【夏弁特集】お弁当コンサルタントが実践する5つの安心ルールと副菜3種

夏のお弁当は、いつも以上におかずの傷みや、雑菌の繁殖が心配になるもの。今回は、お弁当コンサルタント・野上優佳子さんが夏は特に意識しているという「5つの安心ルール」と、「夏の定番おかず3種」を教えていただきます。

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野上 優佳子(のがみ・ゆかこ)

野上 優佳子

のがみ・ゆかこ

料理家・弁当コンサルタントとして新聞、雑誌、TV、ラジオ、ウェブ、全国各地での講演など多メディアで活動中。『スープジャーで楽するおべんとう生活』(笠倉出版社)、『野上さんちの超ラクチン弁当』(学研プラス)など著書多数。
Twitter:@nogami_y

暑くなってくるこの時期は、お弁当を作るときにも持たせるときにも、気をつけなくてはならないことがあります。雑菌の繁殖を防ぎ、食品が傷みにくくなるようなルールを知っておけば、夏場でも楽しいお弁当作りができます。野上さんのマイルールをさっそくチェック!

お弁当作りは、冷蔵庫の管理からはじまります。

野上さんが気をつけているのは、冷蔵庫の中身を詰め込み過ぎないこと。目安としては「冷蔵庫の中身は7〜8割程度」を意識しているそう。食材も作り置きも、忘れずにおいしく食べ切れる量だけを、冷蔵庫に入れるようにします。

また、細菌が付着している可能性が高い肉と魚は、冷蔵庫内のチルドルームでまとめて保存しています。

野上さん
「生野菜や常備菜に肉や魚が触れて、細菌が繁殖してしまうのを避けるため、肉や魚は別にして、定位置を決めておくのがオススメ。段を分けたり、プラスチック容器などで分別したりすれば安心です。肉や魚を触ったあとの手指は必ずアルコール消毒し、調理器具もそれぞれ使い分けるようにしましょう」

「常備菜やおかずを取り出した際は、アルコールを含ませたキッチンペーパーでさっとトレイを拭き上げる」という野上さんの習慣もマネをしたいところ。

季節を問わず大切なことですが、夏場は特にお弁当箱を念入りに洗うべき! というのが野上さんの2つ目のルール。パーツやパッキンは毎回外して洗剤でよく洗い、清潔な布巾で水滴が残らないように拭くか、自然乾燥させているそう。

お弁当箱の素材は様々ありますが、野上さんが夏に愛用しているのは、ステンレス製と、曲げわっぱのお弁当箱。また、保温機能に優れたスープジャーを活用することもあるといいます。

野上さん
「ステンレスは熱伝導率が高いので、お弁当全体に保冷剤の効果が行き渡りやすく、持ち運びに不安がありません。傷がつきにくい素材ということもあって、雑菌が入り込むのを抑えることができます。わっぱ素材は通気性がよいので、中身が蒸れにくくごはんやおかずがベチャっとしにくいです」

野上さん
「スープジャーには、ジャーサラダのように生野菜を入れてもいいですし、我が家では野菜スティックを入れて持たせることもあります。冷たいスープやフルーツなどがあると、暑い夏も頭がシャキっとするお弁当タイムになりますよね」

できあがったおかずを詰めるときは、常温になるまできちんと冷ますことが重要です。少しでも温かいと、その熱がお弁当箱の中を湿気らせてしまいます。作業中のキッチンは暑くなるので、涼しいリビングやクーラーの風が当たる場所におかずを移動して冷ましましょう。

野上さん
「お漬物や胡麻和え、お浸しなども、ぎゅっと拭いてから詰めます。しっかり食材に味を含ませていれば、味が薄くなってしまうこともありません。また、それぞれのおかずがくっつき合ってしまうと傷みの原因になってしまうことも。おかずカップや紫蘇などを使ってじょうずに分けてみてください」

野上さんがお弁当を詰めるときに徹底していたのは、絶対に食品に触らないこと。どの作業もお箸やカトラリーで行い、おかずを盛りつけるたびにお箸をキッチンペーパーで拭っていました。

野上さん
「おかずの水気を取ったり、お箸を拭いたり、盛りつけのときにはキッチンペーパーが欠かせません。また、皮膚の常在菌や手指の傷が食中毒の原因になることもありますから、必ずお箸で盛りつけます。指先に傷があるときはなるべくお弁当作りをお休みして、作るときには絆創膏だけでなく手袋もしましょう」

安全に気をつけて作ったお弁当が完成したら、出かける直前まで冷蔵庫で保管しているという野上さん。家を出るときは、お弁当箱の上に保冷剤をのせ、保冷バッグに入れて持ち運びすれば、暑い時期でも安心です。

野上さん
「冷気は上から下に向かって流れていくので、保冷剤は必ずお弁当箱の上にのせます。長時間タイプの保冷剤も売っていますので、移動時間に合わせて選んでみてください。保冷バッグは、バッグ自体に保冷ゲルが入っていて、バッグごと冷やして使うタイプのものや、プラスチックの保冷剤つきのサンドイッチバッグなどもあります。保冷バッグ選びも夏弁ならではの楽しみです」

5つの安心ルールを教えてくれた野上さんに、「ぜひ夏によく作る定番のおかずも教えてください!」とお願いしたところ、3品のレシピをご紹介いただきました。

切った野菜をすし酢に漬けておくだけでできあがる、お弁当の隙間にぴったりのお漬物。赤紫蘇を入れるときれいに色づくので、お弁当が華やかになります。市販の紅生姜のおつゆと一緒に漬けておくと、同じように赤く染めることができます。

野上さん
「お酢は食品の腐敗防止にもなり、さっぱりしたい夏にもちょうどよい味。すし酢を使えば野菜を入れるだけですみますし、赤紫蘇や紅生姜を入れて着色しておくと、ミニトマト代わりの赤色おかずができあがりますよ。半日くらい漬けておくと、味が染み込みます。3日くらいで食べ切りましょう」

生で食べられる野菜も、夏は酢漬けにしたり加熱したりするのが、野上さんの心掛けのひとつ。お好みの野菜をごま油で焼き、ポン酢を和えた一品。数種類の野菜を用意しておくと見た目の彩りもよく、満足感があるおかずになります。

野上さん
「カブやパプリカは生でも食べられるので、表面に焼き色がつけばOK。さつまいもは少し薄めに切り、ブロッコリーも茎を小さめに分けると、加熱時間が短くてすみます。鰹節やごまと和えると、野菜から出る水気を吸ってくれるので、水分が多い野菜を焼くときは使ってみてください」

お弁当には欠かせない玉子焼きも、夏にぴったりの梅味にアレンジ! ふんわりと甘い中に酸っぱさのある玉子焼きは、ぜひとも作りたい一品。じゃこと千切りにした紫蘇がアクセントの和風味です。

野上さん
「乾燥しているじゃこが、卵液や紫蘇から出る水分を吸ってくれるので、冷めてもベチャっとしません。傷み防止の梅と紫蘇を入れることで、夏でも安心していただけますし、あっさりした味に仕上がります。玉子焼きは熱いと崩れやすいので、しっかり冷めてから切り分けましょう」

お酢や梅干しなどを入れた酸味のあるさっぱりおかずは、食欲が落ちがちな夏でもおいしくいただけそう!

夏だからこそちょっとしたアレンジを楽しむことが、作る人も食べる人にも新鮮さをもたらしてくれそうです。

野上さんの5つの安心ルールと、副菜3種をぜひお試しください。

撮影:小野奈那子
編集:ノオト

吉川愛歩

吉川 愛歩

よしかわ・あゆみ

食のライター・料理家。暮らしと食の出版やコンテンツ制作に携わる。『メスティンBOOK』(山と渓谷社)、『キャンプでしたい100のこと』(西東社)などの執筆とレシピ監修を担当。児童向けのレシピつき小説『こねこのコットン チアーカフェストーリー』(学研プラス)が好評発売中。
Instagram:@yoshikawaayumi

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