スポーツボトルの歩み スポーツボトルという
新マーケットの開拓

サーモス スポーツボトル

スポーツボトルは1998年に登場しました。
冷たい飲みもの専用という新しいコンセプトは、 従来の魔法びんとは全く異なる新しいマーケットを切り開きました。
今でこそ多くのユーザーが持っている人気アイテムですが、発売当初はなかなか広まりませんでした。

魔法びんの常識を超えた新しい製品

サーモスからスポーツボトルがはじめて登場したのは1998年秋のことです。

それまでの魔法びんは、主に遠足や運動会などの「行事」に持っていくアイテムという認識だったので、使用頻度もさほど高くなく、魔法びん市場も飽和状態となっていました。

一方、1996年に500mlサイズのペットボトルの発売が開始されました。ガラス瓶や缶などと違い、軽くてフタが閉められるペットボトルが広まるのに伴い、飲みものを持ち歩くというライフスタイルが定着してきました。

そこに登場したのが、業界初の保冷専用で直接口をつけて飲む「真空断熱スポーツボトル」でした。「コップに注いで飲む」という従来の水筒の常識を超えた新しいコンセプトの製品でした。

これは、当時アメリカにいた日本人スタッフから「アメリカではペットボトルの水を持ち歩いて飲む習慣があるから、それに合うような保冷専用のボトルを作ってみないか」と、ラフスケッチの描かれたファックスが送られてきたのが発端でした。

クチコミで広がったスポーツボトル人気

新しいカテゴリーの製品として登場したスポーツボトルですが、発売当初は「ボトルから直接飲むスタイル」への抵抗感や、魔法びんは温かい飲料を入れるものというイメージから「保冷専用」であることがなかか受け入れられず、初年度の販売本数は1万本程度と、現在のスポーツボトル市場からは想像がつかないほど少ないものでした。

しかし、従来の魔法びんと違って、引き上げるだけですぐに飲める飲み口は、素早く水分補給したいスポーツシーンでは好評であり、ユーザーによるクチコミで徐々に人気が拡がっていきました。

さらに熱中症に対する注意も喚起されはじめ、運動時の水分補給の重要性も認識されてきました。

こうした社会情勢を背景に、少年サッカーや少年野球でのスポーツキッズの利用が急激に増えていきました。スポーツボトルは家庭用品としては珍しく、ユーザーである子ども自身が選ぶ製品で、本人の指名買いが顕著です。従ってチーム内で人気が出ると更にスポーツボトルユーザーが増えていく現象が見られました。

サーモスでも雑誌広告やTVCM、水分補給の重要性などの訴求活動を行ってきましたが、ユーザーが爆発的に増えた最大の要因は、子ども達のコミュニティ内のクチコミだったと考えています。

累計出荷数3000万本(※1)の人気シリーズに

2002年に現在のスポーツボトルの原型となるワンタッチ・オープンのキャップユニットがついたFDKシリーズが発売されました。片手で簡単にあけられてすぐ水分補給できるこのタイプは、スポーツキッズを中心に一気に人気が広がりました。

FDKシリーズ
現在のスポーツボトルの原型となるFDKシリーズ。

その後も、より洗いやすさを向上させたャップユニット、ボディをガードするカバーやポーチの採用など、スポーツボトルはたゆまぬ進化を遂げ、様々なシーン・用途に応じた新製品の投入を行ってきました。

FEAシリーズ
乱暴に扱っても本体をガードするプロテクターがついたスポーツボトル。
FEMシリーズ
真夏の水分補給に最適な大容量で、持ち運びやすいハンドル付きのスポーツジャグも登場。
FHTシリーズ
より飲みやすいキャップ構造やポーチの耐久性アップなど、常に進化を続けています。

「一家に1本」だった魔法びんは、スポーツボトルという新しいカテゴリーが確立するとともに、「一人に1本」というニーズを生み出し、サーモスのスポーツボトルは大きなマーケットになったのです。

(※1 2024年1月までの累計)