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熱中症対策で夏のテーマパークを安全に! 防災のプロが教えるアドバイス
夏休み期間に、テーマパークや屋外レジャーなどに出かける人も少なくありません。しかし「暑すぎて熱中症が心配」「朝から出かけると昼過ぎにはヘタってしまう」など、暑さに負けてレジャーを十分に楽しめなかった……といった経験もあるのではないでしょうか。そこで今回は、夏のレジャーを安全に楽しむための心構えや工夫をご紹介します。
高荷智也
(たかに・ともや)
備え・防災アドバイザー。「自分と家族が死なないための防災」をテーマに、自身のYouTube『そなえるTV』やVoicy『そなえるらじお』などで災害対策に関する情報を発信している。著書に『今日から始める家庭の防災計画・2026版』(徳間書店)、『防災リュックはじめてBOOK』(徳間書店)など。
夏のテーマパークは「暑さ対策」が必須!
夏はレジャーシーズン。夏休みなどでお出かけを楽しむ人が大勢います。
一方で、日本の夏は年々暑くなってきています。ここ数年では、最高気温40℃を超える日も珍しくなくなってきました。気象庁では今年ついに、気温40℃以上になった日の呼び名を「酷暑日」と定めたほど、猛暑は生活に身近なものとなっています。
さて、夏に人気のお出かけ先といえば、テーマパークです。大人も子どもも楽しめる場所ですが、暑さに特に気をつけなければいけない危険なスポットでもあります。
「暑い日に、テーマパークへ無策で行くのは絶対にNG!」と話すのは、備え・防災アドバイザーの高荷(たかに)智也さん。さまざまな条件が重なるため、特に気をつけてほしい場所なのだそう。
そこで今回は、夏の暑い日にテーマパークへ行くときの必須アイテムや対処法などについて、詳しくお話を伺いました。
ほかの屋外レジャーと比較して、テーマパークは熱中症対策が難しい場所なのだそう。
高荷さん
「第一に、テーマパークは屋外で過ごす時間が長くなりがちです。アトラクションやレストランの待ち時間、ショーやパレードの場所取りなど、動きたくても動けない時間がありますよね。
混雑していると自由に身動きを取りにくく、いざ『休みたい!』と思っても、すぐに涼しい場所に行けるとは限りません。
さらに、アスファルトの地面が熱を反射するので照り返しの影響も受けやすい。あらゆる暑さを感じやすい環境が揃ってしまっています」

この説明だけでも、海や山など自然の屋外レジャーと比べて、テーマパークはかなり熱中症リスクが高い場所であることが理解できます。
高荷さん
「暑いとわかっている日は、必ず熱中症対策をしてください。とにかく一番重要なのは、日差しを避けること。元凶である日差しを断つ、これを最優先にしてください。
できれば、木や建物の影に入ったり、日差しのピークタイム(12時〜15時)は屋内で過ごしたり、なるべく日差しを浴びないスケジュールを組んで行動していただきたいのです。
しかし、そうもいかないのがテーマパークです。そこでおすすめなのが『移動できる日陰』、つまり日傘。どこにでも日陰を作れる日傘は、夏のテーマパークの必須アイテムです」
日差しを遮ること! 熱中症対策の基本のキですね。
高荷さん
「ただし今でも、なんとなく日傘をさすことに抵抗感を覚える人もいるでしょう。しかし、昨今の暑さを考えるとそんなことは言っていられません。
時代は変わりました。今や夏の暑さは、異常気象を超えて気候変動とも言えるもの。それだけ最近の夏は暑いのです。老若男女かかわらず、1人1本お気に入りの日傘を選んで、積極的に使ってほしいです」
しかし、テーマパークでは日傘がさせないシチュエーションもあると思います。その場合はどうすればよいでしょうか?
高荷さん
「その場合は、帽子、長袖のUVカットパーカー、アームカバーなどを組み合わせて日差しを遮りましょう。色は、黒などの濃色よりも白っぽい淡い色のほうが熱を吸収しにくいので、暑さ対策に向いています。
強い日差しを浴びると体温が上がって熱中症リスクが高まるだけでなく、日焼けで火傷状態になる危険性も。日差しを遮る服装や装備を徹底しましょう」

夏は暑いですし、どうしても半袖を着たくなりますよね。肌を見せるおしゃれな夏服も、つい着たくなります。ですが、熱中症の危険性がある日は、「いのちだいじに」が最優先。日差しを避けることを優先すべきということですね。
高荷さん
「あとはもちろん、水分補給も忘れずに行ってください。350〜500mlくらいの比較的小さいマイボトルを、取り出しやすい場所に入れて持っていくのがおすすめです。
大きすぎると荷物が重くなってしまいますし、カバンの奥底に入っていては飲む頻度も下がります。取り出しやすい場所に入れたり、ストラップで肩から下げたりして、すぐに水分補給ができる状態にしておくのがよいでしょう。
350ml程度だと、中身はすぐになくなってしまいます。ですが、大体のテーマパークにはペットボトルのドリンクが売っていますよね。
水筒の中身がなくなったら、近くで売られているドリンクを水筒に移し替えて補充する、というやり方が、荷物も重くならずに便利だと思います」
テーマパークによっては水濡れイベントがあったり、ミストスポットがあったりもしますよね。ああいったものも熱中症対策になりますか?
高荷さん
「もちろんアリですが、それだけを頼りにするのはNGです。テーマパーク側が用意する水浴びスポットなどは、熱中症対策としてあくまでもサブ的なもの。
ですので、『水を浴びたから安心』『ミストスポットに行けば大丈夫』とは思わないでください。ただし補助にはなりますので、積極的に使うのはおすすめですよ」
水を浴びたからと安心はできないのですね。
高荷さん
「最近は、ハンディファンやネッククーラー、冷感スプレーなどの暑さ対策グッズがたくさん売られています。もちろんこれらも熱中症対策になりますが、ミストスポットと同じく、あくまで補助だと思ってください。
まずは日差しを遮って、そこにプラスオンする使い方をおすすめします」
猛暑のテーマパーク×子どもは特に危ない!
大人はもちろん、子どもは特に熱中症に気をつけてあげなければなりません。夏に、子どもとテーマパークへ行く際のポイントも教えてください。
高荷さん
「基本的には大人と一緒ですが、子どもは背が低く、アスファルトの地面に近いので、大人よりもっと暑さの影響を受けやすいんです。しかも、子どもは自分の喉の渇きに気がつかなかったり、体温調節機能も未発達だったりします。大人が感じているよりも、さらに暑い可能性があることを、保護者の方々は頭に入れておいてください。
たとえば、めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、だるさ、手足のしびれ、筋肉のけいれんといった身体的なサインが出たら、まずはすぐに涼しい場所で休んでください。そして、意識がぼんやりしている、自力で水分を取れないといった危険な状態になったら、迷わずスタッフに助けを求めてほしいです。
そのうえで大事なのが、大人以上に『早めに休む』『早めに飲む』『早めに予定を切り上げる』の3つです。遊びに夢中な子どもは、自分の辛さを隠したり、自分で保護者に伝えられなかったりします。当日は、同行する大人が気にかけ『水飲む?』ではなく『今ここで水を飲もう』、『疲れた?』ではなく『今ここで休もう』と具体的に促してください」

子どもにとって、テーマパークで遊ぶことは一大イベント。なんとしてでも遊び切りたい!と思うのも無理はありません。
高荷さん
「もちろん、テーマパークは特別な体験。最後までしっかりと楽しみたいですよね。ですが、猛暑の中のテーマパークは、子ども連れにとってかなりの負担です。体調を崩したり、命が危なくなってしまったりしたら元も子もありません。
猛暑日だから行く予定だったテーマパークをなしにする!というだけでは子どもの理解も得られないと思いますので、日差しのピーク時だけでも屋内施設で遊ぶようなスケジュールを組む、日程の変更、滞在時間の短縮、行き先の変更なども視野に入れて、暑い中でも安全に楽しめるような予定を立ててみてください」
「猛暑=災害」であることを忘れないで
もし夏休み期間にテーマパークへ出かけたい、となった場合、どんな日を選べばいいでしょうか? 天気予報のチェックの仕方を教えてください。
高荷さん
「『晴れ=天気が良い』というイメージがありますが、夏のテーマパークではそうとも言い切れません。写真や動画など、晴れの日の方がきれいなのは理解できますが、晴れているほど、熱中症リスクも高まります。
おすすめなのは、薄曇りで少し風が吹いていて、湿度が高すぎない日。気温だけでなく、湿度や暑さ指数、熱中症警戒アラートなどもこまめにチェックしてください。35度以上の猛暑日や、熱中症警戒アラートが発表されている日は、できれば屋外へのお出かけは控え、別日にしたり、屋内レジャーに行き先を変えたりなどで対応してください」

外に出かける日は晴れていてほしいと思ってしまいがちですが、その分日陰が少なく気温も上がりやすいのは危険ですね。昨今の気温上昇が、これまでの常識を変えている気がします。
高荷さん
「35度を超える猛暑日のなかでは、細かい理論を突き詰めるだけでは対処しきれないことも増えてきます。細かい理論を知識として知っておくのは大事ですが、今の暑さはそれどころではない、ということも理解してほしいです。
晴れているといい天気に見えるので想像がつきづらいですが、昨今の猛暑は、いわば災害です。『台風の日にテーマパークへ行きたいのですが、なにか注意点はありますか?』と聞いているのと同じ。『せっかくチケットを取ったから』という気持ちはたいへんよくわかるのですが、猛暑のなかでテーマパークに行くのは、時に命に関わります。無理に行かない、無理な時間に動かない、無理なスケジュールを組まない。これらを意識して、時には思い切って早めに帰ったり、日程変更をしたりといった判断をしてください」
確かに、台風が来たらどんな予定があっても外には出ませんよね。
高荷さん
「そのうえで、もし暑い日に外出をするなら、日傘などの日除けグッズを必ず持っていって、水分補給はいつもよりこまめに。基本の熱中症対策を積み重ねるのが大事です。安全に帰ってこられてこそ、楽しいお出かけですから」
猛暑は災害の一種。毎年じわじわと気温が上昇してきたなかで、あまり自覚が持てていなかったかもしれません。しかし、昨今の暑さは間違いなく災害級。みなさんが安全に夏を楽しめるように、まずはお気に入りの日傘から手に入れてみてはいかがでしょうか。
ライター:中込有紀
イラスト:omiso
編集:ノオト
中込有紀
なかごめ・ゆき
編集プロダクション・ノオトのライター/編集者。好きな食べ物は目玉焼きとラーメン二郎。




