Vol.05バドミントン[後編]

齋藤夏さん(17)埼玉栄高校女子バドミントン部所属千嘉子さん

自分の性格を「明るいです。友達には『うるさい!』と言われます」と笑顔で分析してくれた齋藤夏さん。インターハイ直前の練習場にお邪魔したのは、ちょうど昼休みの時間。全国制覇をめざす名門校のランチタイムは、爆笑もわき起こる明るい雰囲気でした。食に対する意識、仲間への思い、お母さんに対する感謝、そして、将来の目標――。日本バドミントン界の未来を担う大型プレーヤーは、いま、青春まっただ中です!

気づいたら、バドミントンを始めていた。

バドミントンを始めたのは、両親の影響ですね。自分からやりたいって言ったのかどうかは覚えてなくて、気づいたら始めていました。姉(3学年上の栞さん。女子シングルス日本B代表)のことは、ライバルとは思っていないですけど、目標の一人ではあります。いまはダブルスを頑張っているので、プレーヤーとして目標にしているのは、髙橋礼華さん(リオ五輪女子ダブルス金メダル)です。

中学まではシングルスプレーヤーだったんです。高校で本格的にダブルスをやり始めたら楽しくて、いまはダブルスのほうが好き。パートナーとかみ合ったりする瞬間がたまらなく楽しいです! シングルスは孤独で誰も助けてくれないけど、ダブルスはパートナーと話せば解決できる。もともと、みんなでワイワイやるのが好きなんです。

今日のメニューは、栄養吸収がいい「すりごま」かけご飯と、栄養価の高いブロッコリーのスプラウトを巻いた豚肉など。キャベツのみそ汁は夏選手のリクエスト。大量の汗をかくので塩分補給も大切

怖かった母。でも、その教えが身にしみている。

母の存在は、ありがたいです。毎朝早く起きてお弁当を作ってくれて、夜も車で迎えにきてくれて。睡眠時間を確保するために、朝ご飯と夜ご飯は、それ用に作ってくれたものを毎日、車の中で食べているんです。

お弁当の思い出といえば、小学生のときに出場した大会。お弁当が全然食べられなくて、試合に負けちゃったんです。そしたら、母にものすごく怒られて……。帰宅するために車に乗ったら「お弁当を食べるまで帰りません。早く食べなさい!」って運転してくれない。無理やり全部食べました。いまも、練習がキツくて食欲がないことはありますが、頑張って食べるようにしています。

普段から甘い物はやめて、肉類はちゃんと食べるようにしています。高校生になって体重が増えやすくなってきたので、食べ過ぎにも気をつけています。身体の状態がよくないと、いいプレーができないですから。特に好きな食べ物は、ミカンとごぼう。お弁当にごぼうサラダが入っていたら、うれしいです。ごぼうなら、どんな料理でもすぐ食べちゃいます!

取材当日の補食はこんな感じ。試合の日は、これに加えてカステラやバナナなどを持参することも。熱気がこもる体育館でプレーするバドミントン。ゼリードリンクと熱中症対策としての経口補水液は必需品

インターハイ二冠、そして、世界で活躍できる選手へ。

バドミントンをやっていて、一番楽しいことですか? チームのみんなと声をかけ合ったりして練習しているのが一番好き。でも、練習自体は毎日つらいです。走るのがあまり得意じゃないので、ついていけないことも多いし、コートの中で動くのも遅いほうなので、速く動くのが大変です。

バドミントンをやめたいと思ったことは、たくさんありますよ。そんなときは、友達としゃべったりして発散して、自分の中で整理をつけます。両親ともいろいろと話してアドバイスをもらっています。そのくり返しですね。一番最近だと、高校1年生のときかな。そこを乗り越えてからは、もう大丈夫です。

いまの目標は、7月29日から開幕するインターハイで、団体戦と個人戦ダブルスで優勝して「二冠」を達成すること。団体戦では勝ってチームに貢献したいです。
将来の目標は、世界で活躍できる選手になること。3年後の東京オリンピックは……、ちょっと厳しいかな(笑)。その次をめざして頑張ります。

くしゃくしゃっと人懐っこい笑顔がお母さんそっくり。スタンドで誰よりも大きな声で応援する千嘉子さんの姿から、つらいときも明るく乗り越える術を学んでいるのかもしれない

※2017年7月 公開