプレーヤーではないけれど、基本技術はある方だと思っていて、普通のことが普通にできるのが強み。
ひとつひとつ課題を克服して、将来は、Jリーグや天皇杯などの大きな試合に出たのち、遠藤航選手のように湘南を代表する選手として、世界で活躍したいです。

「家の居心地がすごくよくて、サッカーで疲れても帰ってきたらリラックスできる」と語る壮介さん。家を守るお母さんには、自然と感謝の気持ちがこぼれてくる。

※2018年7月 公開