週末農業やってます!〜畑仕事には水筒を携えて♪

コロナ禍で人気なのが園芸や土いじり。おうちのベランダでミニトマトを栽培している人も多いのではないでしょうか? 今回は仲間同士で借りた畑で野菜を育てている男性3人をご紹介。作物を育てる楽しみや収穫の喜びについて語ってもらいました。
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普段は都内で忙しく過ごす働き盛りの男性3人。職業も家庭の状況もばらばらだけど、週末になると東京・練馬区の貸し農園(体験農業用農園)に通い、野菜づくりにいそしんでいます。気がつけば農作物の栽培にハマって早13年。何がそんなに彼らの心をつかんだのか、聞いてみました。
2007年からこの農園に通う3人はすでに借り手の中では古株。そもそもは農業関係のシステムエンジニアの林裕昌さんと、大学院の同期である山田智三さんが、農業の実体験のために始めたのがきっかけでした。そこに、やがて山田さんと友人だった村上宗一郎さんが加わり、3人体制となりました。
30㎡と言えば18畳分くらいにあたり、これを「土いじりが楽しい」「自分が食べる野菜を育てたい」という動機だけで運営するのはなかなか大変な広さなんだそう。
野菜は生きものなので、成長は待ったなし。「家の用事が重なって」「仕事が忙しい時期だから畑に行けない」などという人間の都合に合わせてはくれません。でも3人いれば、誰かが畑に来られなくても、他の2人が世話することができます。フォトグラファーである村上さんの仕事は、土日祝日は関係ありません。週末に行けないこともありますが、逆に、平日に畑を見に行くことができます。
「もちろん、週末の朝から3人で作業をするのが基本です。そして、畑仕事を終えてから、揃って行きつけのお好み焼き屋さんで一杯やる。それが何より楽しみです」と村上さん。
「社会人になって、それぞれ別の仕事に就いて会う機会が減ってしまうのは仕方ないこと。それが週末農業を始めてから、再び共に過ごす時間をもつことができました。結婚したり、子どもができたり、一人一人この13年で人生経験を積んでも、こうして同じ場所と時間を共有できる喜びは大きいですね」
こちらの農園では、2月以外は、何かしら野菜を育てているそうです。種や苗は農園主さんが用意し、それぞれの野菜の育て方も指導してくれます。スキやクワ、シャベルなどの大きな道具も農園に備え付けの物を使えるのだとか。小さな道具、たとえば収穫用のハサミや、土を浅く掘ったりすくったりするスコップ、作物を覆う防虫ネットなどは各自で用意しますが、ほぼ、農園から支給される苗や肥料で野菜づくりが始められます。
「野菜を植える前の説明会で教えてもらったとおりに栽培すると、素人でも失敗せずに収穫の時期を迎えられるので感動しますよ。時にはキャベツが虫に食べられてダメになっちゃったなんてこともありますが、たいてい食べきれないほどの野菜が採れます。畑を始めてから野菜本来の味や、採れたてのおいしさに気づきました」(村上さん)
村上さんによれば、夏場は特に、こまめに畑を見に行かないと、野菜が育ちすぎてダメにしてしまうそう。「朝の少しでも涼しい時間に作業をしますが、水分補給がとても大事。1日2リットルくらい、あっというまに飲んじゃいます」
そこで愛用しているというのが、ジャグタイプの水筒です。
そして、3人がこのところ熱心なのが「男の料理」です。
採った野菜を食べるのもまた収穫の喜びと同じくらい楽しみなのだとか。それぞれ「こんなの作ったよ」と画像をスマホで送り合い、おおいに盛り上がります。
採れた野菜を親きょうだいや友人にお裾分けしたり、家族に手料理を振る舞ったり。時には分けた野菜が思わぬご馳走となって戻ってくることも。
自分一人の楽しみから、「喜ばれる」喜びへ。
農業を始めたばかりの頃とは3人の心境も違います。
土をいじると感じる本能的な安らぎ。作物を育てる充実感。仲間との語らい。旬の味。週末農業がもたらしてくれる様々なもの……それはつまるところ、幸せのお裾分けなのでした。
撮影:村上宗一郎
ライター:稲佐知子
編集:オフィス福永
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