おうちでアーユルヴェーダ〜生姜で温活!

時折吹く風に冬の到来を予感させる季節になってきました。小春日和の穏やかな日はあっても、身体を潤す飲み物は温かなもののほうがほっとします。今回はこれからの季節に備えて温活にひと役かってくれそうなスパイス入り生姜シロップをご紹介します。

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岩瀬 幸代

岩瀬 幸代

いわせ さちよ

2002年、スリランカのアーユルヴェーダと運命的な出会いを果たして以来、訪ねること55回。執筆を中心に、旅の企画・相談などスリランカ&アーユルヴェーダを軸に多岐にわたって活躍。著書に『緑の島スリランカのアーユルヴェーダ』(晶文社)、『アユボワン!スリランカ ゆるり、南の島国へ』(光文社)など多数。

生姜は温活の代表的な食材。そしてアーユルヴェーダにとって、なくてはならない存在です。生姜は生のままでも血流を良くして新陳代謝を上げ、身体をじわじわと温めてくれる効果がありますが、加熱することでより高い温熱効果を発揮します。今回はそこに、スパイスの国スリランカでも多用する香辛料を加えて、よりパワーアップさせたシロップにしました。

生姜は、インド、スリランカ生まれの伝統医療アーユルヴェーダにおいて必要不可欠な存在です。

アーユルヴェーダの大きなテーマの一つが「消化」ですが、消化力が弱っているとき、スリランカの人たちは生姜を中心に様々なスパイスを上手に使って、その立て直しをはかります。消化が悪くなれば、食べたものが未消化物として体内に残り、アーマ(毒素)となって病気を引き起こす原因になりかねない、と考えるからです。

近頃人気のスパイスカレーはスリランカが本場。現地では3食ともスパイスをふんだんに使った料理が並びます。香辛料が身体にいいことを、長年の歴史と日々の体験から学んだ末の食習慣なのでしょう。

日本ではアーユルヴェーダと言えばオイルを使った施術が有名ですが、それはアーユルヴェーダのほんの一部に過ぎません。消化と代謝を高めて、きちんと排泄すること。これがアーユルヴェーダにおける健康づくりの「基本のき」なのです。

そしてその大きな味方になってくれるのが生姜です。消化力が落ちていると感じたときは、スライスした生姜に岩塩とレモン果汁を少々振って、食事をとる少し前に1~2枚食べます。

また、すり下ろした生姜と黒胡椒、長胡椒の3種のスパイスを煎じた「トリカトゥ」と呼ばれるホット・ドリンクは、手軽に消化力をアップしてくれるホームレメディ(家庭療法)として知られています。

冷え性の人や、アーユルヴェーダでいうヴァータ(風)やカパ(水)の体質を持つ人は寒さに弱い傾向があるため、身体が冷えないように住環境も衣類も行動も食べ物も、日常的に気をつけなければいけません。

冷えは頭痛や肩こり、そして免疫力の低下にもつながります。冷たい食べ物や飲み物を口にしたり、防寒に対して無頓着に過ごせば、冷えの要素が体内に停滞し、アーユルヴェーダでいう「消化の火」があまり燃えなくなります。すると胸がつかえたり、肌が荒れたり、便秘などの不調を覚えることがあります。
それらを予防し、これからの季節にぴったりのおいしいスパイス入り生姜シロップを紹介しましょう。

生姜と一緒に使うスパイスとして選んだのは、シナモン、黒胡椒、クローブ、カルダモン、赤唐辛子。最初の3つはどれも身体を温めてくれることでよく知られています。カルダモンはほかのスパイスに比べると温め効果は劣りますが、香りがいいので加えました。赤唐辛子はお好みでどうぞ。

上から時計回りに、シナモン、黒胡椒、クローブ、カルダモン、赤唐辛子
▲上から時計回りに、シナモン、黒胡椒、クローブ、カルダモン、赤唐辛子

スパイスは粉状のものでもOKです。ここに挙げた以外のスパイスも、お好みで入れてみてください。提示した分量はあくまでも目安です。お砂糖は、私は三温糖を使っています。

  • 生姜 250g
  • 砂糖 250g
  • 水 450ml
  • お茶パック 1枚(以下のスパイス用)
  • シナモン 一巻き
  • 黒胡椒 3粒
  • クローブ 3粒
  • カルダモン 2粒
  • 赤唐辛子 種を抜いたものを1本

生姜は皮をむいて薄くスライスします。繊維に沿って切ると、水分が出やすくなります。

同量の砂糖を全体に混ぜて、しばらく放っておくと生姜から水分が出てきます。90~120分で砂糖はすっかり溶け、生姜も柔らかくなります。

スパイスは、取り出すときのためにお茶パックに入れておきます。上の生姜に水を足して、一緒に火にかけます。

最初は強火で。アクが出てくるのですくいましょう。弱めの中火にして、30分ほど煮たら火を止めます。

粗熱が取れたらザルで濾し、煮沸消毒しておいた容器に移します。400ml弱のシロップが完成。飲むときは、熱湯で4~5倍に薄めてください。

▲生姜シロップは、お気に入りの瓶に入れて常備保存。飲むときはお湯を足して、保温効果の高いタンブラーでいただきます

生姜だけで作ったものより、ピリッとした刺激でいっそう身体が温かくなります。甘すぎると感じたときは、レモン1/2個分を、シロップが完成した直後に絞り入れてください。

煮出して残った生姜も余すところなく使いたいもの。みじん切りにして醤油で煮つめれば、スパイスのきいた福神漬けの出来上がり。カレーとの相性もピッタリです。

数週間は保存がきくので、サラダや湯豆腐のトッピングにしたり、千切りにして豚肉と炒めたり、野菜炒めに混ぜてもおいしいですよ。

寒さや冷えを感じたら、生姜の「温活ドリンク」を飲んでほっこりしましょう。
私はのんびり本を読んだり、原稿を書いたりするとき、机のそばにタンブラーを置いていつも温まっています。

執筆・スリランカの写真:岩瀬幸代
イラスト:芝崎曜子
撮影:徳永 茂
編集:オフィス福永

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