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自炊初心者でも簡単! 専門家に聞く、便利でヘルシーなお酢の使い方
多くの家庭に常備されるお酢ですが「酢の物以外にどう使うの?」「お酢の種類がよくわからない」と悩む人も多いのではないでしょうか。実は手軽に使えて、ヘルシーな食生活に役立つ便利なアイテムなんです。今回は、お酢生活研究家の久保桂奈さんに、お酢の簡単な使い方を教えてもらいました。
久保 桂奈
(くぼ・けいな)
長崎・1900年創業の川添酢造の家に育ち、幼少期から酢造りとともに過ごしてきた専門家。みそや甘酒造りにも携わりつつ、料理教室やメディアを通してお酢の魅力と健康的な食生活を広く伝えています。
公式ホームページ:お酢の時間
実はすごいお酢の効果って?

お酢には主成分の酢酸のほかに、原料や製法によってアミノ酸やクエン酸など、複数の有機酸が含まれています。酢はお肉や魚などに働きかけて素材のうまみ成分を引き出し、アミノ酸は食材や調味料のうまみを引き立て、味に奥行きやコクを与えます。
おすすめの使い方は、お刺身などの生魚に少し塩を振ってからお酢を少量かける酢締め。魚の生臭さが抑えられ、うまみがしっかり感じられるから、しょうゆをたっぷりつけなくてもおいしく食べられます。お酢はほかの調味料ともなじみやすく全体の味をまとめてくれるので、無理なく減塩(※)することも可能です。
お酢の酸には、細菌の増殖を抑える防腐・静菌作用(※)があります。食材を酸が覆うことで鮮度を保つので、食材やおかずを傷みにくくさせる効果が期待できます。
梅干しや酢の物をお弁当に入れれば、お弁当全体に菌が繁殖しにくくなりますよ。また、お弁当作りのときに清潔なふきんやキッチンペーパーに含ませたお酢をお弁当箱に塗ってからおかずを詰めると、傷みにくくなって安心です。
食材の色味をよくしてくれることも、お酢のうれしい効果のひとつです。これは酢酸の働きによって、食材が空気に触れて酸化することを防いでくれるから。
ゴボウやレンコンなど空気に触れると変色しやすい根菜類や、リンゴなどの果物を酢水につけておくと色味をよく保ってくれます。苦味やえぐみを抑える効果もあるから、ホウレン草などの葉物をゆでる際に少し加えると、色もきれいで食べやすくなります。
上記の調理効果以外にも見逃せないのはお酢の健康効果です。毎日大さじ1杯を目安に継続してお酢を摂取すると、肥満気味の人の内臓脂肪の減少や高めの血圧の低下、食後の血糖値の上昇を緩やかにして糖尿病を予防する効果(※)が期待できます。身体的疲労感の軽減(※)にも効果があることが報告されています。
選び方のヒントになる、お酢の種類と特徴
お酢は穀物や果実などを原料とするアルコールを酢酸菌の働きによって発酵させて造られるため、世界中に多種多様なお酢があります。大きくは「穀物酢」と「果実酢」に分けられ、原料や製法、熟成期間の違いによって、香りや味わいに個性が生まれます。
簡単な選び方としては、色が薄い酢は酸味をしっかり効かせたい料理に。色の濃いお酢はアミノ酸が多いのでうまみを効かせたい料理に合わせるといいでしょう。このほか、酢に砂糖やみりんやだしなどを合わせた加工酢はこれだけで味が決まる調味料として人気です。

穀物を使ったお酢は主に3種類。
「穀物酢」は米、小麦、大麦、酒かす、コーンなど複数の穀物を使用したお酢です。比較的酸味が強めで、さっぱりとしたマリネやピクルスなどに向いています。
「米酢」は原料に米を使用しているお酢で、米のみを原料に造られたお酢を純米酢といいます。うまみと酸味のバランスがよく和食全般に合うため、日本の家庭料理に最も使いやすいお酢といえるでしょう。
そして、「黒酢(玄米黒酢・大麦黒酢)」は原料に玄米あるいは大麦のみを使用し、発酵と熟成を経て褐色となっているのが特徴です。
穀物酢は温めても酸味がしっかり残るので、南蛮漬けや酢豚など酸味を効かせたい料理に適しています。一方、まろやかな酸味の米酢は酢飯、強いうまみが特徴の黒酢は煮込みや炒め物に使うと風味が豊かに仕上がるのでおすすめです。

果実を使ったお酢の主な種類は主に2つです。
「リンゴ酢」はリンゴ果汁を発酵させて造られます。やわらかくさわやかな酸味、ほのかな甘みとフルーティな香りが特徴です。
一方、「ブドウ酢」はブドウが原料の果実酢。別名「ワインビネガー」とも呼ばれ、フルーティーで芳醇な香りとまろやかな酸味が特徴です。ワインと同様に赤ブドウ酢と白ブドウ酢があるほか、イタリア・モデナ地方で、赤ブドウ果汁を煮詰めて長期間(数年〜数十年)木樽で熟成させて造られるバルサミコ酢が存在します。
リンゴ酢は水や炭酸で割ってドリンクにするほか、ドレッシングやデザートなど幅広くアレンジできるので、お酢が苦手な人も取り入れやすいですよ。また、赤ブドウ酢には肉の煮込み、白ブドウ酢にはカルパッチョに加えるのがおすすめです。バルサミコ酢は洋風のソースやドレッシングとよく合います。
料理のレパートリーが広がる。お酢の使い分けアイデア3選

お酢をもっとも手軽に楽しめるドリンクアレンジのうち、とくに紹介したいのはトマトジュースに穀物酢を大さじ1杯混ぜる飲み方です。市販のお酢ドリンクは砂糖が入っているものが多いですが、トマトジュースは無糖でもおいしく飲めて栄養も摂取でき、満足感もあるのでダイエット中の人にもぴったり。
トマトジュースのほか、リンゴジュースにお酢を入れてもよいでしょう。 お酢は常温になると飲みにくいので、ドリンクの保冷・保温がしっかりできる真空断熱マグカップを使用するのがおすすめです。 ちなみに、350mlの缶ビールに大さじ1杯程度のお酢を加えるとクラフトビールのような味わいを楽しめます。

食卓の定番・からあげが黒酢でさらにおいしくなるアレンジをご紹介します。鍋やフライパンに黒酢2:砂糖1、塩少々を煮立たせ、そこにからあげを入れてまんべんなく煮からめるだけ(分量はからあげの量に応じて適宜調整してください)。油っぽさも抑えられて、冷めてもおいしく食べられます。
冷蔵庫で2〜3日は日持ちし、温め直せばお弁当のおかずにも。市販の冷凍からあげをアレンジしてももちろんOK。簡単なのに本格的な仕上がりになります。砂糖やみりんを合わせた加工酢でも代用可能です。

お酢を使った常備菜としておすすめなのがキャロットラペ。にんじん1本をピーラーなどで薄く削り、米酢大さじ2杯程度と、砂糖と塩を回しかけて5分ほど置き、しんなりしたらできあがり。
米酢以外にもリンゴ酢やブドウ酢を使うと風味が変わるほか、加工酢でも代用可能です。ツナやオリーブオイル、チーズなどを加えるアレンジもとってもおいしく、においも穏やかなのでお弁当おかずとしてももってこいの一品です。
お酢があれば、いつもの料理が手軽でヘルシーに
身近で実は使いやすいお酢の魅力。紹介したアレンジはとても簡単なので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。おいしくて健康に役立つお酢ライフを楽しみましょう!
イラスト:やまぎしあゆみ
編集:アーク・コミュニケーションズ
執筆:早川奈緒子
10代の子ども3人を育てる母ライター。子育て分野を中心にWebや雑誌などで取材記事を制作している。