vol.07ゴルフ[後編]

田中章太郎さん(16)日本ウェルネス高校ゴルフ部所属佐和子さん

子どもの頃から、一つ決めたら徹底的にやりぬく性格。予選敗退という悔しい経験を経て、お母さんが驚くほど、練習の虫になった章太郎さん。高校も、ゴルフに集中できる環境を一番に考えて、寮生活を選びました。同じようにプロゴルファーを目指す仲間ができ、いまさらなる進化のときを迎えています。自分の敵は自分。他人に左右されることなく、着実に一歩一歩進む章太郎さんの目には、これから進むべき道がしっかり見えているのでしょう。

スマホもテレビもなし。ゴルフ漬けの生活。

高校入学とともに、セベ・バレステロスGCのすぐそばにある寮でゴルフ部の仲間たちと寮生活をしています。木曜日の夜に実家に帰り、日曜日の夜に寮に戻る日々。寮にいる間は、朝6時半に起きて、朝食後は練習場へ。ウォーミングアップをしたら18ホールをラウンドします。お昼を食べたら午後も練習場へ。17時頃いったん上がって夕食をとり後片付けをしたあと、19時から21時くらいまで自主練をしています。

部屋は5人部屋で先輩も一緒。礼儀作法を学ばせてもらっています。二段ベッドがあって僕は下の段で寝ているんですが、ときどき話し足りない日には、みんなで床に布団を敷いて眠りにつくまで話したりします。仲がいいんですよね。携帯電話が禁止でテレビもないので、まさにゴルフ漬けの生活です。

週末、家に戻っても練習は欠かしません。ここ(南が丘ゴルフガーデン)に来たり、母の仕事がない日は近くのゴルフ場でラウンドを回ったりします。

自宅には、章太郎さんが獲得してきた数々のトロフィーやメダルが並ぶコーナーが。一つ一つに忘れられない思い出が詰まっている。

難しいからこそ、ゴルフに魅了される。

母も話していた、関東小学生大会の予選のことは僕もよく覚えています。自信があり、全国大会に進むのは当たり前、全国大会で上位を狙いたいなと思っていたんですが、調子が悪くて予選敗退してしまいました。そこで、「いままで自分は甘かった。他の誰にも負けないくらい練習してプロになってやる!」と思ったんです。

それからいままで、毎日のように練習してきましたが、ゴルフに飽きることは全くありません。もともと、いろいろやるよりは1つのこと極めたいタイプなんですが、スマホゲームとかだとすぐ飽きるんですよね。でも、ゴルフは全く飽きません。練習しても練習しても極められないところが、面白いんだと思います。

逆によかったのが、中学3年生のときに出た関東ジュニアという大会です。3日間競技で、初日と二日目のスコアがともに69で1位。2位と4打差開いていたのですが、最終日の最終組のプレッシャーはいままで味わったことがないものでした。そんななか、自分のプレーができて優勝できたことは自信になりました。

ゴルファーとしての章太郎さんを一番身近で支えるお父さん。スポーツショップに勤務していた経験を生かし、ミリ単位で章太郎さんのゴルフ道具の調整を行なっている。

ケガ知らずの丈夫な身体に育ててくれた。

ゴルフのために食事や栄養について勉強することもあります。食べなきゃなぁと思いつつ、どうしても魚が苦手なので、寮でも栄養面を考慮してもらい、魚ではない特別メニューをつくってもらっています。肉を多く食べる分、野菜をしっかり食べ、お菓子や菓子パンはなるべく口にしません。

身体づくりに大切な小・中学校時代、母が栄養面を考えた食事にしてくれたおかげで、ケガや病気をしない丈夫な身体になりました。母は、ときどきうるさいなぁと思うこともありますが、あとから振り返ってみると「僕のことを考えて言ってくれたんだな」と思うことばかりで、とても感謝しています。

将来の夢は、海外でも活躍できるプロゴルファーになること。そのために今年は、日本アマチュアゴルフ選手権に出て、トップ20くらいに入れるような成績を残したいです。ショットが得意なので、バーディーをとるようなゴルフをできるよう、これからも頑張っていきたいです。

離れて暮らしてみて初めて分かる親のありがたみがある。普段は照れ臭くて言えない感謝の気持ちを手紙で伝えたい。

※2018年4月 公開