vol.12サーフィン
[後編]

松岡亜音さん(14)NSA千葉南所属麻美子さん

サーファーらしい小麦色の肌と茶髪で見た目はちょっと大人っぽい雰囲気ですが、話はじめると、一気に打ち解け合えるオープンマインドな性格。サーフィンのことになると、「言いたいことがある」という風情で、アスリートの表情になります。素晴らしいスキルを評価されていますがまだ14歳。松岡亜音さんは、新しい波に乗るたびに進化していきます。子どもと大人、アマチュアとプロ、いろいろな過度期にありながらその変化を丸ごと楽しんでいる、将来有望なサーファーを取材しました。

サーフィンなしの人生なんて考えられない!

平日は午後4時から、冬は5時半、夏は7〜8時まで。土日は、朝7〜8時から始めて、1回約2時間の練習を1日で2〜3回します。最近は、1日おきに夜フィジカルトレーニングをしていて、冬はいいんだけど、夏は遅くまで海にいるから寝るまでバタバタして大変です。

サーフィンの好きなところは、海からエネルギーをもらえるところ。海の目の前で産まれて、毎日海に入っているし、サーフィンなしの人生なんて考えられない。もしサーフィンしていなかったら何してたんだろうって感じです。

今年の目標は全日本チャンピオンになること。あとは、昨年出場して悔しい思いをした世界選手権にリベンジして決勝に残りたい。それから、4月のプロトライアルに合格して、アマチュアとプロの両立もしたいし……目標がたくさんありますね(笑)。でも全部。たくさんの試合で結果を残して、道を切り開きたいです。

成長期のアスリートを支える、1.3リットルの栄養満点弁当。練習の合間、ビーチですする温かいスープで身も心もエナジーチャージ!

お父さんは厳しいけれど間違ってない。

お父さんの指導は確かに厳しいです。小さい頃は苦しいときもたくさんあったけど「頑張ってきたのにここで辞められない」と意地で乗り越えてきました。 いまは、お父さんの指摘が当たっていることが分かるし、それを乗り越えたら上達できると思うから納得しています。辛いことやイヤな気持ちより、サーフィンが好きな気持ちのほうが上なんです。

でも、最近海で女の子サーファーを見かけて、その子がお父さんらしき人から厳しく指導されているのをみて心底同情しちゃいました(笑)。心のなかで“ガンバレ! それ乗り越えたら上達できるよ”ってエールを送りました(笑)。

ストレス発散法は、学校の友達とおしゃべりすること。好きな子のこと、部活のこと、勉強のこと、親のこととかいろいろ話します。放課後や休日をサーフィンに捧げている分、ここぞとばかりにはっちゃけるんです。こういう生活は小学校のときから続いているけれど、サーフィンが楽しいから、寂しいとは思いません。

コーチを務める父、秀雄さん。沖に出てしまうと声が届かないので、練習シーンを動画撮影し、帰宅後に亜音さんと一緒に振り返りをしている。

お母さんのエナジー飯で世界を目指す。

好きな食べ物はトマト。それからお母さんが作ってくれるホウレンソウとベーコンとキノコのパスタが大好きです。食事はサーフィンをするためのエネルギーのもとだと思っているから、お母さんが考えて作ってくれたご飯を残さず食べます。お菓子やジュースは小さい頃は食べたい気持ちが抑えられなかったけれど、いまは別にいいかなって感じ。体があまり求めていないんですよね。おかげで大きなケガをせずにここまでこられました。

お父さんは、サーフィン歴も長くていろんなことを知っている人。尊敬していて、頼りにしています。お母さんは面白くて一緒にいると楽しい人。そばにいると安心します。

カリフォルニアに一人でサーフトリップに行ったとき、同世代の女の子サーファーがターンをバンバン決めている姿に衝撃を受け、もっともっとサーフィンを上達したいと強く思うようになりました。将来は、世界でトップの20人しか招集されないチャンピオンシップツアーに出て、世界中で活躍できるプロサーファーになりたいです。

まだちょっぴり反抗期。いつもはなかなか口にできない感謝の気持ち、「この機会に」と照れながらも率先して書いてくれた。

※2020年3月 公開