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冬の冷えに備えよう! 東洋医学の知恵から学ぶ「温活」のススメ

冬に向かって寒さが増す季節。肩こりや頭痛が続く、疲れが抜けない…そんな不調は、体が冷えているサインかもしれません。冷えと不調の関係や、日々の暮らしに取り入れやすい温活のヒントについて、東洋医学専門の鍼灸院を営む鍼灸師・久保和也さんに聞きました。

久保和也

久保和也

くぼ・かずや

鍼灸師。2021年より東京・押上にてクボ鍼灸院を開業。東洋医学の著書3冊、昭和医科大学リカレントカレッジおよびNHKカルチャー青山にて講師を務める。「一人一医学」を掲げ、冷えや自律神経など現代人一人ひとりの不調に東洋医学で向き合うことを目指し、養生法を伝える活動を行う。
WEBサイト:https://kubo-shinkyuin.com/
X:@kubo_tubo

東洋医学の知恵から学ぶ。冷えや冬の不調が起こる仕組み

「肩こりや頭痛が続く」「なんとなく体がだるい」など、体の不調のサインを読み解くヒントを与えてくれるのが東洋医学です。頭痛やだるさなど、一見すると冷えとは無関係に思える不調も、実は体の冷えが原因かもしれません。

久保和也
久保先生

「冷え」は、西洋医学では正式な病名として定義されていません。一方、東洋医学では冷えを体の不調のサインとして捉えます。

体の血流やエネルギーなどのめぐり、体の機能の働きの低下といった冬に起こりやすい体調不良は、冷えからくるさまざまな要因が重なって生じると考えられています。

長い歴史の中で培われてきた東洋医学の知恵をもとに、冷えが起こる原因やしくみについて見ていきましょう。

東洋医学では、気候の変化が体に悪影響を及ぼすとされています。秋から冬へと移り変わる11月は、それぞれ「燥邪(そうじゃ)」と「寒邪(かんじゃ)」と呼ばれる影響による不調があらわれやすい時期です。

久保和也
久保先生

秋は乾燥によって喉・鼻・肌などの不調(「燥邪」)が、冬は寒さによって循環が滞ることによる痛み・冷え・おなかの不調(「寒邪」)などがあらわれます。つまり、冷えは「寒邪」が引き起こす症状のひとつなのです。

二十四節気(にじゅうしせっき)に基づく暦の上では、立冬(11月7日頃)から立春の前日(2月3日頃)までが冬とされています。外気温が低くなると、体の血液や水分、エネルギーが滞りやすくなります。すると、朝なかなか起きられない、体がだるい・重い、むくみが強くなるといった症状が出やすくなるのです。

久保和也
久保先生

東洋医学では、冬は「早く寝て、日が出てから起きる」ことが勧められています。動物が冬眠するように、私たちもエネルギーを温存しながら過ごすことを心がけたいですね。

冬は、東洋医学で「腎」と呼ばれる体の機能の働きが弱まるとされています。名称が似ていますが、「腎」と臓器の「腎臓」は別物。腎は腰・耳・水分代謝などと深く関係しているため、腰痛や耳の聞こえの低下、トイレが近くなるといった不調が出やすくなります。

久保和也
久保先生

急に耳が聞こえにくくなったり、体に強い痛みが生じたりした場合は、医療機関を受診しましょう。

体質別のツボを紹介!冷えを和らげる温活をはじめよう

東洋医学では、冷えは万病のもと。病気を未然に防ぐための方法としてまず挙げられるのが、体を温める性質の食材をとることです。たとえば、次のような食材がおすすめです。

体を温める代表的な食材
食材飲み物
しょうが、ネギ、ニンニク、かぼちゃ、鮭、ひじきなど白湯、しょうが湯、ほうじ茶、紅茶、黒豆茶など
久保和也
久保先生

冬は特に、冷たい飲み物は控えてください。わが家では毎日のように豚汁やポトフなど根菜たっぷりのスープを食べて体を温めています。また、入浴や運動もよいですが、汗をかきすぎてしまうと体のエネルギーを消費し過ぎてしまうため、適度な長さにとどめておきましょう。

また、意外と簡単にできるのが、体を温めるツボを刺激すること。強く指圧するのではなく、さすったり、温めたりするだけでも大丈夫です。

久保和也
久保先生

「冷え」対策の場合は、靴下やアームウォーマー、カイロなどで温める方法がおすすめです。じんわりとやさしくツボを刺激できます。カイロを使うときは、肌に直接貼ったり、貼ったまま就寝したりしないように気をつけましょう。

冷えやすい部位は、人によって異なります。体質別のチェックリストで当てはまる項目を調べ、自分の体質にあったツボを温めましょう。

季節を問わず全身に冷えを感じやすい人は全身冷えタイプです。関元のツボは、妊娠中の方は強く押さずに温める程度にしましょう。

【体質チェックリスト】

□1年を通して寒がり
□厚着をしても寒い
□疲れやすく元気が出にくい
□温かい飲み物を好む
□トイレが近い

【ツボ】

・大椎(だいつい)
首を前に倒して下を向いたとき、いちばん出っ張る骨(第7頸椎)のすぐ下のくぼみ。寒気を取り除き風邪を予防するほか、のどの痛みや風邪の引きはじめの諸症状の緩和の効果や、肩こり改善などの効果があるとされています。

・関元(かんげん)
おへそから指4本分下にあるツボで「丹田(たんでん)」とも言われます。体力やエネルギーを高め、全身の調子を整えます。胃腸の不調改善に効果があるほか、腰の痛みや倦怠感を緩和する効果も。はらまきで温めるといいでしょう。

久保和也
久保先生

大椎はマフラーやネックウォーマー、ハイネックのセーターなどで温めやすいツボです。

おなか周りが冷えやすいなら内臓冷えタイプ。内臓冷えは自覚しにくく、「隠れ冷え」になる傾向があります。不調を放置せず、温めてケアしましょう。

【体質チェックリスト】

□手足は温かいのにおなかを触ると冷たい
□冷たい食べものや飲みものでおなかをこわしやすい
□胃もたれしやすい
□平熱が低め
□むくみやすい

【ツボ】

・足三里(あしさんり)
膝のお皿の外側下のくぼみから指4本分下、すねの骨の外側にあるツボ。体の内側から温めて胃腸の働きを整え、疲労回復を促進するため、冷え性やむくみにも効果的です。親指でゆっくりと押し、心地よい程度の力で刺激するといいでしょう。

・中脘(ちゅうかん)
おへそとみぞおちのちょうど真ん中にあるツボ。胃腸の働きを回復させ、食欲不振や内臓の冷えを和らげます。

久保和也
久保先生

中脘ははらまきで温めるほか、服の上からカイロなどを当ててもいいですよ。

体のほかの部分はそれほどでもないのに、手先足先が冷えている人は末端冷えタイプ。三陰交と合谷のツボは、妊娠中の方は強く押さずに温める程度にしましょう。

【体質チェックリスト】

□手足の先が冷えて眠れない
□しもやけになりやすい
□肩こりや頭痛がある
□ストレスで冷えが悪化する

【ツボ】

・三陰交(さんいんこう)
内くるぶしの一番高いところから指4本分上、すねの骨の後ろ側にあるくぼみ。下半身の血流を促して冷えを緩和するほか、むくみの解消、生理痛や生理不順の緩和にも効果があります。

・合谷(ごうこく)
手の甲側、親指と人差し指の骨が合わさる手前のくぼみ。自律神経の働きを整えて末端の血流を改善し、冷えによる肩こりや首のこり、頭痛を和らげる効果も。反対側の親指の腹で、ゆっくり押して刺激しましょう。

久保和也
久保先生

合谷(手首周り)は、アームウォーマーなどで温めるのもおすすめです。

顔や上半身はほてっているのに、足や下半身に冷えを感じる人は冷えのぼせタイプです。

【体質チェックリスト】

□足は冷たいのに顔がほてる
□暖房の部屋でのぼせやすい
□寝汗や口の渇きがある
□寝つきが悪い

【ツボ】

・太谿(たいけい)
内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみにあるツボ。血行促進の作用があり、とくに足の冷えに効果的です。冷えのぼせタイプは「上半身は温めすぎず、足元を温める(頭寒足熱)」ことがポイント。爪楊枝20本ほどを先端をそろえて輪ゴムで束ねた爪楊枝鍼で、頭や首をトントンと刺激すると、上半身にたまった熱を放出してくれます。

・三陰交(さんいんこう)
末端冷えタイプを参照してください。

久保和也
久保先生

太谿と三陰交の2つのツボを同時に温めることができる長めの靴下や、レッグウォーマーなどの使用がおすすめです。

温活で気持ちよく冷えを解消しよう

さまざまな健康に関する情報があふれている現代。そんななかで自分に合ったケア方法を見つけるためには、「自分が気持ちいいと感じるかどうかが大事」だと久保先生は言います。
そんな気持ちよさを感じながら続けられるのが、今回のツボを温める方法です。
実際にツボをあたためてみると、体全体がぽかぽかする心地よさを感じ、その手軽さに驚きました。これなら無理なく、マイペースに続けられそうです。

自分の心と体の声を聞いて健康に過ごす一歩を、温活からはじめてみませんか。

執筆:早川奈緒子
イラスト:武者小路晶子
編集:アーク・コミュニケーションズ

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